智の木協会活動報告

2018-04-14 第10回 智の木協会シンポジウム(創立10周年記念)レポート

 ・日時:平成29年10 月31日(火)

 ・会場:大阪富国生命ビル4階 「社団」テラプロジェクトAゾーン


司会:智の木協会 主幹 加藤 久明 氏


開会のご挨拶:智の木協会 特別顧問 山本 幹男 氏

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 智の木協会創立10周年記念シンポジウムに当たり、富国生命保険相互会社の建物のコンセプトについて「フランス人建築家ドミニク・ペロー氏が大樹をイメージしてデザインされましたが、このコンセプトは小林先生の思いと共通しています」と話されました。ちなみにペロー氏は、2015年に第27回高松宮殿下記念世界文化賞を受賞されています(建築部門)。

 ビルの建て替えに際して、富国生命様は「いかに地域の皆様に親しまれお役に立つビルにするか」といろいろ検討された結果、地下にアトリウム防災センターを造られました。そして、智の木協会はこの建物の中の「コア」との位置づけであると述べられました。4階のスペースは、智の木協会はじめ対象とする世代子どもからシニアまで、事業は食品、緑化等様々な分野に亘っていること、植と食それに健康をテーマとして様々な団体・企業に参画いただき、企業と消費者あるいは大学と消費者、大学と企業というような形で、産学民連携して多岐にわたるプラスになる情報を発信し活動していることを丁寧に説明してくださいました。そして、全て小林先生が中心になって展開しておられます、と付け加えられました。

 シンポジウムワークショップでは、これまでお香、竹細工、煎茶、お酒、智の木協会に参画いただいている企業や団体など、講師は多方面からお招きしていることをお伝えされ、本日の伊太祁曽神社禰宜 奥重貴氏のご講演が非常に楽しみですと期待感を示されました。伊太祁曽神社は日本書記に記される「五十猛命(いたけるのみこと)」(木の神様として親しまれている)をお祀りしていますので、智の木協会創立10周年記念に最もふさわしいご講演だと思いますとお話になりました。

 「10年は一つの区切りです。いかに皆様のお役に立てるか、これを原点に一段と努力して参りますので、引き続き皆様のご支援を」とお願いされました。そして、最後に「参加者の皆さまのご健勝とご多幸をお祈りいたします」と締めくくられました。



智の木協会平成29年度活動と『うめきた「植・食、健康」フェスタ』の説明:

智の木協会 代表幹事 小林 昭雄 氏

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 智の木協会は2008年5月4日に創立されましたが、その後5月4日は「みどりの日」に制定されました。小林氏は、最近みどり化活動は天命かなと思うようになられたそうですが、ネコ駅長を仕立てて和歌山電鐵日本一有名にされた両備ホールディングス(株)の小嶋会長から「先生はみどり化、みどり化と言っているが、伊太祁曽神社には太古の昔からみどり化を進めた神様を祀ってあるんですよ」と指摘されたそうです。本日、伊太祁曽神社禰宜 奥氏にご講演いただくことになり、智の木協会理念はまさに五十猛命(いたけるのみこと)と同じだったということが分かり、そのご縁の深さを感じていますと述べられました。

 創立10年目の節目、事務局がパンフレットを刷新した旨述べられ、パンフレットには取り組む事例などが書かれていて、智の木協会バイブル的な存在ですのでぜひ目を通して下さり、指針をいただきたいと話されました。事例の2番目のホームページについて、小林氏は「いろいろな情報が盛り込まれていますことから、優良サイトの一つと評価されています。智の木協会は先見性のある企画を10年前に行っているんですよ」と説明されました。

 2017年12月1日(金)〜9日(土)まで、「社団」テラプロジェクトが行うイベントの説明の中で、一番上に「植育イベント」と書かれていることについて、「植育」という言葉は実は智の木協会が最初に提案した言葉だと自負しています、と話されました。

「植育」は既に存在しますという人がありますので、その意味を尋ねますと「植物に関する教育」と言われますが、実は「植育」はもっと奥が深いのです。その定義を以下のようであると説明されました。

