板前日記

静岡県浜松市にある割烹弁いち  TEL:0120-88-2216
静岡県浜松市 割烹 弁いち
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2016年09月12日 (月)

[] 富山旅行


フレンチ”L'evo" 谷口シェフの料理は、現代のフレンチの突先を走っている皿の連続でした。


地元の食材を掘り起こし、ともに育むことから始まり、工芸の街であることを活かした器やテーブルまで、地方性を最大限に活かしています。


地産地消なら地方の名店はみな取り組んでいるのでしょうが、谷口さんの力量は食材の組み合わせの妙でいかんなく発揮されます。


ばい貝に山独活 岩牡蠣にまくわ瓜と玉蜀黍 穴子に三種類の調理方法の白アスパラ バージンエッグに甘口ワイン  特別飼育の鳥に赤いか  うりぼうに野菜 西瓜にゼラニウム 葡萄に酒粕


予想もしない取り合わせが次々と続き、驚きの盛りつけで現れるのです。



谷口さんの修行先を聞けば、今の仕事が修行先のコピーからはまったく解き放たれていることがわかります。


若くして、地方で、この力。


思い返せば、大都市以外の地方でこのような驚きと感動を味わったのは、私の少ない経験でしか言えませんが、高橋調理長全盛期の伊勢志摩観光ホテルと、通った小田原時代の成澤さん以外に思い浮かびません。


経験値の積み重ねだけでは到達できない圧倒的な力をみせつけられた料理達でした。




宿泊とディナーの前後に伺ったのは、L'evoでも使われている器を制作している作家お三人のアトリエ二カ所です。


最初の二人は静かで絶景の山の斜面に工房を構える下尾さんご夫妻です(訪問には予約が必要です)


タモの木を使った作品の数々は、木と言えば輪島塗りくらいしか使ってこなかった私には刺激的なものでした。


シャープな造詣の家具と木目を活かした繊細な器の数々。


大概の和食器は見れば献立を盛り込む絵が想像できるのですが、下尾さんの器は私にはかなりハードルが高い 難しい器です。


谷口シェフのようにこの器を使いこなせるようになったら、一つ違うステージで勝負ができるのでしょうが、少しばかり固くなった頭をほぐしてかからなければ常時店のラインアップに載せることができそうにありません。


とりあえず。。。と二枚の器を頂戴し、ジタバタしてみます。




同じように、L'evoで使われている陶芸 釋永岳の処も伺ってきました。


彼の器も古くさい私の頭には刺激的ながら難しい。


岳さんの器は浜松で行われたeventですでに料理を盛らせていただいているのですが、器を目の前にして絶句すること度々でした。


いつか彼の器をモノにしてみたいものです。


この年齢になって、まだこういう若い力を刺激に思えるだけ、いい環境にいられるのだな。。。と感謝できます。


岳さん 下尾さん ちょっと待っててね。

2016年09月11日 (日)

[] 四年ぶりの夏休み

四年ぶりに夏休みをとりました。


とはいっても、定休日をはさんで三日間だけ。


子供達がみな東京で社会人になって、家族旅行の必要がなくなり、休みといっても夏の暇な時期、お客様の予約が入っていない月曜日あたりを休んで連休を取るくらいでお茶を濁すのがずっと続いてたのです。もちろんスタッフは交代で休んでもらっていましたが、私自身は休む気になれない。。。というか、心のゆとりがない時間が数年続きました。


自分で店を切り盛りする方であれば理解していただけるでしょうが、日銭商売、休んでる場合じゃぁないぞ、1日でもお客様を逃さないで働かなくちゃ、という強迫観念。連休をとったら次に店を開けたら予約はずっと入らないんじゃぁないかという恐怖。仕事をしている方が精神的に楽に思えたりする時期が長い商売の間には必ずあります。


夏休みも取らずに頑張っている自分と、世間並みに四五日連休を取る自分の差は、たった数日でも大きいのです。


考えてみたら心筋梗塞で二ヶ月近くも休まざるをえなかった時があったのですから、二週間の休みを取ったって行けるじゃん。。。とは、貧乏性の私には全く思えません。


ともかく、心のゆとりが少しできて休みを取る気になった夏休みでした。




私たち夫婦にとって、どこかに出かけるということは、イコールどこで何を食べるか?です。


車中の景色や観光名所、温泉も大事ですが、美味しいもを食べる以上にお出かけの最優先事項はありません。どんなに美しい風景を見られても、その日のご飯が最悪であったら全ては帳消しになってしまいます。まさに食い意地のみ。


未知の場所でどんな店を選ぶか?あなたならどうされますか?


