智の木協会活動報告

2018-02-02 第11回 智の木協会ワークショップ レポート

 ・日時:平成29年8月1日(火)

 ・会場:大阪富国生命ビル4階 「社団」テラプロジェクトAゾーン

開会のご挨拶:智の木協会 専門会員 掛川 敏幹 氏

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 富国生命保険相互会社不動産部の掛川様からご挨拶をいただきました。富国生命保険相互会社様には、智の木協会設立と同時に企業会員としてご入会いただき、今年で10年目になります。

 掛川様は今回初めてのご参加ですが、「毎回、ユニークで有意義勉強会ということで、楽しみに来ました」と述べられました。最近は地震、豪雨、竜巻等々災害が頻繁に起こり、想定外と言えないくらい方々で災害が起きていることから、「本日は(株)カスタネット植木様を講師にお迎えしております。日常どのように防災意識を持てばよいか、また、自分の身を守るヒントお教えいただけるのでは」と期待感を示されました。

 また、智の木協会については、平成20年5月4日、みどりの日に発足し、今日まで様々な活動を行って来ており、認知度が上がり名前も知れ渡り、アイディア、知識をいろいろなところで具体化させていき、かなりの実績を積み上げていますので、これからも活動の場を広げていきたい、と申されました。

 最後に「参加者の皆さまのご健勝とご多幸をお祈りいたします」と締めくくられました。



智の木協会と関連行事に関する説明:智の木協会 代表幹事 小林 昭雄 氏

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 2017年12月1日(金)〜9日(土)まで、「社団」テラプロジェクトと智の木協会共同企画、植育イベント「植・食、健康」「みどりのサンタフェスタ」についての説明があり、これまでに決定している12月1日開催のオープニングシンポジウムの講師4名についてご紹介いただきました。




・山折 哲雄 氏 宗教学者 自然環境文化推進機構 代表理事

・鳥井 信吾 氏 サントリーホールディングス株式会社 副会長

・平野 雅章 氏 自然環境文化推進機構 理事 即成院 住職

・奥  重貴 氏 伊太祁曽神社 禰宜


 山折先生は、テラプロジェクトと智の木協会の活動を評価して参画くださることに、また、和歌山県にあります伊太祁曽神社は、日本に最初に植林をした「みどり化」の神様を祀ってある神社であり、禰宜の奥氏にはオープニングシンポジウムと10月31日(火)に予定しています第10回(創立記念)シンポジウムの講師をしていただくことを説明され、今後の予定に入れていただくようお願いされました。



講演 株式会社 カスタネット 代表取締役社長 植木 力 氏

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 (株)カスタネットさんは、創業17年の京都中小企業で、従業員は公式には10名だそうですが、外部から100名以上の会社ですか?と尋ねられるような事業内容を展開しておられます。「カスタネット」の社名は、「カスタマー(お客様)」とネットワークで事業を拡げ、打てば響くことを目指して付けられたそうです。元々は、法人向けにオフィス家具、オフィス文具、OA関連消耗品、工場作業用品を販売する会社だったようですが、社会と共鳴する企業を目指し、社会貢献と事業がシンクロする姿を追い求めておられます。

 ベンチャー企業では日本で初めて社会貢献室をつくり、植木氏ご自身が室長になられました。社会貢献と事業を車の両輪としてとらえておられ、営利社会貢献も目指すユニークな会社経営をなさっています。いつか必ずそのような社会が来るという信念に基づいています。

 その根底には「買いやすさ、安さを追求してオフィス用品を販売しても、それでは大企業と勝負した時早い段階で追いつかれ追い越されてしまうのではないか。しかし、社会貢献という要因は、大企業と真っ向から勝負できる」とブレることのない信念がありました。

 社会貢献を打ち出してもそれ程甘くなく、2年で6千万円の赤字を出してしまったこともあるそうですが、「どうせなら、社会貢献をしている企業からオフィス家具を購入したい」との1本の電話で社内の空気が一変したとか。3千万円の受注があり、その時点から従業員も意識が変わり「社会貢献」の言葉を植木氏以上に使うようになったそうです。

 社会貢献としては、カンボジアに小学校寄贈、カンボジア給食支援、障がい者スポーツ支援などがあります。カンボジアでは、「何とかしたい」と言ったのを「学校を建てる」と通訳が間違えて伝えたことが発端でした。

 2011年3月11日に起きた東北大震災。植木氏は現地へ赴き現状を視察。そこから先人の知恵に学ばなければならないことを悟り、また、被災者の困りごとを100人に尋ねられたところ、90%以上の人が以下の2点について答えたそうです。

  1. トイレ
  2. 携帯の充電器

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 「トイレ」が一番の問題だったようです。「食べ物」という答えが返ってこなかった理由は、恐怖心から食欲が無かったからだそうです。男女、年齢に関係なくトイレに関しては恥ずかしさが付きまとい、恥ずかしい体験は年齢に関係なく心に残るものです。「死ぬまで忘れない」という言葉がそれを裏付けています。

