2008/12/26 (金) 新譜100枚聴き倒れ|総集編
■[mission] 新譜100枚聴き倒れ〜第69回 Marcelo Camelo の巻
もはや「終わることが無い、夏休みの宿題」状態と化していた新譜100枚聴き倒れですが、ようやく手元に残32枚が揃いましたので御座います。ということで、新譜を100枚聴き倒れた所感と、2008年の個人的な音楽シーンに対する所感を「つらつら」と書き綴る形式で、まとめて&一気に残32枚を駆け抜けたいと、思います(個々の音盤の感想は、すんません・・・)。
で、そもそもこの企画を始めた目的は『新たな音楽との接点であり、また新たな視点を広げる触媒であった意識の高いレコ屋&CD屋を守るため』であり、また『CDなんてなメディアへの拘泥は、今年が最後かも知らんな、という風見鶏的な予感』から始まったのでもありました。
■[mission] 新譜100枚聴き倒れ〜第70回 Hernan Hayet の巻
Hernan Hayet / El Lago A Las Siete
ということで、今年はアマゾンでの購入は極力控え、ほぼ個人商店の「志が高いレコ屋」に足繁く通い「CD」を購入していたのですが、やはり時代の趨勢には抗えずというか「悪い予感」が雪崩のように現実化して、今年はレコ/CD屋が次々と街から消えて行った年になってしまいました。
アップルクランブルやライナスのように、おそらく事業継続のために「コストセンター」である実店舗を閉店し、オンライン販売のみに切り替えた店もあります。大手では新星堂が事業再生計画発表したり、中堅ではシスコが倒産したり、インディ系に目を移すと「総本山的なアイコン」だった下北のハイラインや心斎橋のアルケミーが店舗を閉鎖したり、その他にも「馴染み以外のお店」も次々と街から消えてゆきました。
また、残存している店も、活気のないかつての「西新宿ネオア子総本山」の惨状とか、カフェ併設で売場を絞ったワルシャワとか、不安な気持ちにさせる要素は幾らでもあります。
■[mission] 新譜100枚聴き倒れ〜第71回 Kylie Boombox の巻
ブームボックス~カイリーズ・リミキシーズ 2000-2009
- アーティスト: カイリー・ミノーグ,ミムズ
- 出版社/メーカー: EMI MUSIC JAPAN(TO)(M)
- 発売日: 2008/12/17
- メディア: CD
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こうした状況は、音楽の創り手側でも確実に認識されているようで、「ミュージシャンは自分で作品を作って、自分で管理して、自分で販売する。みんながインディーズだ」*1というJOJO広重氏や、「プロとアマチュアの境目はなくなりつつある。マイスペースなどネット空間では素人も有名人もフラットに扱われる」*2という坂本龍一氏の発言にあるように、音楽における既存の流通機構が「気が付いた時には、大きく変わっていた」ことがアーティスト側から明確に指摘され始めた。
そういう意味では、上に上げたカイリー・ミノーグのリミックス集なんかは、ネット上の無名の誰かが二次創作したマッシュアップとアイデアレベルでも、音質レベルでも大して相違がないようにも思えたりする(あ、この音盤はかなり楽しいし、個人的にツボなんでけなしている訳ではないです余)。
それはさておき、上記の二つの記事を改めて読むと、流石は二人とも80年代を駆け抜け、いまだ現役なアーティストだなぁと思うのだけど、この「みんなインディ」という状況を冷静に分析していて「大衆娯楽としての音楽」が喪失されただけで、それによって却って「自分が本当に創りたい/演奏したい音楽」を追求しやすくなった、という類いの発言をしているのは心強い。
■[mission] 新譜100枚聴き倒れ〜第72回 The Presets の巻
- アーティスト: Presets
- 出版社/メーカー: Modular
- 発売日: 2008/06/23
- メディア: CD
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しかし、みんなインディになっちゃうと、玉石混淆から自分が欲する音楽を探し出すのは困難になると人々は思うんだろうなぁ。挙句、そもそも論として「自分が欲する音楽(聴きたい音楽)なんて、本当にあるの?」とか「欲しいと思い込まされてきただけじゃないの?」とか、そんな素直な感想も生じてくるのかもしれない(反消費社会的ななんか、みたいな)。
