海からの風さまに守られて


 関東に大雪が降ったというが、小田原の海沿いにあるうちの近所では、まったく降っていない。ニュースを見てほんとかなと思ったが、都市銀行に用事があって平塚までオートバイで行ってみたところ、10kmぐらいしか離れていないのに、大磯あたりから路肩に雪がこんもり積もっていた。
 小田原は海からの風さまに守られて気象庁が発表する数値以上に暖かい。同じ沿岸の平野部でも、これだけ雪が積もっているのだから、海風の恩恵の弱いところもあるらしい。いろいろな条件の幸運がかさなって小田原の気候があるのを実感した。
 酒匂川の橋から見ると、近くの外輪山(じつは活断層だった)は木々で覆われているのに、遠景の丹沢山系が雪の厳しい表情。その対照。
 雪をまとうと遠くの山もぐっと近くに大きく見えて、びっくりする。思わずオートバイを停めた。
 

人に愛されるダメ人間

 焦りはよくない。不安になる。いらいらする。
 しかし今の時代、焦りがみごとに日本を席巻している。それを利用して、まんまとうまくやっている輩も多いように見える。
 そもそも情報が多すぎ。
 平安時代のひとりの人間が一生涯で入手できる情報量は、現在の新聞朝刊一部分ぐらいだったらしい。その情報量で紫式部は源氏物語を書いた。現代においても傑作の誉れたかく、かつ世界最大の長編小説である。
 なんだ、情報なんかなくてもやれるんではないか。というより、情報がありすぎてダメなのかも。情報だけじゃなくて、モノもありすぎなんだろう。たぶん。
 そう思ったら、あれもこれもと焦る自分が阿呆らしくなった。半分ぐらいは人生、居眠りして釣り糸でもたらしているぐらいの方が、案外、物事が見えてくるかもしれない。
 人に愛されるダメ人間をめざそう。