私が絶対に選ばないのは「TVでやってたあの店」「食べログで高得点のあの店」「ぐるなびで話題の店」「店構えを見てふらっと立ち寄る店」


選択肢としてあり得るのは、信頼をしている個人のブロガーがお薦めしている店、さらに角度が高いのは、同じ志を持つ料理人が紹介してくれる店(直接店主に連絡を入れてくれればなおよし) ブロガーお薦めの中でも、できればご本人にメールして「今回◯◯を尋ねるのですが、お薦めしていらっしゃったあの店は。。。」と直にお伺いします。


三回の食事があるとすれば、二回はこの線で予約が取れなければ旅行には出かけないかもしれません。



今回出かけたのは富山。


三十年前にちらっと立ち寄った金沢、四十年前に訪ねた山形、米子を除いては日本海側自体の経験がありません。この地でこぢんまりと生活をしていると、東京〜大阪新幹線 高速道路圏内でしか動いていないのですね。


訪れる気持ちになったのは、ずっと気になっていたリバーリトリート雅楽倶の予約が取れたからでした。このホテルにあるフレンチ”L'evo"の谷口シェフの料理を食べるのがメインの旅行でした。


で、

L'evoに出かけるとなったらまず相談するのはWEBマガジン ”lade”を主宰する根建夫妻です。


ご主人が富山出身、ladeでの紹介記事は、富山 浜松だけでなく、海外にまで広がり、このきめ細やかさと、綿密さは並ぶものがありません。


さらに、お二人はただの紹介ではなくて、ホテルマネージャー 料理人 ソムリエ メートル 工芸作家など、紹介されている個人能力の高い方々と直接親しくお付き合いをして人間関係を築いているのです。


「紹介者」としてこれ以上は考えられないほどのレベルなのです。


「◯月◯日に雅楽倶の予約が取れて富山に伺います。こんな日程を考えているのですが。。。。」と一言二言お声をかければ、


「お任せください。◯日のお昼の選択肢はこの店とこの店、翌日はこちらとこちらはいかがです?」「作家の◯◯さんはアポイント必要です。よろしければ私の方から」「◯◯さんとは連絡が取れました。◯日 ◯時にむかってください。携帯の番号は・・・」「お昼の予約が取れました。ホテルマネージャーにも連絡が入っています」「○○から先は道程がわかりにくいのでこの住所でgoogle mapを」


仕事のできる旅行代理店でもこれは無理、というレベルのアテンドをあっという間にこなしてくださったのです。


しかも伺う全ての店主、作家さんには「浜松の◯◯という店の主人が行くのでよろしく」と、多分三倍くらい大げさに名店主人来訪と伝えてくださったのだと思います。


旅行前にこれ。


すでに満ち足りた夏休みは保証されました。


もし、旅行に出かける時にladeでの紹介記事を見かけたら、必ず熟読すべきです。旅行雑誌の百倍信頼できます。

2016年08月24日 (水)

[] ポリシー


友人の料理店で、予約のお客様が「鰹の刺身を用意して欲しい」とおっしゃったのだそうです。


「鰹は初鰹の時だけ使わせていただいています。この時期は使わないんですよぉ」と対応すると


「生意気だ」と言い放たれ、予約はキャンセルになったのだそうです。


まっ、先方の虫の居所も悪かったのかもしれませんが、店のポリシーを曲げずにお客様の不興を買うというような出来事は料理店ではよくあります。



浜松の和食店のご主人がこれを聞けば「あるあるあるある!」と何度も頷く方がほとんどでしょう。


この地の方々は本当に鰹のお刺身が好きで、真冬の一時期を除いて一年中鰹が食べられるとおもっていらっしゃる方がたくさんいます。


極端に言えば、日本料理屋はふらっと立ち寄って、カウンター席に腰掛け「鰹の刺身ととりあえずビールね。もう一品何か焼いてくれる」  以上。


という注文がすべての料理店で成り立つと思っていらっしゃる方が多いのではないかとさえ思ってしまうほどの土地柄なのです。


ですから、私ン処のように


基本予約

コース料理のみおまかせ 単品無し

鰹の刺身はほぼ一年中でない

カウンターはあるけど一組のみのため

「とりあえず」のビールはない

メニューに日本酒の銘柄が書いていない


などという偏屈の塊のようなポリシーをもつ店なんぞ、件のお客様が予約の電話でもしようものなら「生意気だ」くらいではすまないでしょうね。


ただし、永いこと商売をしていますから、意固地なポリシーを前面に出さずに、くねくねと寝技で対応する能力は身につけてきたかもしれません。


夏の終わりに「鰹を食べたい」という電話があれば「この時期なかなかお口に合うようないい鰹を見つけられないんですよぉ。もっと美味しいお造りをご用意しますよ」とか


「今の時期の鰹を上手に使えないんですよぉ。未熟で申し訳ありません。どこか鰹を美味しくお出しになる店を紹介させていただきますよ」


くらいは言えるかもしれません。「鰹は使わない」という意味ではおなじですからね。


そうやって考えてみると、焼き餃子はメニューにない、ラーメンも海老チリもメニューにはない力のある中華屋さんを知っていますし、ビールを置いていないスーパーな品揃えの酒屋さんも知っています。


すべての店は、主人が一番美味しいと思うものを用意して、お客様をお待ちしているのですが、お客様が料理店に対して望むものは別にあるというわけです。


あいつにまかせておけば間違いなく経験したことのない美味しいものを出してくれるはずだという信頼を、まだ見ぬ一見のお客様にまで期待させることができるとしたら、ポリシーは口にしなくとも、料理だけでなく店全体でそれを表現できるはずです。


それができたら名店の仲間入り。手練手管の一部はもっていても名店までの道のりは、私には果てしなく遠いのです。

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