ナニワ・モンスター

作者:海堂尊新潮文庫
浪速府で発見された新型インフルエンザの「キャメル」
パンデミックを恐れた政府は、関西圏で非常事態宣言を発表し、関西の経済は停滞する。
致死率が低いのに、関西を封鎖したのは、医療改革をぶち上げた村雨知事への報復だった。
村雨道州制を目指し、国家権力と対決姿勢を強め、検察の切れ者の鎌形を味方につけ、厚労省の官僚を逮捕した過去があった。
霞が関の官僚は、村雨に嫌がらせを始めたのだった。村雨は鎌形とさらに摘発を進める。
さらに、医療官僚で、厚労省のやり方に批判的な医師を味方につける。
ブレーンを集め、テレビ討論で国の論客をやり込め、ますます敵対姿勢を強めていく。


霞が関の官僚たちの傲慢さは滑稽でもあるし、国家に反逆する村雨は痛快だ。
また、型破りな検事の鎌形とその部下たち、精神科医彦根など、魅力的な人物が登場する。
村雨のモデルは明らかに橋下徹なのだが、これが書かれた時期に比べると、今の橋下は残念だ。
橋下の現在はさておき、続編を期待したくなるほど面白い作品だった。


ナニワ・モンスター (新潮文庫)

ナニワ・モンスター (新潮文庫)