ちょス飯の映画評

 『テルマエ・ロマエ』  ★★★★☆
 おじいさん達の、湯に浸かる嬉しそうな表情が良かった。筋骨たくましいルシウスの裸体も、惚れ惚れする。彼が、湯と見ればすぐすっぽんぽんになって、飛び込むのがおかしかった。

 現代の過剰な風呂の演出を、古代ローマに持ち帰り再現するのが面白く、奴隷が管に息を送り込み、泡風呂を皇帝に奉げる仕掛けが凄かった。

 最後に、涙でまた皇居のお堀からルシウスが、浮かび上がってくるのは蛇足。

 マンガ家志望の、女の子は、映画で作られたキャラだそうだが、彼女は「北斗の拳」に心酔している設定で、ルシウス(阿部寛)を初めて見るなり「ケンシロウ」と呼んだり、故郷の湯池場旅館に帰ってきて、「ヒデブ」とくしゃみのように言うところが、おかしかった。

 イタリアオペラの、おっさんが山の中で歌うとタイムスリップというところも楽しく、選曲も良い。面白い映画は、閉塞した私達の現実を一時、忘れさせてくれる。