創造と環境

コピーライター西尾忠久による1960年〜70年代アメリカ広告のアーカイブ

(639)[ニューヨーカー・アーカイブ]を基にエイビス・シリーズ(31)

これまで、ハーツを名ざしはしないでNo.1とだけいってきたが、ここで、ハーツの広告のメイン・イラストレイションである、航空機で出張してき、空港でレンタカーを借り受けるビジネスマンを戯画化し、名指したも同様の表現をとった。


No.1としても、黙視できなくなったでしょう。


エイビス側としては、競争広告の場へハーツを引っ張り出すことで、さらに話題性を高め、群小のディスカウント・レンタカーをふりおとす戦術であったかもしれない。



エイビスの車が出払っていたら、
私たちの競争相手からでも
車を調達します。


私たちは気取ってなんかいられません。2位なんですもの。
私たちは同業者中(1位も含めて)に問いかけます。
あなたにお回しできる車を持っているところなら相手かまわず。
空港で、金庫に鍵をかけてでも、競争相手のところへ手当てに行きますよ。
じっさい、あちこちで、頻繁に、見かけていらっしゃるのが、私たちのぴっかぴかのプリマスだとお知りになったら、きっとお驚きになります。
国内では、総計35,000台を常備しています。
ですから、すべてのエイビス車が出払ってしまうなんてこと、滅多にはありませんがね。
(予約をお入れいただいておけば、ご安心です)。
また、私たちの競争相手の車がまわされるご懸念もないわけです。
このことは、エイビスのお客さまにとっていいことであり、それは競争相手も心得ています。
競争相手にはチャンスですからね。


C/W ジャック・ディロン Jack Dillon
A/D ヘルムート・クローン Helmut Krone
"The NEWYORKER" 1966.04.23 1966.08.27

【注】この広告の理解を助ける若干の解説---1位のハーツは、「あなたを運転席に導きます」と、ビジネスマンが飛び降りる写真のシリーズをつづけていました。


ハーツ側の広告代理店は、このときまで、ノーマン・クレイグ&ケンメル 社でした。


広告会社を新進のカール・アリー社に変えました。