ちゅんたろう日記

05/01/04 津波と原発

津波インド南部の核の恐怖

 シュリ・ラーマン

 トゥルースアウト/レポート

 2005年1月2日日曜日

 インド、チェンナイ発

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 南部インドの臨海都市、チェンナイを、二重の災厄――津波と核の恐怖が

やっと通りすぎたところだ。(訳注:チェンナイはマドラスのタミル語名)

 12月26日日曜日、チェンナイを襲った津波は、漁村を破壊し幾多の家々

と人命を押し流した。津波はまた、市のはずれの海岸部、カルパカムにある原

子力発電所の一部に殺到した。(訳注:カルパカムは、チェンナイから南へ8

0キロいったところ)

 当原子力発電所の被害の全貌が明らかになるまでには、なお時間を要するだ

ろう。いや、そのような当局の公式報告を待ってもむだかもしれない。しかし、

詳しい調査をしなくても、カルパカム核複合施設と津波がきわめて恐ろしい組

合わせであることはわかるはずだ。

この恐怖のコンビのうち核については、いまのところ2つの理由で、詳細な

報告はあり得ない。まず第一に、原子力発電所を取り巻く防災上の秘密主義を

うがつことは容易でないこと。第二の理由(こちらの方が重要だ)は、放射能

漏れの恐れである。押し寄せた水に浮かぶ死体や瓦礫を捉えるように、カメラ

放射能漏れを捉えることはできない。

 ヒロシマナガサキよりさらにゆっくり進行する核の惨事が起こりうる。環

境運動家たちは、この20年ほどカルパカムの核複合施設の影響について、あ

まり急激な被害としては語ってこなかった(訳注:主として、近隣の海洋汚染

が問題とされてきた)。津波によって、事態はそんなものではなくなったと思

われる。

 津波直後におざなりに出された当局の報告は、当核複合施設にはまったく被

害はなかったと断定している。さらに強い調子で、いかなる放射能漏れもなか

ったと否定している。しかし、この当局報告でさえ、かなり大きな漁村があり、

施設の職員が住むカルパカム全地域で破壊的被害があったことを認めている。

災害直後に、職員の住宅地区で少なくとも60人、その他の地区で約250人

の死亡が報告されている。当局の報告による死者数は、その後も増え続けてい

るが、実際にはさらに多いと思われる。

 核複合施設について、当局は何の懸念も表明していない。カルパカムの核複

合施設とは、加圧水型重水炉2基、実験炉1基、再処理施設、建設中の高速増

殖炉原型炉(昨10月にインド首相によって「国家に捧げられた」)(訳注:

2003年9月に閣内経済問題委員会によって建設承認された)からなる。当

局は、重水炉のうち1基は津波以前に「配管の交換」のために運転停止され、

もう1基は、冷却装置へつながるポンプ室へ大量の海水が侵入したことが確認

された段階で、停止された(後者は、7日後の2005年1月2日、日曜日

運転を再開した)。

 この関連では、実験炉も含めて、再処理施設と集中廃棄物管理施設について

はとくに何も触れられていない。つまり、複合施設のもっとも重要放射能

連施設について、安全の保証は発せられていないのだ。インドの核当局が、こ

の種の報告で、うっかり言い忘れることなど考えられない。

 当局は、津波による職員の死を隠すことはできなかった。当核複合施設は、

教会で礼拝中に押し流された設計技師をはじめとして、地区内に点在する50

0戸の家々の中から怒濤に連れ去られた人々まで、何十人もの研究員、技術

を失った。それにしても、施設内でおぼれ死んだ(と言われている)女性作業

員はどうなったのか。突堤の廃液排出口で仕事をしていて行方不明とされてい

る男性作業員二人はどうなったのか。

 このような事件を問題にし続けてきた医師のグループ、「安全な環境のため

の医師たち」は、何年もカルパカムの施設自体の危険性と立地の危険性につい

て声を上げ続けてきた。カルパカムと周辺地域で熱心に健康調査を続けてきた、

グループのV. プガツェンディーは、なぜこの地での放射能漏れが、あり得な

い話ではなく現実なのか、語っている。

彼の指揮下で行われた調査によると、この地域での骨と血液のガン出現率は、

2003年5月から10月の7カ月間(原文ママ)に年齢15歳から50歳ま

での集団で、人口2万5千人当たり3人になる。1年間で同一年齢集団10万

人に対して1.7人という通常の数字と比べると、放射能汚染の結果であると

いうことがわかるという。

同グループのR. ラメシュは、目下進行中のもう一つの危険を指摘している。

津波の結果、沿岸部において「地盤沈下」が、必至であると予測されるという

のだ。彼はまた、高速増殖炉の位置が海抜わずか3メートルから5.6メート

ルであるという事実を強調している。5メートルから12メートルもの津波

のしかかってくる破壊力の恐ろしさを考えたら、核施設がどうなるか絵空事で

なく恐ろしい現実として思い浮かべることができるだろう。

 高速増殖炉建設に対する反対は以前からあった。もともと、計画反対派の主

張は、高速増殖炉建設計画は、沿岸規制ゾーンとして指定されている地域に、

環境に害を及ぼす建設物を建てることを禁止した1991年制定の法に違反し

ているというものであった。当局の反発は、横暴をきわめたものであった。法

の適用範囲から原子力発電所を除くという法改正である。カルパカムは、イン

ドの海岸部の環境を危機にさらしている多くの原子力施設の一つにすぎない。

伝説によれば、イングランド王にしてデンマーク王であったカヌート王も、

波を押しとどめることはできなかった。インドの支配者たちは、少なくとも津

波に核の大惨事を起こさせないことはできるのだ。

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シュリ・ラーマンは、インドジャーナリスト平和運動家。トゥルースアウ

トによく寄稿している。著作に「フラッシュポイント」(未訳)

原文:Tsunamis and a Nuclear Threat in the South of India

By J. Sri Raman

t r u t h o u t | Report

Sunday 02 January 2005

http://www.truthout.org/docs_05/printer_010305W.shtml

<参考> 2005年1月2日付けThe Times of India にShankar Raghuraman

という記者が、現地に入り原子力発電所を見学して、書いている。、カルパカ

ム地域に被害はあったが、原子力発電所はまったく無傷であった。約500メ

ートル海上に突きだした突堤が防波堤の役目を果たしたから。ただ、海水を引

き込むポンプ室は浸水し、それは検知された。原子炉本体とは関係なく、なん

ら深刻な事態ではなかった――。

 当局は、記者にマドラス原子力発電所2基のうち1基を見せただけで、他の

施設は見せなかったようです。この記事にも、他の施設を見たとは書かれてい

ませんし、他の施設について触れもしていません。この記事は、以下で見られ

ます。

http://timesofindia.indiatimes.com/articleshow/msid-978551,prtpage-1.cms

                    (翻訳/参考:TUP:池田真里)

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