女性の貧困


「女性の貧困と経済的自立」という講演に行ってきました。
講師は大阪でシングルマザー支援活動などをされている中野冬美さん。
女性の貧困問題について考えてきました。以下ごく簡単なレポート。
正確なデータを引用できていないので概略になりますが、ご容赦ください。

女性の経済状況

シングルマザー

シングルマザーの平均年収は211万9千円(2006年度データ)。
全世帯の平均が563万8千円なので、半分以下。
8割は就業しており、そのうち半数が非正規雇用
家計を支えるために長時間労働(ダブルワーク・トリプルワーク)を余儀なくされている人も。
シングルマザー9割が生活が「大変苦しい」「やや苦しい」と答えている。
2006年時点でこの数字なので、現在はさらにひどくなっていることが予想される。


元夫からの養育費を受け取れない人も多く、受け取れても半年程度で止まるケースが多い。
DVや借金問題などで離婚した場合は夫に慰謝料を払えるだけの余裕がない。

参考データ
平成19年度 母子家庭の母の就業支援施策の実施状況

シングル女性

子供や夫がいること前提の税制・社会保障を、シングル女性は受けられない。
平均年収が男性の半分。(根拠となるデータを調査中)
補助的な作業を割り当てられやりがいを持てない。
結婚していないことでセクハラを受ける。

結婚している女性

家庭という括りでは経済的に回っていても、離婚・死別で夫がいなくなれば破綻する。
配偶者控除・103万130万の壁・女性の収入と大差ない保育料など、働かない方が得になってしまう国の政策。

女性の労働状況

男性 女性
正規労働者数 2334万人 1046万人
非正規労働者 527万人 1196万人
平均月収 326,800円 228,000円

参考データ
平成21年の働く女性の状況

賃金格差は69.8。
学歴・職階・勤続年数などを考慮して調整しても、70〜75程度。


男性と比べ、非正規雇用の人が圧倒的に多い。

隠れた貧困

不況で男性の非正規雇用者が増えたため貧困が社会問題化したが、女性の状況は以前とあまり変わらない。貧困である。

女性のホームレスがなぜ少ないか

不特定多数からの性暴力が怖い。
路上に出ず、実家・性産業へ行くケースが多い。
実質的には貧困であるが、表からはそれが見えない。


DV被害者の場合、夫の暴力から逃れて離婚しても貧困で苦しみ、
その上にシングルマザー・離婚経験者となったことで不特定多数からの暴力・ハラスメントを受けやすい。
これらの不安から、夫の元から逃げられない女性が多いことも想像される。
暴力から逃れられないのは環境の貧困だ。


生きるために労働するのが資本主義の考えであり、福祉を受けずに働く人が正しいという意識が一般的にある。
努力すれば食べていける、仕事をしていれば生きていけるというのはすでに幻想。
努力しても状況を変えられない。

貧困から抜け出すには

ベーシックインカム

すべての人に無条件で基本所得を支給する考え。
福祉を受ける人に対する差別と偏見がなくなることが期待される。
社会保障とそれに関わる人件費が削減される可能性がある。
一方で労働市場が崩壊するという危険も考えられる。


現時点では現実味が薄い。
しかし現状を変える方法があるのだ、考えている人がいるのだという事実が希望にはなる。
このしんどさを変えるための要求をしてもいいんだ!という気づきをもたらす。

同一労働同一賃金

仕事の価値に応じて給与が与えられるべきという考え。
これが現実的な解決方法。
日本はOECD経済協力開発機構)の勧告を受けているが実現していない。


まずは女性が自分の貧困状況を把握し、助けてくれと声を上げられることが大切。
それが自立の第一歩だ。
まず自分の置かれた立場を認識しよう。
要求する権利、声を上げる権利があるということに気づこう。

Claponの感想

女性の労働環境はあまりよくないと思っていましたが、データを見て驚きました。
すぐにこの状況を変えるのは難しいです。
まず一人一人がこの現状を知り、自分たちはここに生きているんだ!とアピールしていくことが必要です。
現役世代の女性の声はまだ小さいように思います。
もっと掘り下げていきたいです。