  1. 種を播き育てる喜び。
  2. 果実などを収穫する喜び。
  3. 収穫物を分かち合う喜び。
  4. 収穫物を愛で食する喜び。

 「植育」から「食育」へと、小林氏は「植・食、健康」を当初からイメージしていましたので、非常に整合性があると思いますと述べられました。智の木協会の位置づけは、「社団」テラプロジェクトを動かすいろいろなアイディアをいただく知恵を持った人たちが集まっている組織ですと明言されました。都市の中を智の木協会の木で埋めていこうということで、「One Green Project」を推進していて、公道にもOne Green Boxに入れた樹木をみどりのサンタが置いていくという形にしています、そして、植物の育成方法は、テラプロジェクトが開発した新しい水耕栽培システムであり、その展開は評価の高いビジネスモデルであると説明されました。

 12月1日から9日までの「植・食、健康」フェスタのシンポジウムについて、「12月1日は本日の講師、奥重貴氏にもお越しいただき特別対談を行います」とご案内されました。シンポジウムは以下の予定です。

  • 12月1日(金):オープニングシンポジウム「みどり」に込めた次世代へのメッセージ。
  • 12月4日(月):(一社)地域創生連携活動コンソーシアム
  • 木材から木質化によるイノベーション
  • 12月5日(火):アンチエイジング&スーパーフード「健康に華麗に生きる!」
  • 12月6日(水):都市における建築とみどり その効果と効能
  • 12月6日(水):公園を活かし、公園と生きる
  • 12月9日(土):対談。羽根田選手(カヌー)とモンベル会長 辰野氏、小林代表幹事(テラプロジェクト理事長)(会場:うめきたガーデン)

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  • 5月、ハンガリーヘレンド社を訪問、市販品のカップ&ソーサ―「アポニーグリーン」に「MIDORI-SANTA」の文字を入れていただけることが決定。200客限定。日本の企業には無い意識の高さを実感。販売の一部は智の木協会に寄付される。
  • 8月、智の木協会企業会員の、両備ホールディングス(株)様に、岡山高島屋屋上に「みどりのサンタガーデン」を作っていただいた。ロゴマークデザインは、九州観光客車を設計された水戸岡氏によるもの。
  • One Greenの切手ができた。智の木協会トレードマーク「植育」の文字が入っている。

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  • みどりのサンタのぬり絵を作る準備をしている。

 大阪富国生命様のビルが「いのちの森」として生まれ変わり、ここからみどりの情報が関西に、日本全体に世界に発信されていくことを熱望しており、この先10年を見据えて活動を進めていきたいと思っておりますので、今後ともご支援いただきたい旨お願いされました。



講演 伊太祁曽(いたきそ)神社 禰宜 奥 重貴 氏

タイトル:「木の国、こんにちは〜木の神様のお話〜」

座長:智の木協会 代表幹事 小林 昭雄 氏

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 座長から講師の奥重貴氏について、若くて意欲に燃えた方であると紹介がありました。

 伊太祁曽神社は、和歌山電鐵伊太祈曽(いだきそ)駅から徒歩5分程のところに位置しています。たま駅長で有名な和歌山電鐵の「ニタマ駅長」が、「たま駅長」の後任として貴志川駅に赴任するまで「ニタマ」は伊太祈曽駅の駅長でした。

 猫のたまを駅長として象徴的な位置において、廃線の憂き目に遭っていた貴志川線を復活に導かれた両備ホールディングス(株)の小嶋会長様には、平成26年7月16日第7回シンポジウムでご講演いただきました。その際に、貴志川線の復活について、最大のポイントは「沿線住民の方々の残したいという熱い思い」だというお話がありました。この度、活動の中心に伊太祁曽神社宮司禰宜の奥氏がおられたということで、そこに小嶋氏と奥氏との接点があったことが分かりました。

 元々、沿線には7キロ位の間に伊太祁曽神社、竈山(かまやま)神社、日前(ひのくま)神宮・国懸(くにかかす)神宮の3つの大きな神社があり、その3つの神社を結ぶために山東軽便鉄道が引かれていたそうですので、廃線にするわけにはいかないとの思いが強かったということでした。

