映画評「ムース氏の珍騒動」

※ネタバレが含まれている場合があります

[製作国]アメリカ  [原題]MIGHTY LIKE A MOOSE  [製作]ハル・ローチ・ステュディオズ  [配給]パテ・エクスチェンジ

[監督]レオ・マッケリー  [撮影]レン・パワース  [編集]リチャード・C・キュリアー

[出演]チャーリー・チェイス、ヴィヴィエン・オークランド

 出っ歯の夫と、デカ鼻の妻。それぞれ整形をして、ハンサムな夫と美しい妻になるが、お互いに知らずに出会ってパーティに出かけることになる。アメリカ国立フィルム登録簿にも登録されている短編。

 出っ歯とデカ鼻の見た目の面白さに加えて、お互いが整形をしたことを知らないことから他人と認識してしまうというストーリー、終盤はチェイスによる1人芝居のサイト・ギャグの楽しさと、様々なコメディ要素が凝縮された作品である。

 よく考えると(よく考えなくても)、整形しているとはいえ声や他の部分で分かりそうなものだったりなど、おかしな部分は多くあるのだが、それを勢いで突破している。現実ではあり得ない速さで、チェイスがパジャマとスーツを着替える段にいたっては、もはや開き直ったとしか思えない暴走を見せてくれて楽しい。

 監督は、このあとハリウッドで様々な名作を送り出していくレオ・マッケリー。当時は主演のチェイスの方が有名だったであろうから、知名度が逆転していることを思うと複雑である。