橋本健二の居酒屋考現学

居酒屋めぐりは私の趣味だが、同時にフィールドワークでもある。格差が拡大し、階級社会としての性格を強める日本社会の現状を、居酒屋に視座を据えて考えていきたい。日々の読書・音楽鑑賞の記録は、「橋本健二の読書&音楽日記」で公開中。社会学専攻、早稲田大学人間科学学術院教授。

「きくや」

classingkenji2007-09-15

新宿・やきとり横丁の「きくや」については何度か取り上げたが、この店はその姉妹店。店主は新宿の店主のお兄さんとのこと。やはり、ハイボールがある。味は同じだが、こちらは場所柄か二八〇円と新宿より二〇円安い。メインの料理はもちろん焼きとんで、新宿ほど種類は多くないがひととおりのものは揃う。刺身の種類が多く、一〇種類くらいあるだろうか。浦霞麒麟山、天狗舞、越乃寒梅など、日本酒も二〇種類ほど。焼き鳥以外のメニューは、新宿より充実している。越乃寒梅は店によっては一〇〇〇円以上取るが、ここでは六五〇円。良心的である。うまい焼きとん、刺身があり、日本酒が揃い、しかも安いという、まさに私好みの店。L字型カウンターと大きめのテーブルが二卓で、奥には座敷もあるようだ。テーブル席の椅子には、犬のメリーちゃんが座っている。常連たちになでてもらって気持ちよさそうだ。場所は、以前紹介した「吾作」の並びで、京王線のホームから見える。京王線の改札を出たら、左側にある世田谷線のホームに降り、そこから線路沿いの道を新宿方向に少し戻ったところである。