あるいは、音楽をファッションアイテムとして「自分をオシャレ野郎orインテリ野郎にコーティングするため」に活用している人々からすると、これからの細分化され見晴らしが異様に悪い状況は、大変なんだろうなぁとか思う(あ、単にファッションアイテムではなくなるだけか・・・)。まぁ、音楽が、消費社会の成れの果てに「部分的かつ細分化された趣味として、非大衆化される潮流」は、もう逆らえない潮流なのだろうから、音楽でオシャレを気取るのはソロソロ止めた方がいいですよ、とかなんだとか。
■[mission] 新譜100枚聴き倒れ〜第73回 ROM の巻
- アーティスト: Rom
- 出版社/メーカー: wimm recordings
- 発売日: 2008/08/20
- メディア: CD
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レコ/CD屋は消え行く流れの中で、ライブというかフェスは盛況らしいってのが、なんか面白いなぁとか思うのだけど。まぁ、これも音楽のアジテーション(煽動)的な要素と祝祭的な要素に起因する現象であって、こうした消費行動が音楽そのものというか、複製品であるCDやレコの消費には結びつかないのは、当然だよなぁ、とか思ったりもする。
まぁ、音楽には80年代消費社会以降のオタク的な「趣味」としての側面(近代以前の宮廷音楽的な道楽と近しいかも)と、60年代とかのカウンターカルチャー的な「煽動」の道具としての側面(ソレ以前の祝祭の道具としての側面)がある訳で、前者はモノの消費に直結するのは当然だけど、後者は「煽動の現場の場として空気と磁力」が重要なのであって、モノの消費とは関係ないのは当然ですわねぇ。
モノより思い出って、すいませんねぇ、我が家にはモノが多くて・・・
■[mission] 新譜100枚聴き倒れ〜第74回 YPPAH の巻
You Are Beautiful at All Times
- アーティスト: Yppah
- 出版社/メーカー: NINJA TUNE
- 発売日: 2006/11/28
- メディア: CD
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そういえば、録音物(複製)としての音楽は「ライブ集客のための宣材」でしかない、とかって感じで「集金の主戦場は録音物からライブへ」っていう類いの記事を今年は随所(国内に限らず)で目にしたけど、モノへのフェティシュな愛好を捨て難い人間が、類人猿化しかねないこのご時世において(あぁ、まさに我が家)、上で書いた「煽動/祝祭」としての側面にシフトしているのは、当然なのかもしれない。しかも、おそらく特定アーティスト単独のライブでは「希少種のフェティシュな音楽ファン」か「追っかけ回し、全てを味わい尽くさんとするアイドルオタ的なファン(希少種ではないけど、対象が細分化してしまったのかも?)」しか集客できないので、それらのファンの足し算で集金するか、祝祭的な側面を強調するとかで集金するかで、フェスというか複数のバンドの寄せ鍋パーティが多いのも、当然のことなのかもしれない。
実際、アーティスト側からすれば、フェスや寄せ鍋パーティでファンを増やして「副次的に録音物やグッズで収入を増やせれば」という想いは強いだろうから、主催者、出演者、観客の相互のニーズが緩く重なった結果の産物、なんだろうなぁとは思う。
■[mission] 新譜100枚聴き倒れ〜第75回 Patrick & Eugene の巻
- アーティスト: Patrick & Eugene
- 出版社/メーカー: Tummy Touch
- 発売日: 2008/11/04
- メディア: CD
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んじゃ、録音物(複製芸術)としての音楽には希望がないのか、と言えば、音楽オタクとしての観点では「そうでも無い」といえる。というか、もともと大衆娯楽の文脈で音楽と接したり、語る気はハナから毛頭ない人間なんで、大衆音楽がどうなろうと、どうでもいいんですけど根、ホントに。いや、マニアの世界というか(それこそ、レア盤収集家みたいな)、趣味人としての音楽愛好家は相変わらず限定的な存在でマイペースに存在しているし、結局のところマニア向けの中古レコ屋は、2008年時点で35歳位の世代までが生存している限りは、骨董屋と同じように残ってゆくのではないか、と思えるのだから。
例えば、ボクの80年代の音楽体験と切り離し不可能な「モダ〜ン・ミュージック」は相変わらず明大前に存在していて、相変わらず、棚に収まりきらなくて崩れそうな塩梅で玉石混淆の状態でレコ、カセット、CD等を売っていて、本来的な音楽マニアが訪れているのだから(注:モダ〜ン・ミュージックは骨董的な要素もあるが、音楽を探求するという観点で、新譜も骨董も横並びで品揃えしているところが希少なので念のため)。
