2010-08-28 映画評「フォーゲルエート城」
■[映画作品][1921] 映画評「フォーゲルエート城」
製作国ドイツ 原題「SCHLOB VOGELOED」 英語題「THE HAUNTED CASTLE」
ウーコ=フィルム GmbH製作 デクラ=ビオスコープ AG配給
監督F・W・ムルナウ 製作エーリッヒ・ポマー 脚本カール・マイヤー
フォーゲルエート城に多くの客人が訪れている。その中の1人である伯爵は、弟を殺した疑いを持つ男と言われていた。その伯爵の弟の妻は、今は男爵と再婚しており、この夫婦もフォーゲルエート城へやって来ていた。
小説の映画化を専門とする映画会社だったウーコ=フィルムによる作品である。「フォーゲルエート城」も週刊誌に連載された小説の映画化であり、連載終了後すぐに封切られた作品である。原作は心理的描写が中心の作品のようで、映画版も全体的に動きが少ない静かな映画といえる。
話は他愛もないと言ってしまっていいだろう。「ヒッチコック劇場」のエピソードに使えそうなものだ。正直言ってストーリーだけであれば30分あれば十分だろう。「フォーゲルエート城」のメインの魅力はストーリーにはない。それは30分で済むストーリーを80分にまで引き延ばす、映画の雰囲気の描写にある。
雨が降る怪しげな古城を舞台に、殺人者と疑われる男が登場し、訪れていた牧師は姿を消し、客人は獣人に襲われる夢を見る。と書くと、ミステリーの謎めいた雰囲気や、ホラー映画のおどろおどろしい雰囲気を創造するかもしれない。確かにそういった雰囲気もありつつ、次の日になると晴れたり、厨房ではクリームを盗み食いして怒られる少年がいたりと、コミカルな雰囲気も漂っている。このバランスによって、映画は非日常的でありながら、日常的な雰囲気も備えた作品となっている。
このバランスが、この作品を「今見ても面白い!」と断言できないものにしていると言えるだろう。バランスが良すぎるため、他愛もないストーリーが、他愛もなく感じられてしまう。それでも、それぞれの雰囲気の描写において、ムルナウの手腕は発揮されている。ムルナウの才能の一端は十分に感じられる作品ではある。
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