レディ・ジョーカー(上・中・下)

作者:高村薫新潮文庫
日本最大のビール会社で起きた社長誘拐事件を描いた長編小説。
戦後すぐに起きた労働争議のどさくさで、部落出身者が解雇された手記が冒頭で綴られる。
それから40年以上経ち、部落出身者の歯科医の息子が、このビール会社の入社試験の面接後に自殺同然の事故で死亡する。
歯科医は部落解放同盟をかたり、ビール会社を非難する文書を送り、鉄道に投身自殺する。
親族の老人は競馬場で顔を合わせる仲間とともに、ビール会社に復讐を企てる。
綿密な計画のもと、社長を誘拐し、身代金を要求する。
だが、誘拐犯の背後で、政治家を黒幕とする経済犯グループが蠢いていた。


レディー・ジョーカーを名乗る誘拐犯グループの活躍。
日の出ビールの首脳陣たちが保身にはしる企業の在り方。
犯人を探そうとする警察と、暗躍する検察。
特ダネを追う新聞記者たち。


4つのパートで話は進み、読み応えのある話だった。
でも、ホモっぽい刑事と検事の気持ちの悪い感情と、結末の曖昧さには大いに不満が残った。
行方不明になったり、自ら命を絶った人のその後のフォローもない。
読み終えてがっかりした。

レディ・ジョーカー 上 (新潮文庫)

レディ・ジョーカー 上 (新潮文庫)