ユニット

作者:佐々木譲|文春文庫
妻と子を17歳の少年に殺された真鍋は、酒におぼれた生活を送っていた。
警察官の妻の祐子は、夫の度重なる暴力に耐えかね、子供を連れて逃げだした。
工務店の経営者の波多野は妻に逃げられ、味気ない暮らしの中で将来を考えていた。
波多野が職安に求人を出したところ、真鍋と祐子は同時期に働くことになる。
真鍋は相変わらず酒におぼれ、祐子は夫の陰におびえていた。
そんな真鍋のもとにかつての同僚が訪れ、少年が仮釈放されたことを聞く。
真鍋は復讐することを決意し、探偵に身元調査を依頼する。
一方、祐子の夫である門脇は、妻に逃げられたことを逆恨みし、彼女を必死に探す。
探偵の調査で、少年の居所を知った真鍋は拳銃を手に入れる。
訳ありな二人を支えながら、二人の仲を取り持つ波多野。
真鍋の復讐が失敗に終わったところから、意外な展開に進む。


少年犯罪、ドメスティックバイオレンス、家族の崩壊を上手くミックスしたサスペンスだった。
ストーリーの進め方もスムーズで、非常によくできた小説だった。
門脇の狂気と少年の逆恨みが合わさって、クライマックスに向かうところはスリルに満ちている。
結末は少しあっけなかったが、これは非常に面白い作品だった。

ユニット (文春文庫)

ユニット (文春文庫)