私が目覚めた理由

或る時、私はいつものように温かい女のそれを味わっていた。しかし、その日は何故だか酸味が強烈だったのだ。私は一度舐め始めたならば、相手が腹筋を絞るようなあの痙攣を始めるまで、舐める動作を決して止めたことはなかった。私はいつだって、女のあれを本当に食べたいとすら思っていたものだ。しかし、その日は違った。熟成した酢のようで、しかしとても強い癖がある味。これほど感動と嫌悪と性的興奮を呼び起こす味は、これまで無かった。そして私は、記憶に深く刻み込まれたあの味を、やがてもう一度味わいたいと思うようになった。特訓をするようになったのはそれからだ。私はいつも五感を研ぎ澄ますようにしている。あの味を、もう一度味わう為に。もう一度あれを嚥下する時に、恍惚たる幸福で喉を満たすことができるだろう。酢辣湯麺に入れる酢の量を増やして、私は今日もあの女を味わうことを夢見ている。