イマジン

作者:清水義範集英社文庫

  • あらすじ

19歳の翔吾は、会社を経営する父と折り合いが悪く、一人暮らしをしていた。
ある日、ヤクザともめ事を起こし、ヤクザを階段から突き落としてしまう。
報復を恐れた翔吾は、長髪を坊主頭にして、新宿に逃れる。
歌舞伎町の雑居ビルで一息ついたとたん、時空を超え、80年代にタイムスリップする。
2003年から1980年にやってきた翔吾は、途方に暮れ、若いころの父を訪ねる。
父は社会人2年目で、会社に不満を持ち、独立を夢見ていたが、頼りない男だった。
翔吾は若いころの父と奇妙な同居生活を始める。
かつて父から「ジョン・レノンが死んだのは衝撃的だった」という話を聞いていた。
翔吾は歴史を変えるため、父の大輔とともにニューヨークに旅立つ。
翔吾と大輔はジョン・レノンの死を阻止することができるのだろうか。

  • 感想

文庫本で700ページ近い長編で、初めて読む作家なので、あまり期待していなかった。
ところがこれはわかりやすいストーリーで、面白く、一気に読めた。
若く純粋な父大輔を、息子の翔吾がリードし、父の起業を手助けする。
若い大輔は、未来を知る年下の翔吾を尊敬し、友達関係になる。
二人の関係は良好で、その後の険悪な親子関係はみじんも感じさせない。
ジョンを救うため、アメリカに渡ってから、翔吾は大輔に「自分は未来から来た」と告白する。
だが、自分が息子だとは明かさずに大輔のもとから姿を消す。
ラストシーンで、坊主頭の翔吾に対面する父の大輔とのやり取りは良かった。

イマジン (集英社文庫)

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