創造と環境

コピーライター西尾忠久による1960年〜70年代アメリカ広告のアーカイブ

(266)ハーブ・ルバーリン氏とのインタヴュー(了)

(アイデア別冊『ルバーリン作品集2冊目』(1988.11.10)に載せたエッセイ。[1冊目のインタヴューで語られつくしているのだけれど20年ぶりに、2冊目のために2、3、書きそえる]の、終わり。)

タイポグラファーとしての巨星のことは、いまさらいうまでもないから、つぎの言葉を添えるだけにする。「タイポグラファーとしての才能は、文字に恋することから花が開く」そして、ルバーリンはクーパー・ユニオン校に在学中から、タイポグラフィーに夢中になっていたと。巨星は、同じ言葉でも、組み方次第で違ったイメージになるということに気づき、その発見をしばしば口にしているのだ。ぼくが強烈に覚えているのは、たまたま巨星のアトリエを訪問したとき、大統領選挙の最中だったので、世間話のつもりで、「あなたは、政治キャンペーンはやらないのか」と聞いたら、「政治家や非論理的な製品には手をださない」とだけ答え、あとは黙ってしまったことだ。
(写真は、1960年代のアトリエのスタッフがT定規を使わないルバーリン氏をからかって贈った、ねじれT定規)


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chuukyuu  あなたの関心はいま、何に集中していますか?


バーリン  25年間もこの仕事をしていると、たえず年をとってしまったのではないかと気にするようになるのが普通です。しかし、私の場合そんなことはそれほど苦になりません。
年齢などというものは、私の場合、気持ちの問題で、今これからスタートしようとしているような気でいますから。やっとこの商売の年季奉公を終えて、これからプロとして出発るという心構えですよ。
ヨーロッパに、かなりたくさんのアカウントを持っていて、デザインの国際的な様相にたいへん関心を持っています。
私は日本など外国の人びとのための仕事をもっとしたいと思っています。日本から招待が来ないかと待っているんですよ。私が他の国の仕事をしたいのは、オーディエンスが米国のオーディエンスとは非常に異なっているはずだからです。
それぞれの国にはそれぞれの異なった背景、異なった伝統、異なった人びと、そして異なったアピールがあるはずです。たとえば、ドイツでは、米国よりもすぐれた「デザイナーであることが要求されます。米国では、ドイツよりもすぐれた「クリエイティブなアイデアを持った人間」であることがより要求されます。ドイツ人はアイデアを理解せず、デザインを理解するからです。
それに言葉も面白い要素のひとつです。米国語は英語から分化しています。異なっているのです。その言語に伴なっていろいろなアイデアを発展させることができます。米国の場合は、さまざまな人種の寄り合いなので、米国ならではの表現方法があるのです。
米国の言葉は色彩豊かです。これらの言語の色彩にあわせて偉大なアイデアを生み出すことができます。でも他の国ではそうはいきません。ドイツでもスカンジナビア諸国でも、フランスでもだめです。イタリアの場合は、すこしはできます。彼らの言葉は、他の国よりも自由です。
だから、他の国々へ行って、その人びとのためにデザインをし、それぞれの条件をふまえて挑戦するのはとても興味あることです。それに、そろそろ世界を見て回る時期がきてもいるし。(写真は、1962年に、全米アートディレクターズ・クラブから贈られ黄金色のT定規)


chuukyuu  あなたが好きな音楽家は?


バーリン  ヨハン・セバスチャン・バッハです。それに、ルネサンス派全体とバロック派も好きです。実は、私はテープで音楽を聞くのが好きです。バロック派の音楽は、かれこれ15年間もテープで聞いてきました。バロック派の音楽には魅惑されっぱなしです。特にバッハはね。
また、今のポピュラー音楽もロックンロールも、ビートルズも同じくらい魅力的です、それに、もちろん米国のジャズも、私にとっていつも価値のある音楽でした。とても関心を持っています。


chuukyuu  あなたの会社のような組織と形態の会社は米国には多いのですか?


バーリン  いいえ、まれです。ほとんどのデザイナーやアトディレクターが、広告の方に引かれていってしまってしますから。だから独立したデザイン・スタジオは、ほとんど残されていません。私のように特に専門を持っていないような者は、ほかにはいないと思います。私たちは、米国の郵便切手から、60階建の建築物まであらゆるものをデザインします。ソール・バスやウイル・バーチン、シアーマイエフ、ゴールドショルなど数少ないデザイン・スタジオはあります。これらは彼らの個人的な価値を持ったスタジオです。それと、リビンコット&マーゴルス、レイモンド・ローウィのような大きなスタジオがありますが、この巨大などジネス・ジャングルの中で自分を見失ってしまっているので、私はデザイン会社としては尊敬できません。


chuukyuu  この会社をおつくりになってからあなたは仕事を選ぶ自由をお持ちになったのですが、その自由は今でも十分に保持されていますか?


バーリン  ええ、かなりのものがそうです。扱うクライアトは特に注意して選んでいます。あまり大きく成長したくないものですから、かなりのクライアントを切らなければなません。だから、クライアントとトラブルが起きると、それは中止してしまいます。
今だんだんに、自分たちが本当にしたい仕事だけをできるような地点に逢していきつつあります。もちろん、嫌な仕事でもしなければならない時代はありました。でもここ数年、私たちの仕事からそういうものを除いていくことができるようになってきました。


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ロゴ タイプ

3 The Steelo of New York スティール彫刻社
4 Interior planning & design servises
5 Business Equipment Inc.
6 Sudler,Hennessey & Luberlin Inc.
7 Steevewns Fabric Inc.
8 IKE Vern & Associates Inc, photpgraphy
9 Young & Rubicam Advertising Agency, Design Dept. 数字は番地



10 Moneys Worth, Ginsberg社の本
11 20世紀Fox社の宣伝用ロゴ
12 Sofe Scultuer展
13 Cooper Union School of Art & Architecture 試作ロゴ
14 New york Committee of Audience


レターヘッド

2   Anthony, photpgrapher
3   Somoroff phptp Inc.
4   Interior planning & design servises
5   Visual Graphics Corporation



6   Art Karn, photpgrapher
7   Business Equipment Inc.
8   Man News paper
9   IKE Vern & Associates Inc, photpgraphy



10   Bonder Carnase Studio


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