 伊太祁曽神社に“木の神”「五十猛命」が祀られていることについて、日本書記に記されているとして以下のように説明されました。「五十猛命素戔嗚命(すさのおのみこと)の子どもで、素戔嗚尊命が高天原から追放された際に一緒に出雲国に降りてきました。木が一本も生えていない地上を見て、素戔嗚尊命は自身の体毛を抜いて檜や杉(建物に)、樟(造船に)を創りました。そして、五十猛命に命じて木種を植えて廻らせました。五十猛命は二人の妹、大屋津姫命(おおやつひめのみこと)、都麻津姫命(つまつひめのみこと)と共に筑紫国から植樹を始め、最後に紀伊国に鎮まりました。この神話から五十猛命は“木の神”まさに「植樹の神様」で、智の木協会理念と一致します。この地は木の神の鎮まる場所の意で「木の国」と呼ばれるようになり、やがて奈良時代国名を漢字二文字で表すようにとの方針で「紀伊国」と呼び名が変わっていきました。」

 伊太祁曽神社では、以上のお話を分かり易くした「木の国こんにちは」という絵本を作成し販売しておられます。

 次に「イタテ神を祀る式内社」について説明していただきました。式内社とは、平安時代中期に編纂された延喜式という書物の巻9・巻10の神名帳に載っている社神のことだそうです。神名帳には、3132座(神様はお座りになりますので)、神社の数では2861社が朝廷から祭祀に際して幣帛(へいはく)を受け取る神社として記されているとか。イタテ神を祀る神社は15社、その漢字を見ますと共通点があり、その中に伊太祁曽神社も含まれています、と奥氏。紀伊国式内社は、31座28社が記されていますが、31座中6座が植樹神、式内社の中にはランクがあり、大社と小社があり、大社14社中4社が植樹神だそうです。

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 次に、伊都郡海草郡那賀郡、在田郡、牟婁郡の神社について、伊太祁曽神社海草郡にあり、海草郡には日前・国懸神宮(ひのくま・くにかかす。現在は一つの神宮になっています)、大屋都比賣神社、都麻津比賣を祀ってある高積比古(たかつみひこ)神社と高積比賣(たかつみひめ)神社、鳴(なる)神社、そして五十猛命を祀ってある伊達神社などがあることをお話になりました。アンダーラインの神社は、名神大社であり、月次祭(つきなみさい)、相嘗祭(あいなめさい)、新嘗祭(にいなめさい)を行う一番格の高い神社とのことです。ちなみに、世界遺産に登録されている熊野早玉神社大社ではありますが名神社ではなく、熊野坐(くまのにます)神社名神社ですが月次祭新嘗祭をやりなさいと書かれていない、また、熊野那智大社は、そもそも延喜式内社でもありませんと説明されました。

 五十猛命を祀る神社は全国に約300社あると言われており、その総本宮的な位置付けが伊太祁曽神社ですが、伊太祁曽神社という名の神社は少なく、イタテ、熊野神社杉山神社などの名前がついている神社と、他に主祭神ではなく境内に末社として祀っている神社とを含めて300社ということだそうです。

 伊太祁曽神社は、根来寺豊臣秀吉が戦ったことにより全て焼き尽くされて安土桃山時代以前のものは何も残っていませんが、約二千年前は現在の場所より北西に位置していて、五十猛命が祀られていたという記録が日前・国懸神社に残っているとのことです。伊太祁曽神社は格の高い神社であることを証明する「官幣社」に選ばれていて、天皇から玉串料をいただかれ、「幣饌料(へいせんりょう=幣帛料と神饌料を合わせた金幣)」を数々いただいています、と奥氏。また、植樹祭天皇皇后陛下和歌山へお越しになった際にも「和歌山へ来ましたよ」という印として「幣饌料」をいただかれたそうです。幣帛料は、神社の建て替え時や特別なお祭り(100年毎)の時に神社本庁に申し出ていただくもので、伊太祁曽神社は、最近では、平成14年10月に1300年祭(創建が分からず、702年を一つの節目にしています)と、平成25年に社殿の屋根の葺き替え時にいただかれたそうです。


