映画評「無理矢理列車追跡」

※ネタバレが含まれている場合があります

[製作国]アメリカ [原題]CHASING CHOO CHOOS  [製作]モンティ・バンクス・エンタープライゼス [配給]パテ・エクスチェンジ

[製作総指揮・原案]モンティ・バンクス  [脚本]チャールズ・ホーラン、ハリー・スウィート

[出演]モンティ・バンクス、ヴァージニア・リー・コービン

 暴走する列車に乗っている恋人を助けるために、モンティは列車を車で追いかける。

 モンティ・バンクスは数々のアクション=コメディを製作・出演した人物で、日本では「無理矢理」シリーズとして公開された。「無理矢理列車追跡」は、「安全第一」(1927)という作品から、アクション部分を取り出して短編として公開された作品である。

 コメディというよりはアクションである。当時は、今で言うアクション映画もコメディのジャンルの中に含まれることが多かった。車で列車を追いかけて飛び乗るシークエンス、列車の屋根の上で、多くの追手をかわしたり、落ちそうになったりしながら何とか頑張るスタントは、多くをバンクス自身が演じているように見える。

 元々長編からアクション部分を取り出しているので、より濃密にアクションを感じるのかも知れない。ただ、1つの作品として考えると、ひたすらアクションだけを見せられても、それだけで心の底から楽しむのは難しい。アクション単体で見ると、ハロルド・ロイドにもバスター・キートンにも負けない作品だが、作品全体として見ると物足りなさが残る。これは、短編/長編の違いではなく、1本の作品として作られているか否かの違いだ。