パッセンジャーズ

アン・ハサウェイ演じるクレアが、飛行機墜落事故で生き残った人々のカウンセリングをしていく中で、次々と患者が消えて行くというサスペンス。事故の原因を隠したい航空会社の陰謀か、と思わせつつ、意外な展開を見せます。

パッセンジャーズ [Blu-ray]

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いわゆるどんでん返し系の部類に入るんでしょうけど、僕にはいまいちだったなぁ。オチのネタも弱いし、伏線のフリも今ひとつ効いてない感じでした。

ボトルネック

インシテミル米澤穂信さんの作品。
亡くなった恋人を追悼するためにやってきた東尋坊で、不意に崖から落ちてしまった主人公。気がつくと、自分の代わりに存在しないはずの「姉」がいるパラレルワールドに迷い込んでいました。その世界では、恋人はまだ生きていて、家庭の状況、近所の風景など、微妙に少しずつ違っています。そこで、知ってしまった恋人の死の真相。
青臭さ全開の青春ストーリーでした。

ボトルネック (新潮文庫)

ボトルネック (新潮文庫)


自分も中学高校のときは「もし自分がいなかったら」みたいなことを考えたなー。今よりもずっと狭いコミュニティが、世界のすべてだ、みたいに感じていたあの頃。星空を見上げながら「自分はなんで生まれてきたんだろう」って考えたこと、みなさんありますよね?
青春ものは好きなんですが、同じ青春ものでも本作みたいに鬱々としているのはちょっと苦手。「青春デンデケデケデケ」のように、青春の青臭さならぬアホ臭さ全開の方が好みなので、読み終えてすっきりとはしなかったなぁ。

ラットマン

道尾秀介さんの代表作。ネットでは「向日葵の咲かない夏」かこれか、って意見が多かったです。
僕も、これまでに読んだ道尾作品の中で、これが一番好きですね。

ラットマン (光文社文庫)

ラットマン (光文社文庫)


「ラットマン」とは、下の図のように、同じ絵なのに状況によって見え方が変わってくるもののこと。
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上はおじさんに、下はねずみに見えますよね。
物語も、このラットマンの絵のように、同じ事象を登場人物のそれぞれの視点から見るとちがったものに見えるという構造になっています。
最後の最後、事件の真相が暴かれる段階になって、読んでいる僕も大きくミスリードされていることに気づきました。一本取られて脱帽でした。
ただ、この作品も「ボトルネック」同様に、青春の暗い影みたいなのが見え隠れするので、その点だけはちょっと合わなかったです。