ガーディアン

作者:石持浅海|光文社カッパノベルス

  • あらすじ

メーカーでデザイナーを務める冴には、亡くなった父の不思議な力に守られていた。
業務命令で、社内プロジェクトに参加し、イメージを向上させるミーティングに参加する。
冴を含め、男女6人のチームは順調にプロジェクトを進めていく。
だが、プロジェクトの終盤にチームの男性が転落死する。その瞬間、冴は彼の殺意を感じ取っていた。
自分を守るため、自分を守護する「ガーディアン」が彼を殺したのだろうか?
冴は悩み、チームのメンバーに「ガーディアン」の存在を打ち明ける。
ここまでが第1部で、第2部は時が流れ、冴の子供の円の物語になる。
友人とともに郵便局に出かけた円は、強盗に巻き込まれるが、「ガーディアン」の力を発動させる。
強盗団のサブリーダーは円の不思議な力に気づき、円を利用しようとする。

  • 感想

第1部と第2部の話は、まったく別の話で、中編の二つが収められた作品。
第1部は亡くなった父が「守護神」として、娘を守るという設定の中の異色のミステリー。
論理を戦わせた登場人物たちの会話劇は相変わらず冴えており、面白い。
超能力があることを受け入れている他の人物たちとのやり取りも破綻はしていない。
荒唐無稽な設定でも、ミステリーとして成り立たせる作者の力量を感じた。
ただ、第2部は強盗と円の心理戦を描いたサスペンスだが、これはイマイチだった。
ラストシーンはまあまあだが、子供向けかと思うレベルの低さだった。

ガーディアン (カッパ・ノベルス)

ガーディアン (カッパ・ノベルス)