ジョルジュ・メリエス−映画を見世物に向かわせた男(8)

 メリエスは徐々に人気を失っていく。その理由は簡単だ。「月世界旅行」から新たなものを生み出すことをしなくなったのだ。1900年代の映画は、今とは異なり、様々な人々が様々な映画の可能性を開花させていった時代だった。たとえば、ロケを行って迫力のある映像を撮ったり(「大列車強盗」(1903)など)、クロース・アップで人物の表情を読み取れるようにしたり、編集を工夫して観客に様々な感情を呼び起こすようにしたりといったものだ。

 メリエスはメリエス流の映画の魅力とは別のタイプの映画の魅力を無視して、メリエス流の映画の魅力を放った作品を作り続けた。いくら魅力を持った作品といえども、同じタイプの作品ばかりでは、人々は飽きてくる。

 現在、日本でメリエスの作品を見ようと思ったとき、「死ぬまでに見たい映画1001本」という本の付録としてついてくるDVDを見るという方法が最も簡単だ。このDVDにはメリエスの作品が多数収録されている。

 このDVDを見ていると、面白いことは面白いのだが、ほとんど同じような内容の作品を見ると少し飽きてくる。着色されていたり、格好が悪魔だったり、中国人だったりと工夫はされているが、基本的には同じなので、飽きてくる。10数本しか見なくてもそうなのだから、毎週毎週同じような作品ばかりだと飽きられてしまうのもわかるような気がする。


私が見たメリエスの映画が見られるDVD・ビデオ
「THE MOVIE BEGIN」(アメリカで発売されているDVD)
「フランス映画の誕生」(ジュネス企画
本「死ぬまでに見たい映画1001本」の付録
死ぬまでに観たい映画1001本