『草原の輝き』

cinemachouchou2005-02-19

ナタリー・ウッドは美しいまま早くに世を去ってしまった銀幕の名花のお一人だと思う。おしゃまな子役時代から10代、20代とめきめきと美しさを増していく。「理由なき反抗」も代表作だと思うけれど、私はこの「草原の輝き」がとても好き。嘗ては相手役のウォーレン・ビーティは全く興味が無く対して覚えてもいないくらいだった。ナタリー・ウッドの思春期の大人になる手前の恋心が痛い程印象的だった。


いつもの如く、今だと相手役のウォーレン・ビーティも気持ちを抑えて進学...という今の時代の若者とは違う純愛ものを好演していたと思える(お二人とも、実生活では恋多き方々だったようだけれど)。初々しいお二人の存在、特にナタリー・ウッドの美しさと恋の病を素晴らしく表現した幾つかの忘れられないシーンがある。


ナタリー・ウッドは40代という若さで水死してしまった...とても残念に思う。シリアスな作品のみならず、コミカルな演技もとてもキュートだった。「グレートレース」とか大好き!(ジャック・レモンがまた最高!)ロバート・レッドフォードと共演した「雨のニューオリンズ」も素敵だし、とにかく綺麗だった。


「草原の輝くとき、花美しく咲くとき、再びそれは帰らずとも嘆くなかれ、その奥に秘められし力を見出すべし。」というワーズワースの詩がラストに流れる...その言葉とほろ苦い青春の悲哀に胸がいっぱいになる。後追いながら、私が好きな青春映画の一つだと思う。


監督は「欲望という名の電車」「エデンの東」などでも有名なエリア・カザン。50年代に「赤狩り事件」により、引退後も亡くなった(2003年)今日も、アメリカの映画関係者の方々にでさえ、今なお批判され続けているという...。


「草原の輝き」:SPLENDOR IN THE GRASS
1961年 アメリカ映画 エリア・カザン監督
出演:ウォーレン・ビーティ、ナタリー・ウッド、パット・ヒングル