2008-05-14
■[event]日本記号学会(3)。
ぼくは、ここは記号学会である。みんなが同じ価値観を共有したり、スーパーマーケットの商品コーナーにそれが好きな人が集まって情報交換したりするようなことではなくて、異なる価値観、異なる専門領域を持つ人たちが境界を越えて行こうとする場なのだ。ぼくたちがこのセッションで試みたのもそれであり、そうではないオタク・トークはどっかよそでやってくれというようなことを言ったのだが、*1
申し訳ありません。
〈異なる価値観、異なる専門領域を持つ人たちが境界を越えて行こうとする場〉である記号学会の室井先生から見ると、
「どこに〈境界〉があるのか」
ということについては〈異なる価値観、異なる専門領域を持つ人たち〉が全員一致している、というふうに見えるのかもしれません。
室井先生から見たら、永久保・石田・私が「一味」に見えるんでしょうね。でも永久保さんと石田さんと私とでは「なにが重要な境界なのか」についてはたぶんズレています。
だから室井先生vs.「一味」の対立点があるとしたら、それは
〈異なる価値観、異なる専門領域を持つ人たちが境界を越えて行〉くことを目指す室井先生
vs.
内輪話に興じる〈「データベース型消費」者〉
ではなくて、
〈境界〉の位置が自明であると考える室井先生
vs.
という構図になるようです。記号学会の「正当」な境界概念からすれば、こういうのは許されるべきでない異端として、審問に引っかかっちゃった形なのでしょう。
室井先生が感じてらっしゃるように見える怯えって要するに、
「自分は表現文化の研究者だから、価値のある表現文化はすべて理解しなければならない」
という強迫観念に由来すると思うのですよ。
だから
「BLがわからない→わからなくていい理由が必要→価値の否定と意義の単純化」
となる。
価値の有無とは無関係に、
「俺ってアレがわからないんだなあ…」
ていう劣等感のひとつやふたつ、持ったまま生きてる人のほうが、魅力的だと俺は思うなあ。なんて、わからないことばかりの自分を正当化してみちゃったりして。
腐女子のみなさんは、「BLがわからない人」を軽蔑するなんてことはないと思うんです。「自分がわからないものを即刻全否定(じつは性急に否認)する人」を憐れむことはあっても。
ところで、本格無理解者((c)二階堂黎人氏)じゃなかった〈「データベース消費」者〉の悲しい性なのか、妙なことが気になるんです。室井先生のブログの画面右段、「最近のトラックバック」「最近のコメント」の下に「AMAZON.COM」という欄があって、つぎのように出ています(2008/5/13 21:20現在)。
唐 十郎〔室井先生との共著〕: 教室を路地に! 横浜国大vs紅テント2739日 (★★★★★)
室井 尚: 巨大バッタの奇蹟 (★★★★★)
日本記号学会: 流体生命論 (★★★★★)
吾妻 ひでお: 失踪日記 (★★★★)
室井 尚: 情報宇宙論 (★★★★★)
室井 尚: 情報と生命―脳・コンピュータ・宇宙 (★★★★★)
室井 尚: 哲学問題としてのテクノロジー―ダイダロスの迷宮と翼 (★★★★★)
若松 孝二: 時効なし。 (★★★★)
足立正生: 映画/革命 (★★★★)
素晴らしい!! 室井尚先生および日本記号学会の本はすべてAmazonで5つ星なのか!!
と思って〈室井 尚: 情報宇宙論 (★★★★★)〉*2をクリックしてみましたよ(2008/5/13 21:28現在)。
情報宇宙論 (-)
室井 尚 (著)
あれ…?
