その日の前に

作者:重松清|文春文庫
大切な人が死ぬことについて向き合う人たちを描いた連作集。
ひこうき雲」は小学校の時に病に倒れて登校しなくなった少女のことを思い出す中年男性の話。
「朝日の当たる家」は夫と死別した高校教師がかつての教え子と出会う話。
潮騒」は余命3カ月の宣告を受けたサラリーマンが、昔過ごした海辺の町を訪れる話。
「ヒア・カムズ・ザ・サン」は母子家庭とストリートミュージシャンとの関わりを描いた話。
「その日の前に」「その日」「その日の後で」は40代で末期がんになった妻と、残される夫の話。
この話がメインだが、前の話の登場人物もさりげなく出てくる。
当たり前のように続く日常に、思いもがけない余命宣告。
それが自分だったり、家族だったりした場合、普通ではいられないと思う。
淡々とその人間模様を描いているが、時々過剰なまでに読者を泣かせようとする描写がある。
良い話だと思うが、ちょっと感動させようとするところが鼻につく。


その日のまえに (文春文庫)

その日のまえに (文春文庫)