板前日記

静岡県浜松市にある割烹弁いち  TEL:0120-88-2216
静岡県浜松市 割烹 弁いち
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2016年08月24日 (水)

[] ポリシー


友人の料理店で、予約のお客様が「鰹の刺身を用意して欲しい」とおっしゃったのだそうです。


「鰹は初鰹の時だけ使わせていただいています。この時期は使わないんですよぉ」と対応すると


「生意気だ」と言い放たれ、予約はキャンセルになったのだそうです。


まっ、先方の虫の居所も悪かったのかもしれませんが、店のポリシーを曲げずにお客様の不興を買うというような出来事は料理店ではよくあります。



浜松の和食店のご主人がこれを聞けば「あるあるあるある!」と何度も頷く方がほとんどでしょう。


この地の方々は本当に鰹のお刺身が好きで、真冬の一時期を除いて一年中鰹が食べられるとおもっていらっしゃる方がたくさんいます。


極端に言えば、日本料理屋はふらっと立ち寄って、カウンター席に腰掛け「鰹の刺身ととりあえずビールね。もう一品何か焼いてくれる」  以上。


という注文がすべての料理店で成り立つと思っていらっしゃる方が多いのではないかとさえ思ってしまうほどの土地柄なのです。


ですから、私ン処のように


基本予約

コース料理のみおまかせ 単品無し

鰹の刺身はほぼ一年中でない

カウンターはあるけど一組のみのため

「とりあえず」のビールはない

メニューに日本酒の銘柄が書いていない


などという偏屈の塊のようなポリシーをもつ店なんぞ、件のお客様が予約の電話でもしようものなら「生意気だ」くらいではすまないでしょうね。


ただし、永いこと商売をしていますから、意固地なポリシーを前面に出さずに、くねくねと寝技で対応する能力は身につけてきたかもしれません。


夏の終わりに「鰹を食べたい」という電話があれば「この時期なかなかお口に合うようないい鰹を見つけられないんですよぉ。もっと美味しいお造りをご用意しますよ」とか


「今の時期の鰹を上手に使えないんですよぉ。未熟で申し訳ありません。どこか鰹を美味しくお出しになる店を紹介させていただきますよ」


くらいは言えるかもしれません。「鰹は使わない」という意味ではおなじですからね。


そうやって考えてみると、焼き餃子はメニューにない、ラーメンも海老チリもメニューにはない力のある中華屋さんを知っていますし、ビールを置いていないスーパーな品揃えの酒屋さんも知っています。


すべての店は、主人が一番美味しいと思うものを用意して、お客様をお待ちしているのですが、お客様が料理店に対して望むものは別にあるというわけです。


あいつにまかせておけば間違いなく経験したことのない美味しいものを出してくれるはずだという信頼を、まだ見ぬ一見のお客様にまで期待させることができるとしたら、ポリシーは口にしなくとも、料理だけでなく店全体でそれを表現できるはずです。


それができたら名店の仲間入り。手練手管の一部はもっていても名店までの道のりは、私には果てしなく遠いのです。

2016年08月19日 (金)

[] ライバルから憧れへ


豊橋フラスカティさんへ伺ってきました。


定休日が同じ日曜日で、この数年なかなか伺う機会を見つけられませんでした。




お客様に「お薦めのレストランは?」と訊かれたとき、半径70km範囲内ならば一番にあげるのは間違いなくこの店です。




料理はシェフ榊原さんにワインは奥様にすべてお任せ・・・というわけで出てきた最初の一皿は、


「真鯛のカルパッチョと桃 ルッコラ」


と書けば、イタリアンの経験者であれば誰でも作ることができる料理に思えます。私だって字面だけで想像して作ることはできます。


が、

その皿の迫力、力強さは全く別物なのです。


ギリギリの処まで突き詰めた塩味のパワー、それに絡みつくレモンとオリーブオイルのハーモニー、桃の熟した甘さ、鯛の旨味、すべてが自己主張しているのに寸前の処で調和しているのです。まるで名人ばかりが集まったオーケストラを指先一つでまとめ上げてしまうマエストロのようです。


