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『創造と環境』 このページをアンテナに追加 RSSフィード

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クリエイティブな仕事をしている某組織に入った瞬間から、そのクリエイターは「歩」から「成り金」となって才能を輝かせるが、高給に魅かれてその組織を出た瞬間から「歩」に逆戻りしてしまうのはなぜか…を40年前から何度もニューヨークへ出向き、その組織躰の当事者たちにインタビューしまとめて1969年に上梓したのが表題の著書です。

「クリエイティビティについて、その環境について、語りあいましょう。」

2010-05-01

(315)[ニューヨーカー・アーカイブ]によるビートル・シリーズ(1)

f:id:chuukyuu:20100426085707j:image:right処女作の拙編著『フォルクスワーゲンの広告キャンペーン』(美術出版社 1963.06.15 写真)は、ぼくが満33歳になった6日後に世に出ました。

47年前です。

あとで引用する[まえがき]にも記していますが、いちどもDDBを訪問したことはなく、すべて手紙の往復でつくった本でした。

7刷ほどいきましたか。

期待以上の効果は、DDBのバーンバックさんをはじめ、同社の多くのクリエイターたちと親交がむすべたことでした。

アド・エイジ』がおこなった「20世紀のベスト100のキャンペーン」では第1位に推されました。

広告のクリエイティブに革命をおこしたともいわれています。

さいわい、ニューヨーカー誌が同誌の[アーカイブ]をネットにアップしてくれていますから、キャンペーンがどういう経緯をたどって浸透していったか、2,3ヶ月かけて追ってみることにしますか。

同時に、『フォルクスワーゲンの広告キャンペーン』に収録したバーンバックさんやクローン氏のコメントなどもとりこんでいくつもりです。


        ★     ★     ★


第1弾です。


『ライフ』誌は2日遅れの8月3日号でした。

1959年の『ニューヨーカー』誌にはこのほかに、後続の4点が掲載されました。


9月の下旬の号と10月の号には、「来年型」を称した新車の広告が満載されるのを避け、後続1点の掲載を早めたのでしょう、ビートルは外形が変わっていないのですから。

あとの3点は11月と12月へ繰り延べしています。


f:id:chuukyuu:20070305130731j:image:w450:left


フォルクスワーゲンは変わるでしょうか?


答えは、イエスです。

フォルクスワーゲンは、1年を通じて間断なく変化しています。1959年1年間だけでも80ヶ所も変わりました。

しかし、どれも目には見える変化ではありません。私たちは、はやりすたりをよいことだとは思っていません。私たちは変更のための変更などはいたしません。ですから、この勇ましくて小さなフォルクスワーゲンの外形は今後もずっとこのままでしょう。不恰好なししっ鼻も、ずっとこのままでしょう。

この車は優秀ですが、さらによいものにするような方法を、私たちはいつも探しています。たとえば、ドレイン・プラグに永久磁石を取り付けました。金属粉はこの磁石にくっついてしまうので、オイルの汚れが防げます。

シフトは、いうまでもなく世界中でいちばん優秀です。しかし私たちは、これをもっと滑らかにする方法を発見しました。クラッチ・プレート・ライニングに特殊鋼のバネをつけたのです。

フォルクスワーゲンは過去11年間という歳月以上に変化しています。しかし、その心臓や外形は変わっていません。

VWのオーナーは、その車に何年も乗っています。自分のVWが新車とほとんど同じ価値があることを存じなので、安心していられるのです。


C/W ジュリアン・ケーニグ

A/D ヘルムート・クローン


"The NEWYORKER" 1959.08.01


フーォルクスワーゲンの広告キャンペーンのクリエイティビティ


      ドイル・デーン・バーンバック代理店

      社長  ウイリアム・バーンバック


(注・これは、バーンバックさんが1961年のAAAAの総会で講演したものの一部です、本書へのメッージにかえて送ってくださいました)


