エチエンヌ・マレー(2)

 「写真銃」は一定間隔で高速に撮影することができるだが、この段階ではまだ1秒間に撮れる枚数がまだ少ないし、まだフィルムではなくガラスの乾板を使用しているために1秒分しか撮影できない。
 マレーも写真銃には不満を持っていた。だが、それは映像への応用に対してではなく、動物の動きの研究においてである。1枚1枚の写真が小さくて粒子が粗いため、大きく引き伸ばして研究することができなかったのだ。
 そのために、マレーはあっさりと写真銃の活用を諦める。そして、別の方法で研究を行う。そんなマレーは再び写真銃の改良へと戻ってくる。1887年のことだ。その理由は何かというと、「フィルム」だ。マレーが写真銃を諦めた最大の理由は、出来上がった画像の粗さにある。わずか5年の間に、技術は改良され、イーストマン社がロール式のペーパーフィルムを発売していた。これにより、画質面の改良・(ガラス乾板と比較して)長時間の撮影が可能になり、マレーはロール式のペーパーフィルムを使用した撮影機を開発することになった。