天使の眠り

作者:岸田るり子|徳間文庫
京都の医大に勤務する宗一は、部下の結婚式で、13年前の恋人の一二三と出会う。
彼女は美貌を失っておらず、同棲していたころと同じに見えたが、何となく雰囲気が違う。
理不尽な捨てられ方をした宗一は、昔の恋情が蘇り、彼女の周辺を探り始める。
すると、一二三は宗一と別れた後、資産家の老人、レントゲン技師と結婚をしていた。
だが、二人とも何者かに殺害されており、犯人は捕まっていなかった。
老人の資産を相続し、レントゲン技師の生命保険を得た一二三は容疑をかけられるが、完璧なアリバイがあった。
一二三は宗一と出会う前に、アイルランド人と結婚しており、由真という娘がいた。
由真は一二三の愛情を感じておらず、ベビーシッターの向井さんと過ごす時間が長かった。


この作品は、宗一と由真の視点で描かれ、徐々に一二三という女性の謎が暴かれていく。
非常に大がかりなトリックだが、破たんすることなく結末を迎える。
トリックとしては古典的なものだが、ストーリーに非常にマッチしていた。
久しぶりに面白いミステリを読んだ。


天使の眠り (徳間文庫)

天使の眠り (徳間文庫)