この力業は私にはとうてい再現できません。小洒落たイタリアンで美しく飾られた皿にこの凄みを感じたことも一度もありません。


これを一口食べた瞬間に「あっ、今日は写真で残すことも、メモをとることもやめて、榊原さんと奥様の世界に浸りきろう」と決めました。



一皿目のインパクトは当然のようにさらに続き、


リードボーのソテーは火通しが絶妙で別世界だし


鮎のタリアテッレは初めて手打ちタリアテッレのあり方を教えてもらうような完成度だし、


蛸とジロール茸の旨味の凝縮感は赤ワインで口いっぱいに広がるし、


ブルターニュの仔牛のカツレツは、コトレッタミラネーゼの正しい姿はこれなのか!と見せつけられる大技です。


これらが、クールでさわやか、微笑みを絶やさない奥様のサービス提供されるのです。すべての料理のどこを尋ねても料理方法から素材の出所、ストーリーまで嫌みなくかえってきます。



すべての料理はどこかのイタリアンでもきっと同じような献立を提供しているはずなのに、榊原さんでしかなしえない榊原さんの迫力で食べ手に「どうだ!」と迫ってきます。


近隣のすべての料理店の中で、最高のライバルと思っていたフラスカティさんは、すでに憧れる存在にまで到達していました。


これからは私が追いかける番です。

2016年08月09日 (火)

[] 行列の秘密?


この夏も「ほろ酔い祭り」が開催されました。一週間前のことです。


知名度の低い小さな料理屋の割りには、毎回そこそこご支持をいただいていて、お席にご案内するまでにお待ちいただくこともたびたびありました。


ところが今年は、どうしたことでしょう、今まで以上の待ち時間、開店直後から最終まで最低三十分〜一時間待ちで常に行列ができているという前代未聞の状態が続きました。


献立の微調整はあるとはいえ、お出ししている料理 お酒の類いに大きな変化はないのに、この人気、訳がわかりません。


パンフレットで他店の献立を拝見すると原価を無視した赤字覚悟の料理を提供している店がたくさんあるのに、なぜ??




もともと地元発展会主催から始まった「ほろ酔い祭り」ですので、お付き合いの参加でした。


一品の料理と一種類の飲み物で数十分、相席でワイワイガヤガヤはしご酒をする企画は、価格の面からしても弁いちの本来の姿からはほど遠く、店にとってはハードルの高い難しい内容です。


一般的な弁いちのお客様は予約をして、コース料理とお酒を二三時間かけてゆっくりと楽しんでいただくのが本来の姿です。


そんな日常を繰り返している店が、お手頃なお酒と軽い一皿を見知らぬ方を隣にして楽しんでいただくことができるのかどうか?当初から、この企画はこの企画だけのものとして、料理とお酒で店を知っていただくきっかけになることにも大きな期待をしないでお付き合いをしてきました。


お手頃価格の料理とお酒での満足・・・・私にはものすごく難しい。


ところが、「この店は普段は敷居が高くて。。。」と思われる方が、思いの外興味をもってくださっていたようでした。


でも、行列で待っていただくほどの仕事をしているとは思っていませんでした。



なぜ?という私の疑問にあるお客様がfacebookでこんな書き込みをしてくださいました。


「 お忙しい中ご丁寧な対応をしていただきましてありがとうございました。おそらく私以外の方も感じているかと思いますが、お献立だけではなくお店作りや器やピカピカに磨かれた曇りのないグラス、中居さんのさりげない会話と接客態度・店主自ら厳選したお酒の説明をしてくださったこと。毎回とても心地良い時間を過ごさせていただいています。

ほろ酔い客にも丁寧で誠実な対応をしてくださり、また一見客であっても変わらぬ態度で接してくださるお店は以外と少ないのです。

何度でも伺いたい数少ない料理屋さんの一つだと思います。私には分不相応のお店ですがこれからも末長く浜松の名店として牽引して行っていただきたいです」


これは本当にありがたいお言葉です。


各店同一価格の料理やお酒で、他様と差別化ができるとしたら、この部分でしか対抗できないのです。


料理とお酒だけでなく、まつわるすべてのことに綿密に対応すること、このことこそが私の店にとっては大切なことでした。で、スタッフ全員が日々積み重ね、「これが当たり前」と思いながら、ほろ酔い祭りの企画でもお客様に接してきました。


それを感じてくださる感性をお持ちの方がひとりでもいらっしゃったとしたら、これ以上のことはありません。


料理とお酒の内容だけで店選びをしてくださっていると思い込んでいたほろ酔い祭りで、店のスタンスの一端が見えていたとしたら、毎日の精進がほんの少し身についているかも。。。と誇りにしてもいいかもしれません。ただ、それって店にとっては変わらぬこと、今回だけの行列の秘密は未だに解明できません。

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