ちょス飯の読書日記
『奴隷小説』 ★☆☆☆☆
- 作者: 桐野夏生
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2015/01/30
- メディア: 単行本
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これは、桐野の虐げられた人々の抵抗をテーマにした短編集。テーマはそれぞれだが、やや毒が少ない。
物語の筋立ては、断然坂東眞砂子にかなわない。おどろおどろしさがない。
「告白」は、男が縄で縛られて老人の話を聴かされるというもので、美醜が奴隷にされるか否かを決められた、というくだりは面白かった。喉がからからの状態で、がんじがらめにされて他人の話を聴かされるとは、身体に受ける拷問より恐ろしいかもしれない。
アイドルを目指す女子を応援する、冴えない、結婚できない中年男達を描いた神様男も、おかしかった。
ちょス飯の読書日記
『バルバラ異界』①〜④巻 完結
- 作者: 萩尾望都
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 2013/02/01
- メディア: Kindle版
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これは、何重にも仕掛けがあり、テーマがいろいろあり、それぞれの人物の想いが、複雑に螺旋に絡み合って、最後にきっちりと謎が解けるSFマンガ。
だが、難しすぎてよくわからない部分も多い。
今回、再読してみてやっと判明した部分もある。ゆっくり租借して読んでみたい。
近未来、眠っている人の夢の中に入れる機械が発明される。人の夢の中に入って、その人の深層心理を覗く仕事をしている主人公の「お父さん」。犯罪の証拠をつかむこともできる。しかし、そのような仕事を嫌い、男の子を産んですぐの妻から嫌われて、離婚。
お父さんは、ある事件以来、ずっと眠り続けている少女の夢の中に入って、彼女を目覚めさせるという依頼を受けるが・・・・
私たちが、今生きているこの現実の世界は、誰かの見ている夢の中の世界なのかもしれない・・・・。胡蝶の夢が、現実に現れたら・・・
死んだ人の心臓を食べる、それは記憶の伝承としてある一族に習慣となっている・・・死体損壊、人肉喰いとはショッキングなことが描かれている。
(しかしこれは、南の島の人々の姿を描いた坂東眞砂子著 『天唄歌い』でも書かれている。神の声を皆に伝える者は、死んだ時後継者に唇を食わせるのだという。私たちの先祖が、死者の肉を喰らって生延びたり文化を継承してきたとしたら、当然の習慣といえる。何も怖くない)
それにしても、彼女が眠り続ける理由は悲しい。
別れてから、育児に関われなかったお父さんの切なさ。
不老不死の研究のために遺伝子を操作したり、卵を自由に研究材料としてつかうとか、火星と地球の戦い、未来への宅急便などなど・・・これは、理系脳の作家でなくては描けないマンガ。
美しい弱々しい筆致だが、久しぶりに少女マンガの優雅な絵にも感激した。
ただ、最後の章が詰め込みすぎでもう少し、ゆっくりとした展開の方が良かった。ページ数を増やしても良かった。それでマイナス1★