悪霊の棲む部屋

作者:塔山郁|宝島文庫
都内のビジネスホテル「リバーサイドホテル」が舞台のホラー作品。
以前から7階は宿泊した客の気分が悪くなったり、清掃員が部屋に近づくのを嫌がったりしていた。
ところが、新しく支配人となった本城は、倉庫となっている705号室を改装し、新たに客を取ろうと考えた。
改装工事は順調に進むが、客を新たに入れようとする直前に、一つ上のフロアから風俗嬢が行方不明となる。
送迎したデリヘル嬢の運転手の周司は、7階の改装中の部屋に明かりが灯っているのを目撃する。
周司は本城に会い、事の経緯を話す。すると改装中の部屋から風俗嬢のペンダントが見つかる。
誰も入らない部屋に何故?そもそもこの部屋はいつから封印されていたのか?
本城は前任者に会い、705号室のいわくを聞きだす。
すると、北関東の憑き物筋の青年が泊まったあとから、怪異が起こるようになったことが分かる。
青年が残した手記が作品の核心部分で、そこに行きつくまでは少しダレるが、この手記が面白い。
ボイラー室に籠る殺人鬼、デリヘルの運転手の複雑な事情とそれぞれのエピソードもいい。
だが、ちょっと詰め込み過ぎて、一気読み出来る面白さはあるものの、その分主題が散漫になった。
伝奇的な雰囲気も上手く作れていただけに残念。


悪霊の棲む部屋 (宝島社文庫)

悪霊の棲む部屋 (宝島社文庫)