フォルクスワーゲンのキャンペーンについてお話しましょう。


私たちがこのアカウントを引き受けたとき、最初にしたことは、 ドイツのウォルフスブルグにある工場で多くの時間を費やすことでした。


私たちは、技術者や設計者、経営陣や流れ作業員などと話しあって数日を過ごしました。


私たちは、溶けた金属が固まってエンジンになると一緒に歩き、そしてすべての部品が最後に定められた場所に納まるまで歩き続けました。


私たちは、最後に、一人の人がハンドルをとって、生まれたばかりのビートルに最初の生命を吹きこみ、それがはじめて動き出すのを見ました。


私たちは、フォルクスワーゲンのつくり方をすっかりのみこむことができ、テーマを何にすべきかを知ったのです。


私たちは、何がこの車を他の車と区別させているのかを知りました。


私たちは、何をアメリカの大衆に告げなければならないかを知ったのです。


私たちは、いわなければなりませんでした。

「これは正直な車だ」

これが私たちのセリング・プロポジション(宣伝命題)でした。


私たちは、使用される部品の品質を見ました。

私たちは、間違いを避けるためにとられる、信じられないぐらいの予防措置を見ました。

私たちは、車を何回も引き返らせ、そのかわりお客さまからは決してつき返されることのないようにする、莫大な金のかかった検査システムを見ました。

私たちは、この信じられないぐらいの安い値段で、このすばらしい品質の製品を可能ならしめている、印象的な能率を見ました。

私たちは、作業員たちの、定められた基準よりもずっと自分をすぐれたものにしている熟練の誇りを見ました。


そうです、これは、正直な車です。私たちは、セリング・プロポジションを見つけました。


私たちは、 うまくやることができたでしょうか?

私たちがいわなければならないのは、「これは正直な車です」 ということだったのでしょうか?


さて、私はここで、そんなふうにはいかなかったということをお話しようとしているのではありません。

しかし、私たちのように少ない広告予算では、そうはいかなかったのだということを申し上げたいのです。

真実を告げるということと、それに人びとの耳を傾けさせ、真実として認めさせるということは、まったく別物です。

広告予算に関する限りでは、人びとがあなたを信じるまで、真実は真実とはなりません。

もし私たちが、「フォルクスワーゲンは正直な車です」という言葉の上に十分なお金を積むことができたなら、そのお金の重みだけで大衆の心にその文句を焼きつけることができただろうと思います。

しかし私たちには、それだけの時間もお金もありませんでした。

私たちは、同志、クリエイティビティにご登場を願わなければなりませんでした。

私たちは人びとをギョッとさせ、決して忘れられないようなやり方で、私たちの利点を直ちに気づかせなければなりませんでした。


これが、クリエイティビティの真の機能です。


たえず技術の進歩を続けているので、「これは正直な車です」 と人びとに告げるために、私たちはこんな質問をしました。


「VWは変わるでしょうか?」


人びとはVWは決してモデル・チェンジしない車だと考えていました。


彼らはしきりにチェンジの記事を読みたがっていました。

そして彼らは、失望させられませんでした。


なぜなら、車の外観は全然変化しないけれども、車の外観を最新流行にしたり流行おくれにしたりするのではなく、あなたが感じたり聞いたりすることのできる車の内側、変えただけのことはある車の内側では、数えきれないほどのチェンジが行なわれているということを知ったからです。

ここで、イマジネイションとクリエイティビティが、「これこそ正直な車である」ということを、 ドラマティックに証明するために用いられました。


あなたはVWの別の広告、 「不良品」という見出しで、ただ1台の車を示しただけの広告を覚えていらっしゃるでしょうか?

車の欠点を指摘して、いまや伝説にさえなっている広告だということはご存じでしょう。


しかしこれは、それ故にこそ、「これは正直な車である」ということを、もう一度忘れられないように証明するために使われたのです。

というのは、それがドアのどこかに目に見えないようなカスリ傷があるというので、この車を不良品だといったのは、VWの非情な検査員だったからです。


私たちがただ、 「すべてのVWは厳しい検査をパスしなければなりません」といったと想像してみて下さい。

「不良品」という一語の見出しのクリエイティブな一撃であらわされたのと同じことを主張するのに、どれほど数多くの広告と、どれほど多額の金がかかるとお思いになりますか?


