贖罪

贖罪 (ミステリ・フロンティア)

贖罪 (ミステリ・フロンティア)

同じ事でもAさんから見た事実とBさんから見た事実というのが全く同じという事は早々はなかったりします。いわゆるボタンの掛け違いというやつ。この本で描かれてるのは要はそういう事です。罪を償うという事は?というのもあるけれど、読後心に残ったのはそちらのほうでした。
同じ言語を話す同じ人間でもあるのに、全く同じように言葉を受け取るという事は本当はすごく難しいことです。コミュニケーションって何なのだろうかとも思いました。私が見ているもの感じているものを皆が同じに受け取るとは限らない。その恐怖はやっぱりどこかにあって頭にチラついています。
デビュー作『告白』に比べるとイヤミス度は下がってるかなーと感じます。麻子さんのパートの身勝手さに「人間ってさ、人間だよなあ」と思ったりも。でも私の中にだってきっと麻子さんはいるはず。みんなの中の麻子さんをみんながうまく飼い馴らしてくれたらもっと世の中楽に生きれるだろうになあと思いました。

カレ、夫、男友達

なんていうか面倒くさい女ばっか集まった家族だよなあと思いました。身も蓋もない言い方ですが。それぞれが抱えている面倒くさいの中身は違えど、関わるならばそれなりの覚悟を持たねばならぬという意味ではみな一緒。共感しながら見るというよりも一歩引いた外側から見るドラマかなーと思いました。
とりあえずユースケ・多江さん夫婦が気になるところ。外面だけはよさそうなDV夫に従順な妻という共依存夫婦が壊れてしまうのか、それとも修復されるのかを見守りたいと思います。