粕谷知世のクロニカ【記録】

作家・粕谷知世の記録です。
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2018-09-30

[]電子書籍での「クロニカ」復刊

今年の目標は「今年は少しずつでもブログを更新する」だったのですが。ついに、一年ぶりさえ超えて、一年半ぶりの更新となりました。来年の目標も「ブログ更新」だな、こりゃ。

西崎憲さんの「口笛と惑星ブックス」という電子出版レーベルから、日本ファンタジーノベル大賞(以下、NFN賞と略します)出身者有志が参加した「万象」という競作短篇集が出ます。森羅万象からとったタイトルなので「ばんしょう」と読むのが正しいはずですが、わたしはつい「まんぞう」と読んでしまいます。このタイトルに合わせて、わたしは、象がたくさん登場する短篇「象になりたかった少年」で参加しました。舞台はアショーカ王時代のインドです。

この競作短篇集が形になるまでのエピソードについては、斉藤直子さんが愉快な編集後記を書いていらっしゃいますので、どうぞ、そちらをお楽しみに。


同じレーベルからNFN賞受賞作が復刊されています。「クロニカ 太陽と死者の記録」も出していただくことになりました。2001年の出版から十七年目、二度目の電子書籍化です。

チェックのため、久しぶりに、きちんと通して読み直しました。執筆からこれだけ時間がたっていると、細部を忘れているので他の人の作品みたいで新鮮。あら、ユーモラスなシーンが意外に多いのね、という感想をもちました。

滅亡期のインカ帝国とスペイン植民地下のペルーを舞台にした話です。マチュピチュへの旅のおともとして、また、インカ展開催時には、その予習復習として(?)、読んでみていただけたら嬉しいです。

惑星と口笛ブックス

http://dog-and-me.d.dooo.jp/wakusei_kuchibue/wakusei_kuchibue.html

[]2017.11-2018.6

すでに去年のことなりましたが、十一月には木原敏江氏の個展がありました。 

すっかり高校生に戻った気分で、全猛者連のクリアファイルを買っちゃいました。「摩莉と新吾」は北杜夫氏の「マンボウ青春記」にインスパイアされた、とエッセイで読んでから(とすれば、北さんの親友である辻邦生氏は立ち位置的にリアル麿さんかも)と、一人、密かに妄想しています。

大きな歴史に翻弄されつつも、自らの最善を尽くそうとする人々の物語は、何度読んでも感涙もの。木原さんについては、一度、長く感想を書いてみたいと思っています。


二月にはSF作家クラブ主催の平井和正氏を偲ぶ会に足を運びました。

昔の知り合いに久しぶりにお会いしたり、徳間書店発行の「幻魔宇宙」というムック本について、担当の編集者さんが雑誌に掲載するには多すぎる量の原稿を渡されて困惑したお話をうかがったりしているうちに、平井作品が大好きだった高校時代の心境をありありと思い出しました。もうすぐ「幻魔宇宙」が出るから、この一ヶ月、なんとか頑張ろう、みたいな日々もありましたっけ。


三月には日本ファンタジーノベル大賞2017の授賞式がありました。

森見登美彦氏が審査員講評を述べられるなかで、同賞が第二十五回をもって休止となったことの寂しさを「母校が廃校になってしまったような」と表現していらっしゃいましたが、まったく同感で、その分、今回の復活はとても嬉しいものでした。柿村将彦氏の受賞作「隣のずこずこ」には、はっとさせられる洞察とエネルギーが詰まっていました。


それにしても、NFN賞の受賞作、受賞作家の作品は、狸率が高い気がします。北野勇作氏の「昔、火星のあった場所」とか森見氏の「有頂天家族」とか。以前の審査員でいらした井上ひさし氏には「腹鼓記」という作品がありますし。タヌキこそは、日本の幻想譚の象徴だからでしょうか。そういえば、ジブリの高畑監督には「平成狸合戦ぽんぽこ」がありますね。


六月には、三島賞山本賞の贈賞式に出席しました。

遅ればせですが、古谷田奈月さん、三島賞のご受賞おめでとうございます。

デビュー作「星の民のクリスマス」において、「あの二人が大変なのは、敵のフィールドでばっかり戦うからさ」から始まる、キツツキの子の分析は示唆に富み、胸に染みました。「あいつらはね、努力と苦労に酔ってるんだ」

まだまだ努力が足りないと自動的に思ってしまうのなら、努力ではなくて知恵と勇気が足りないのかもしれない、と発想を変えてみるのは大事かも。

山本賞の小川哲氏「ゲームの王国」はクメール・ルージュの話で、悲惨なエピソードがたくさんあるのですが、それを上回る希望と勇気と知恵にあふれた話で、とても面白かったです。


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