しかし読者が語りかけるのは言葉や写真だけではありません。

誌面には感じや調子があります。

そしてこの二つは、VWの広告で、レイアウトは非常にシンプルでわかり易く、清潔です。

活字はクラシックで、装飾的ではなく、コピーの文体は機能的で直截です。

主語、動詞、目的語です。

正直という私たちのセリング・プロポジションを、できるだけ早く、できるだけ強いインパクトで消費者に届かせるために、すべてのことが心理学的にクリエイティブに行なわれています。





The beetle's ads series with "New Yorker's archive (1)

An advertisement made the beginning



f:id:chuukyuu:20070305130731j:image:w250:left


Is Volkswagen contemplating a change?


The answer is yes.

Volkswagen changes continually through-out each year. There have been 80 changes in 1959 alone.

But none of these are changes you, merely see. We do not believe in planned obsolescence . We don't change a car for the sake of change. herefor the doughty little Volkswagen shape will still be the same.

The familiar snub nose will still be intact.

Yes, good as our car is, we are constantly finding ways to make it better.

For instsnce, we have put permanent magnets in the drain plug. This will keep the oil free of tiny metal particles, since the metal adheres to the magnets.

Our shift, we are told, is is the best in the word. But we found a way to make it even smoother.

We riveted special steel springs into our clutch plate lining.

The Volkswagen had changed completely over the post eleven years, but not its heart or gface.

VW ownerskeep their cars year after year, securein the knowladge that their used VW is worth almost as much as a new one.


C/W Jullian Koenig

A/D Helmut Krone

"The NEWYORKER" 1959.08.01

mokomoko 2010/05/01 06:02 わあ、幻の名著と聞かされていた『フォルクスワーゲンの広告キャンペーン』がネットで読めるなんて、想像もしていませんでした。
『創造と環境』もアドエンさんとかの若いクリエイターさんたちのボランテイアによる入力で全文を読ませていただきました。
こんどは『フォルクスワーゲンの広告キャンペーン』、いよいよ、すごいブログになっていきますね。
バーンバックさんの3つのインタビューも、このGW期間中に再読、三読させいただきます。一読だけではもったいないもの。

hiroysatohiroysato 2010/05/01 13:37 chuukyuu様

初めて手紙をDDBに出したのはどのような内容だったかご記憶でしょうか?
少なからず、好きな記事をスクラップしていた人はいたと思います。
でも、手紙で連絡をする人はそういなかったのではないでしょうか?
(もっともchuukyuu様みたいに徹底していた人はそういないと思いますが..)

自分で一歩を踏み出すことってなにか知りたいとか伝えたいとか渇望する
なにかがないと行動が伴わないように思いますがいかがでしょうか?

なんだったのかと知りたいなと「渇望」してしましたので投稿しました。

この本Amazonで、12,300で売っていますね。
http://www.amazon.co.jp/フォルクスワーゲンの広告キャンペーン-1963年-西尾-忠久/dp/B000JAIK3K

みなさん大事に読まれたのが想像つくようです。
http://landship.sub.jp/stocktaking/archives/002385.html

chuukyuuchuukyuu 2010/05/01 14:00 >hiroysato さん
サンヨー電機を辞し、日本デザインセンターにコピーチーフとして契約したとき、担当したのはトヨタでした。アートディレクターは田中一光さん。ビートルのシリーズを集めたのは、その資料としての意味もありました。パブリカの発売キャンペーンを手がけました。1年でトヨタを降り、野村證券の担当になりました。
アートディレクターは山城隆一先生。
山城先生のところへ、美術出版者の女性編集者の藤原さんがみえたとき、山城先生がぼくがビートルの広告を収集しているとお話しになり、藤原さんが興味をしめし、サンプルを持ち帰って、検討され、出版の話がきまりました。
それで、すぐに、バーンバックさんと、米国VW社のハーン社長へ、許可とメーセージの要請をした手紙をだしました。