ほかのもクリックしてみました。下が室井先生および日本記号学会の著書にかんする結果(2008/5/13 21:45現在)。
日本記号学会: 溶解する<大学> (★★★★★)→Amazonでは★★★★
日本記号学会: ケータイ研究の最前線 (★★★★★)→Amazonではまだカスタマーレビューはありません。 今すぐどうぞ。
唐 十郎〔室井先生との共著〕: 教室を路地に! 横浜国大vs紅テント2739日 (★★★★★)→Amazonではまだカスタマーレビューはありません。 今すぐどうぞ。
室井 尚: 巨大バッタの奇蹟 (★★★★★)→Amazonでは★★★★
日本記号学会: 流体生命論 (★★★★★)→Amazonではではまだカスタマーレビューはありません。 今すぐどうぞ。
室井 尚: 情報宇宙論 (★★★★★)→Amazonではまだカスタマーレビューはありません。 今すぐどうぞ。
室井 尚: 情報と生命―脳・コンピュータ・宇宙 (★★★★★)→Amazonでは★★★★+1/2
山口 昌男+室井尚: 記号論の逆襲 (★★★★★)→Amazonではまだカスタマーレビューはありません。 今すぐどうぞ。
それぞれ★半分から5つ、先生のブログより少なかったのです。そこで先生のブログのソースを拝見(2008/5/13 21:56現在)。
<li class="module-list-item"><div class="typelist-thumbnail"><a href="http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4000026852/ca04-22"><img alt="室井 尚: 情報宇宙論" src="http://images-jp.amazon.com/images/P/4000026852.09.THUMBZZZ.jpg" /></a></div><p class="typelist-description"><a href="http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4000026852/ca04-22">室井 尚: 情報宇宙論</a> (★★★★★)</p></li> <li class="module-list-item"><div class="typelist-thumbnail"><a href="http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4788504723/ca04-22"><img alt="室井 尚: 情報と生命―脳・コンピュータ・宇宙" src="http://images-jp.amazon.com/images/P/4788504723.09.THUMBZZZ.jpg" /></a></div><p class="typelist-description"><a href="http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4788504723/ca04-22">室井 尚: 情報と生命―脳・コンピュータ・宇宙</a> (★★★★★)</p></li> <li class="module-list-item"><div class="typelist-thumbnail"><a href="http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4486015762/ca04-22"><img alt="山口 昌男+室井尚: 記号論の逆襲" src="http://images-jp.amazon.com/images/P/4486015762.09.THUMBZZZ.jpg" /></a></div><p class="typelist-description"><a href="http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4486015762/ca04-22">山口 昌男+室井尚: 記号論の逆襲</a> (★★★★★)</p></li> <li class="module-list-item"><div class="typelist-thumbnail"><a href="http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4062581833/ca04-22"><img alt="室井 尚: 哲学問題としてのテクノロジー―ダイダロスの迷宮と翼" src="http://images-jp.amazon.com/images/P/4062581833.09.THUMBZZZ.jpg" /></a></div><p class="typelist-description"><a href="http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4062581833/ca04-22">室井 尚: 哲学問題としてのテクノロジー―ダイダロスの迷宮と翼</a> (★★★★★)</p></li>
イマイチ自信ないんですが、このソースにおける★印って、ブログ管理者が埋めこんだ★印なのでしょうか? だとすると「俺評価」? ブログでの記号学会シンポジウムの要約の正確さが、あどけないお人柄とともにうかがわれるソースで、微笑ましいかぎりです。
■[note]浅野安由さんのブログより。
ものごとはさまざまな面から捉えることができると思いますが、やはりこの場にいたchinoboxさんの「記憶違いでは」という感想が近いです。
〔…〕
何が残念だったかと言って、結局「腐女子って誰? どんなセクシュアリティ?」という素朴な疑問から一歩も外に出ていなかったこと。清田友則さんが腐女子について「ああ女の人も傷ついているんだ」と思って共感を抱いた、という意味のことを言っておられましたが、それは「801ちゃん」など「男目線の腐女子もの」ヒットの要因ではあるけれど、くくられないと「人が傷ついている」ということを発見できないというのはむしろ人生相談の範疇の物言いであって、そもそも<BLとフィクショナリティー>には関係ないのでは〜、というのが私の感想です。*3

