2009-07-29 「カリガリ博士」以後の表現主義映画
■[1920] 「カリガリ博士」以外の表現主義映画
「ゲニーネ」は「カリガリ博士」と同じくカール・マイヤーのシナリオ、ロベルト・ヴィーネの監督に加えて、有名な表現派の画家セザール・クラインがセットを担当し、人気女優フェルン・アンドラが主役した。会社が始めから商業的理由で表現主義であることを意図した作品として作られた。
主人公ゲニーネは東洋の美女であり、メロ卿によって屋敷に閉じ込められている。若い男性フローリアンがゲニーネの美しさにとらえられ、メロ卿の喉を剃刀で掻き切る。ゲニーネは解放されるが、フローリアンはゲニーネの魅力に錯乱し、身を滅ぼすというストーリーである。
メロ卿は圧制者カリガリ、ゲニーネはカリガリ的な圧制を倒す本能の化身であり、マイヤーは表現主義の思想を一歩進めたと言える。だが、思想より形式に熱中し、装飾過多で乱雑すぎて、作品の意図もストーリーも埋没し、失敗作に終わったと言われている。
「朝から夜中まで」(1920)は、表現主義の舞台を手がけた急進的な舞台演出家であるカール・ハインツ・マルティンが監督した作品である。ゲオルグ・カイザーが1916年に執筆した戯曲が原作で、内容・形式ともに本格的表現主義映画を意図して作られた。セットは「カリガリ」のような絵画的表現主義ではなく、舞台的表現主義だったという。
銀行の出納係が、無気力な生活に絶望し、突然手元の大金を盗んで街へ出る。欲望と頽廃が支配する混沌の世界で、金をばらまき、享楽に没頭するが何も得られない。最後に救世軍の娘にすがろうとするが、娘は警察に密告する。ラストは十字架の上でキリストのような格好で主人公が自殺するというストーリーである。
絶望的状態のドイツ中産階級のリアルな心情を見事に表現したといわれる。
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