伊太祁曽神社の主な祭り〉

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1.木祭。毎年4月第1日曜日開催。建築、造船、炊事、製鉄用の火力等々として使われてきた木に感謝する。CO2をO2に変える、木は大きな役割を担っている。植樹することでそれが成し遂げられる。環境問題で、木が大事であると気付いた人たちがお参りに来る。お祭りの後、植樹祭をする。餅まきで400キロの餅をまく。チェンソーカービング実演。城所啓二さんが翌年の干支奉納する。一回りして全ての干支が揃っている今は、以前の干支リメイクを行っている。平成30年4月1日、木祭では、イノシシがリメークされた。

2.茅輪(ちのわ)祭。7月30日、31日。大国主の命を助けたのが伊太祁曽神社の神様だったことが、古事記に載っている。そこから伊太祁曽神社は「厄難除命神様」とも言われている。それを絵本にしたのが「いそげ、いそげ、木の国へ」(伊太祁曽神社出版)。“輪をくぐると難を除けられる”。地球温暖化防止として最近10年くらい、打ち水大作戦を行っている。夜は舞台を作り、地元住民と共に芸事を奉納しており、形になり始めた。

3.例祭・神幸祭(秋祭り)。10月15日とその後の日曜日。3基の神輿を出す。350年前のもので今も担いでいる。15日午前中に祭典を行い、境内で太鼓の演奏奉納する。毎年この時期に国内で活動している人たちが、太鼓演奏に帰って来てくれる。太鼓の後に神輿が出る。200人位の行列ができた。神輿とたま電車が踏切で遭遇したこともある。

4.卯杖(うづえ)祭。1月15日。主たる神事は夜。14日夜、小豆粥を炊きその中に竹筒を沈めて、中に入った粥の量で稲や農作物の出来を占う。伊太祁曽神社では、約1m位の梅の枝を束ねて卯杖を作り、この杖で地面を叩きつけて邪気を祓う。その後、火きり棒と火きり板を擦り合わせて火を起こしてどんど焼きを行う。また、神社の行事ではなく地元で行われている成人式儀礼で、裸参りの習慣もある。裸で腰にしめ縄を巻いて神社まで4キロ位を走り、神前の杉の木にしめ縄を巻きつけ、無病息災を祈願するというもの。一時途絶えていたが、神社からの声掛けで復活した。

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神社の説明〉

1.燈籠について。「大坂積方中」(木材の組合)、「和歌山荷主中」(運送会社)、「紙仲間」(製紙会社)の3つに燈籠がある。大さかの坂が阪でないこと、また文字が右から左へ書かれていることから、奉納の時期は明治以前であると言え、昔から伊太祁曽神社へお参りしていたことが分かる。

2.歌碑(本居宣長、本居太平)が残っている。

 ・本居宣長:朝もよし 

       紀路のしげ山分けそめて

       木種まきけん

       神をし思ほゆ

 ・本居太平:山々の

       木々に栄を紀の国(木の国)の

       栄と守る

       伊太祁曽の神

3.チェンソーカービング

4.厄難除けの俣くぐり。

5.御井戸。

6.大鳥居(一の鳥居)。


 大鳥居について、次のように説明してくださいました。「2017年7月に鳥居を新装しました。横木の部分は材を削り、縦の二本の材は平成25年伊勢神宮遷宮をした折に外宮板垣御門鳥居に使われていた古材を頂戴しました。」伊勢神宮は20年に一回一等級の檜を使って建て替えられますが、使い捨てではなく次に使うところが決まっており、そのまた20年後にも、また次の20年後にも、つまり60年間使い回されているそうです。式年遷宮は1300年の歴史があり、リサイクル植林を繰り返しながら行われていることを強調されました。

7.磐座(いわくら)。神様が降り立ったところ鳥上峯(島根県船通山)からゴールの伊太祁曽神社へ、磐(約6トン)をいただいたとのことです。


 最後に、「いろいろなご縁が繋がって、10年目という節目に講演させていただき、嬉しいです」と話され、代表幹事は「こういうお話をお聴きしますと日本人としての誇りを感じますね。現地を訪ねて日本人のルーツに触れて頂きますと、この上もない豊かな心情が湧いてきます。ぜひ皆さんお訪ねになってください」と結ばれました。



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講師を囲んで集合写真撮影


交流会

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