ビューティフルメモリー ★★★

妻を亡くして失意のロバート・カーライルが社交ダンスをきっかけに前向きになっていく様子は観ていてグッと来るけれど、肝心のダンスシーンの足元が全然映らないのとカメラがグリグリ動くので乗り切れない。っていうかせっかく人が踊っているんだからカメラは踊らなくていいじゃん。あと、踊りながら名前を尋ねないで受付で聞けば良いのに。
彼がパン生地をこねくり回した後にその台の上でマリサ・トメイと絡むシーンは糸引きキスも相俟って妙にエロい(最後のカメラの大袈裟な捌け方には笑った。)けれど、二人の愛液が染み込んだ台でこねたパンを食べさせられるであろう客に同情した。一応事前に粉撒いてたけどね。
マリサって義足である必要なくね?一体なんなんだ。感動させようとする音楽と演出が鼻につく。でもロバートの妻の回想シーンが一切なかったのは潔い。
ダンス教師役のメアリー・スティーンバージェンは目元の膨らみ具合は勿論、声が大竹しのぶ風(最後が震える感じ)で壷に嵌ってそれはそれは悶絶しそうだった。ああいう声大好きなんだよ!熟女好きの発端を自覚できただけでも本作を観た甲斐があるというもの。
ジョン・グッドマンが大人になっても強盗して刑務所に入っている姿や、彼の初恋の少女(アザがなかなか治らなくて心配になった。)がドスの効いたカムリン・マンハイム演じるおばさんに変わり果てている姿を見て、幼少時の社交ダンスの無意味さに愕然とした。