 植木氏は、東北大震災の1年前から防災用品を手掛けるご予定だったようですが、実際に起こってしまって震災から次のことを学ばれました。

 *いつでも、どこでもプライバシー

 *売る立場ではなく、使用する立場で開発すること。

これまでは、メーカーが作った商品を右から左へと商売をされていましたが、災害時にはそのような物は使っていなかったことに植木氏は気づかれました。そして被災者の声が「マルチポンチョ」の開発に繋がりました。

 『ゴミ袋が一番良かった!穴をあけて被ったら一番暖かかった。透けないように最大のサイズのゴミ袋で着替え、用を足した。毛布・アルミシートは被ると作業ができない、カッパは隙間があるから寒かった、等々』

 そこで植木氏は、東北大学の先生の言葉「災害の時にしか使えないものは、真の防災用品ではない」を念頭に、「マルチポンチョ」を開発されました。断水の際でも困らないように「紙オムツ」も付けられました。凝固剤の備蓄についても触れられました。「マルチポンチョ」の最大のポイントは、肩のところにミシン目を入れてあり、ミシン目を切り離すと手を出すことができ、用途が拡大します。色が黒なので暗いイメージだと言われたとか。でも、透けてはいけないのです。実証実験の場がなく売れ行きは良くなかったそうです。

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 実際に社員の方が使用方法を示してくださいました。この「マルチポンチョ」は、防寒対策、屋外でのトイレ(透けません)、屋外での着替え、突然の雨に、と多くの場面で使用できます。僅か70gと軽量ですので、小さく折りたたんで日常的にバッグに入れておきますと、突然の困りごとに対処できます。特に女性の必需品だとおっしゃっています。まさに「防災意識を持ち歩く」のです。「ゴミ袋や」と言われたことをきっかけに「くまもんのデザインのポーチ」を販売することになりました。

 2016年には今度は熊本大地震が起きました。その前年に「そなえる.com」防災用品事業を立ち上げ、植木氏は自ら「防災ソムリエ」として登録されました。そして、カスタネットさんは、熊本へ「マルチポンチョ」を6千枚寄付されました。その評価は、着替え・身体拭きの際に、食事の配給の際に着たままで運ぶことができた等、良い反応でした。また、物干しに困っていた女性達には、ポンチョに紐を通して使えることを伝授、大変喜ばれたそうです。

 植木氏は、いつ起こるか分からない災害に対処するためには、職場や家庭での備蓄のみならず、「持ち歩く防災グッズ」が必要との結論に達し、販売しながら話をし、SNSを使って活動を紹介、2016年8月1日以来毎日動画配信しておられます。新しいビジネスモデルとして、「粗品を配る際には防災用品を配ってほしい、売り上げの10%を熊本城再建のために寄付していますので」と訴えておられます。

 「社会貢献と事業を車の両輪として頑張っていますが、事業の方がなかなか大きくなりません。それでも、赤字が出ても社会貢献は使命と考えて進めています」と締めくくられました。


Q:冊子の中の黄色のポーチは、子ども用ですか?

A:子どもの時から防災意識を持ち歩いてほしいので、これから販売しようと思っています。防犯ブザーと同じような考えです。

Q:ヒアリ、セアカコケグモ、ヘビに噛まれたなど最近は毒を持った虫に手を出して被害に遇う子どもがいます。防災グッズを広められる際に「護身」という意味で、ぜひ、今後はこのような虫にどう対処するのか、啓発もやってほしいです。

A:先人たちの知恵を引き継いで後世に伝える、それが本当の防災だと思っています。マムシに触ってはいけない、それは先人の知恵です。津波がきたら石碑よりも上に逃げる、それと同じように考えていきたいです。



閉会のご挨拶 智の木協会 専門会員豊田氏名代 松村 和幸

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 「建設会社ということで、災害についてお手伝いすることが多いです。その中で“災害に備える”という考え方は会社の方針であったり我々も意識していつも持っていますが、“防災意識を持ち歩く”という発想はありませんでしたので、大変参考になりました」とお礼を述べられました。

 清水建設様は、富国生命ビルに提携施工という形で携わられたことがご縁で、平成22年から智の木協会の活動に参画してくださっています。富国生命ビルについては、フランスのドミニク・ペロー氏が富国生命さんの企業イメージである「生命・健康・成長」などのキーワードを汲み取り梅田に大きな樹を想像して建築されたと説明されました。

富国生命さんと智の木協会は考え方・理念が非常に共通していますので、我々も参画させていただいているんです」と松村氏。

 「今後も智の木協会の活動がますます活発に行われますよう、皆様よろしくお願いいたします」と結ばれました。