使命と魂のリミット

作者:東野圭吾|角川文庫
氷室夕紀は、心臓外科医の権威の西園教授のもとで研修医をしていた。
彼女は、父親を動脈瘤で亡くしており、その時の執刀医が西園だった。
加えて、父の手術前から西園と母親が親密になっていることに疑問を抱いていた。
西園は母と一緒になるために、父を殺したのではないか?
そんな夕紀の勤める病院に、脅迫状が舞い込む。
「今までの医療ミスを公表しなければ、病院を破壊する」
脅迫は続き、警察がやってくるが、その中にかつて夕紀の父の同僚だった刑事がいた。
刑事から西園と父の関係を知らされ、夕紀はますます西園への疑いを深める。
脅迫事件はエスカレートし、病院から患者が逃げ出す事態になる。
犯人の狙いは何なのか?


多作なのにほとんどハズレはない流行作家の作品だが、これも面白かった。
ただ、この作家の小説は画一的な感じがする。
長編の「白夜行」にしても、直木賞の「容疑者xの献身」にしても、代表作にしては突き抜けた感動はない。
自分が文庫本で一番買っている作家だが。でも単行本はほとんど買ったことがない。
着想はいいのだけど、作品ひとつひとつに熱さを感じない。
何だか残念なので、充実している今のうちに充電をしてもらい、10作分のパワーを1作に集中してほしい。

使命と魂のリミット (角川文庫)

使命と魂のリミット (角川文庫)