ヨタ話

無名アニ関民のアニメ&映画ライフログ

ゼロ・ダーク・サーティ (Zero Dark Thirty、2013)

 @大阪ステーションシティシネマ スクリーン9
 アメリカがビンラディン(UBL)の居場所を捜索し、ようやくそれとおぼしき場所を発見して襲撃作戦を完遂するまでを描いたドキュメンタリータッチの映画。イラクで爆弾処理に従事する兵士が主人公の「ハート・ロッカー」を撮ったキャスリン・ビグロー監督の最新作。
 映画は9.11当時の様子を音声だけで伝えるところから始まり、その後、アフガニスタンで実行犯を聞き出そうとする捕虜の拷問へと続く。ようやく捕虜が口を割ったのは痛めつける拷問のあと、「睡眠不足で記憶喪失になっているようだが、お前は昨日仲間の名前を吐いた。だから、そのご褒美だ」と食事を与えたところ。ここまでがとにかく拷問拷問アンド拷問で重苦しい。アブグレイブでの捕虜虐待が問題になる前なので、水責め、箱責め、なんでもござれ。しかし中盤以降は拷問が使えなくなり、名前を聞き出すにも苦労するようになる。
 “アル・アフマド”ことイブラヒム・サイードの正体を突き止めてその居住地に迫り、衛星写真イスラムの習慣からその家に決して外出しない「第三の男」の存在を確信、結局UBLと100%断定はできなかったものの突入作戦を決行する、という後半は、「まさに史実がこうだったのではないか」と誤解してもおかしくないリアリティ。実際には作品の主人公となっているCIAのマヤは特定のモデルがいるのではなく、複数人のCIA職員の話を集めて作ったものらしいが、本当によくできている。よくできすぎていて、「歴史はこうだった」と言われてしまうレベルだと思う。