心星ひとつ

作者:高田郁|ハルキ文庫
江戸の町の料理屋を舞台にした「みをつくし料理帖」の6作目。
大坂からやってきた澪が、「つる家」で料理の腕をふるいつつ、周りの人間模様を優しく描いている。
1冊に4話が収録され、それぞれの話でメインとなる料理があり、ストーリーも面白い。
つる家の主人種市を始め、澪の周りには良い人が多く、人情話なのだが、臭さはあまり感じない。
料理への真摯な取り組みと、嫌みのない話は読んでいて安心感がある。
料理の作り方も丁寧に描写していて、巻末にレシピも載っているから、試してみたくなる。
そろそろ現状からの変化が必要かなと思っていたが、本作はその期待にこたえている。
今回は澪にもう少し大きな店で働かないかと勧誘があり、結婚話も持ちあがり、大きな変化がある。
7作目が楽しみだ。


心星ひとつ みをつくし料理帖 (角川春樹事務所 時代小説文庫)

心星ひとつ みをつくし料理帖 (角川春樹事務所 時代小説文庫)