コメントのレス

http://d.hatena.ne.jp/chon/20060626/p1にコメントを戴いたのでレス。

貧しい狼 『初めまして、chonさま。貧しい狼と申します。
とてもとても興味のある話題がでてきたので、書き込みなどをしてみました。
日本人は刀というものに多かれ少なかれ特別な思いを抱いていると思います。剣槍煌めく世界にやってきた元日本人のセタンタが、刀を開発するのはごく自然な流れだと思います。
鎧がそれ程発達していないならば、刀は十分に殺傷力を持つ武器として使えるでしょう。(蛇足かもしれませんが、よく言われる、「2、3人斬ると使い物にならなくなる」というのは、使い手の腕が悪いか、刀そのものが粗悪品か、どちらか(或いは両方)が原因となっていることが多いようです)もっとも、西洋剣などに比べるとデリケートな類のものであることも否定できませんが。
スカゲラクが鍛冶師であるとのことなので、製作にも大きな問題はないでしょう。西洋武器が主になっている世界でスカゲラクが鋳造技術者ではなく、鍛造技術者(鍛冶師)であることに僅かな疑問を抱いていましたが、これの伏線だったのでしょうか。
それでは。^^ノシ』 (2006/06/29 02:41)

貧しい狼様コメントありがとうございます。
セタンタも男の子(?)ですので、いっちょまえに日本刀の鍛造法とか歴史とかをかじっていたりします。とはいっても、鍛造法を知っていれば即日本刀を製作できるわけでもないので、「日本刀っぽいモノ」を試行錯誤しながら作っていく話になるかと思います。
ま、先の話ですが。
ところで、日本刀が「二三人切ると使い物にならなくなる」というのが間違いか否かはなかなか微妙なところです。
この手の話で一番有名なのは幕末に行われた信州松代藩の刀試し(荒試し)でしょうか。詳しい話はこちらで紹介されています。→http://d.hatena.ne.jp/rorann/20040507#1083918629
名匠・大慶直胤の作は切れ味が悪く簡単に折れたのに対して、山浦兄弟の刀は壊す気で鹿の角やら鉄笠やらに斬りつけても折れず、鉄の杖でめった打ちにしてやっと折れたそうです。(山浦兄弟の弟は「四谷正宗」として有名な山浦環源清麿です。)
観賞用と実用品の違いといえばそれまでですが、製法一つで全く別物ができあがるのが日本刀の面白いところだと思います。
いずれにしろ、日本刀は「軽量でありながら切れ味がよい」というのが利点ですから、西洋剣と比較するとデリケートなのは間違いないでしょうね。使う側の腕も試行錯誤が必要と思われます。
あと、西洋の鉄製武器はおしなべて鍛造で作られます。というのも、18世紀より前の鋳鉄は成分の問題から「固く脆い」という性質を持っています。さらに加えて、紀元前には中国で成立した鉄の鋳造技術は長らくヨーロッパに伝わらず、15世紀頃になるまで西洋では鉄の鋳造技術がありませんでした。結果的に、金・銀・青銅・真鍮を主とした鋳物師と鉄を主とした鍛冶師が金属加工業者の中心となります。
異世界日記の世界では、鉄の鋳造技術はあるものの、高炉法などの生産技術は存在しません。鋳鉄の製品は鋤や鍬などの農具や鍋釜などの日用品に用いられますが、銅製品に比べて高価であるため一般家庭まで広く普及しているわけではありません。
話がずれましたが、スカゲラクは武具を中心として製作する鍛冶師(Blacksmith)であり、鋳造技術も持っていますが専門分野ではありません。
とりあえず思いついたお返事をずらずら書いてみました。