好奇心で手紙をだしたのではなく、具体的な案件を告げたのです。
以後も、ボブ・ゲイジさんやトウビンさんに手紙をだすばあも、「アイデア」誌にあなたの作品を紹介したいからと、見本誌とともに依頼しました。
ゲイジさんの作品が『アイデア』に載れば、あとはそれをサンプルとしてつければ、DDBだけでなく、どんな代理店のアートディレクターも信用し、かつ、載ったものを自慢してみせびらかしますから、たちまち、ぼくは有名になるとともに、信頼できる日本人という評判がニューヨークほかでひろまったのでしょう。
あとは、会いたいといえば、時間をとってくれました。

chuukyuuchuukyuu 2010/05/01 14:07 >hiroysato さん
追記。
バーンバックさんのところに、日系2世のサチ松本(?)という秘書がいたことも幸いしました。送ったビートルの本の日本文を翻訳するとともに、正確にDDBを紹介していると言ってくれたらしいのです。

prontech315prontech315 2010/05/01 16:45 …けっして皮肉を込めるつもりはないですが、
昨今のトヨタに一番必要なのは、こういうクリエイティブなのかもしれないな。…と思った次第です。
クローン氏の記号的なビジュアルに凄味すら感じつつ。

atsushiatsushi 2010/05/02 02:41 『LIFE』には、1959年8月3日号に載っていますね。

http://bit.ly/amompn

上のページで、
ほかの広告と見比べるとこのビジュアルは
異彩を放っていることがよくわかります。

クローン氏の言っていた「サンセリフフォントを使った、エディトリアル・ルック」雑誌広告において、読ませるための工夫がこの表現を生んだのでしょうね。

『アイデア』掲載の舞台裏話、とても興味深く読ませていただきました。
このブログ、コメント欄も見逃せないです。

chuukyuuchuukyuu 2010/05/02 02:45 >ptrontech315 さん
認識の相違だろうとおもいます。
先日、このコメント欄だったかに、米国でのビートルのシェアは「3パーセントだったのだから6パーセントの賛成者を得るための広告」と書きました。
トヨタの車種別のシェアは知りませんが、各車種別にみると、10パーセントを超えているのはほとんどないのではないかなと。
そういう風に考えたら、大トヨタ的認識をしないで広告づくりがきると。

chuukyuuchuukyuu 2010/05/02 02:53 >moko さん
日本デザインセンターのコピー・チーフになった段階で、運転免許はとっていませんでした。
米国にも行っていませんでした。
だから、クルマについて、ズブの素人として対していたのが幸いしたのかもしれません。45年前は、日本人のほとんどの人が運転未経験でしたから、そういう人にどう語りかければいいか---つまりは自分をどう納得させるかでしたから。
『フォルクスワーゲンの広告キャンペーン』は、そういう感じの本のつくりでした。

chuukyuuchuukyuu 2010/05/02 03:46 >einen さん★★★★★★
>rara33 さん★★★★
>cnot さん★★★★★
>hiriyato さん★
>khalki さん★
>numapy さん★★★
>prontedch315 さん★★★★★★
>fuku33 さん★★★
47年前の自著の、いよいよ解体新書。
この編著ででたとき、不忍池の池中にあった料亭で、森永製菓の村瀬尚さんが出版記念パーティを催してくださった。
そういう習慣をしらなかったド初心でした。
参加してくれたのは、ほとんどコピーライターでした。いってみれば、「コピー10日」のどんちゃんさわぎ。

chuukyuuchuukyuu 2010/05/02 03:59 >atsushi さん
いつも、おはげまし、感謝。
そう、これまでは、『ライフ』誌が初出とおもいこんでいましたが、こんどのこの『ニューヨーカー・アーカイブ』で、こちらのほうが2日だけ日付が早かったと知りました。
どちらも週刊誌ですが、それぞれが実売日と月日号とのずれをどうしていたか、調べたことがないので、実はどっちが早かったのか、わかりません。
まあ、掲載回数からいいうと、『ライフ』誌のほうが2,3割増しというところでしょうか。媒体料金では、倍か、3倍---もっとかも。
米国系の広告代理店にお勤めの方に、45年前の両誌の掲載料金を教えていただけるとうりがたいです。

GPS_GPSGPS_GPS 2010/05/03 19:49 今拝見しました!楽しいGWになりそうです!

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