2011-10-13
気づかないフリにも馴れて
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この街にある喜びも悲しみも忘れて僕の中でおやすみ
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「私には彼氏がいるからあなたの気持ちにこえられない」
ケータイの画面にはそんな文字が小さく表示されていた
そんなわかりきっていることをわざわざ表示しないでほしい
もう恋人の関係は終わっている僕らにとって
都合のいい関係性は「友達」くらいだよ
「ずっと友達なんでしょ?」
利用規約の同意を求められた時のように
僕は彼女のほしい言葉を返す
「うん……だからごめん」
多分これが彼女なりのけじめだったんだと思う
「結婚が決まったら誰よりも先におめでとうって言うよ」
だから僕も僕なりのけじめをつけた
それから数カ月後
彼女からメールが届いて会う約束をした
彼女にどんな心境の変化があったのか
僕は知らない
彼女はきっと寂しかったのだと思う
その寂しさを紛らわすために僕を選んでくれたことは
純粋にうれしかった
僕とならきっと紛らわせると思ってくれたことだから
でも彼氏の代役にはなれない
彼女は代わりがほしいわけじゃないのは
なんとなくわかっていた
多摩川に架かる橋を渡りながら
沈む夕陽をぼんやりと見ていた
僕が眺めている夕陽を
きっと誰かはちがった心境で眺めてる
そんなことをふと思った
同じ世界にいるけれど別の物語を生きている
それは僕にも彼女にも言えること
彼女の物語の中で僕は
僕としての役割を果たせたのかわからないけど
彼女には何も聞けないでいた
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