しかし、骨董的な価値がコア・コンピタンスではない新譜レコ/CD屋は、利益率も高くないだろうし、骨董音楽のように「評価が定まった/認知されたモノでもない」ので、果敢に未踏領域に踏み込み「散財」するチャレンジングな音楽ファンがいなければカタログは「不良在庫」になるリスクも高いだろうし、本当に難しいのだろうなぁ、とは思う(その結果が、今年の閉店ラッシュとして顕在化したのかもしれない)。
■[mission] 新譜100枚聴き倒れ〜第76回 Hercules and love affair の巻
- アーティスト: Hercules & Love Affair
- 出版社/メーカー: Emd Int'l
- 発売日: 2008/02/12
- メディア: CD
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あ、モダ〜ン・ミュージックで思い出したけど、この Hercules and love affair のアルバム、「ゆら」の坂本氏が今年よく聴いた一枚にあげていたけど、たしかになんか「空洞です」と地下水脈で繋がっているような、そんな音だった。なんというか、おのおのが個別に別の場所で、別の時間で音楽を探究している内に「自然と繋がってしまった」みたいな、そんな感じ。
きっと双方に世界各地の雑多な音楽を吸収して、あるいは探求のご褒美で耳が肥えてゆく中で、それが潜在意識の井戸の底から地下水脈で綱がって、同時発生的に同じ空気感(気分よりは固着性が高い何か)を表出/録音として固着化するに行き着いたのかもしれない。或は、単に聴き手としてのボクの主観的な問題でしかないのかもしれない。
しかし、「ゆら」が Hercules and love affair と同じNYのレーベル「DFA」と契約というのも、おもしろいなぁと思う。いや、音楽シーンは確かに細分化され極小化され、見通しが異様に悪くなったのかもしれないけど、細分化の内訳レベルではグローバルに散在する個人を結びつけて構成されているのだなぁ、というのが、本質的には素晴らしいことであるなぁ、と音楽オタクからすると、思える訳なのです。
■[mission] 新譜100枚聴き倒れ〜第77回 No Kids の巻
- アーティスト: No Kids
- 出版社/メーカー: Tomlab
- 発売日: 2008/02/19
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で、再び「録音物」としての音楽は、特に新譜の行く末は「真っ暗けっけ」なのか、というと「そうでも無い」ように思える(再び)。というか、どうせマニアしか買わないのであるならば、単価上げて、利益率上げる方向で行けばよいのでは、とか思ってしまったりもする。
どうせライトな音楽ファンなんて、例えば90年代でいえば「カラオケのレパートリーを増やすため」にレンタルCD屋に通ったり、ちょろっとシングルCD(今は亡き短冊)を買うような人たちなんだから、一種のバブルでしかなかった訳で、そんなセグメントを呼び戻そうと単価下げて安売りしたり、デジタル配信で「単価下げて量をさばく」ことに躍起になってみても、ねぇというか。
あ、だからといってマニア向けと称して「変形ジャケ」とか「豪華ボックス(業火とも言う)」とかは止めて欲しい。そんなの本当の音楽マニアには不要というか、溢れんばかりに音盤を詰め込まれ悲鳴を上げる収納スペース運用の妨げになるばかりで、どうにも困り果てる代物でしかない、のだから(規定外の大きさの紙ジャケも収納に困るから止めレ)。そんなグリコのおまけみたいなのは要りません(キッパリ)。
■[mission] 新譜100枚聴き倒れ〜第78回 Pivot の巻
- アーティスト: Pivot
- 出版社/メーカー: Warp Records
- 発売日: 2008/09/16
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はぁはぁ、ぜいぜい「ようやく10枚分だ、まだまだ30%だぁ」というボヤキはさておき続けましょう。音楽マニアを相手に、正面から向き合って商売して欲しいね断然、ってのを上述の77回で書いたけど、いやもうこれは本当に。まず、いい加減ステレオ2チャンネルという呪縛から、「創り手」と「聴き手」を解放して欲しい。そして、ステレオ2チャンネル環境が継続している最大の要因である、屋外でヘッドフォン環境(携帯音楽プレイヤー)がリスニング環境の全てですって勢力は、きちんと音源本来の情報を聴けていない人達なので、別で考えて欲しいなぁと(というか、むしろ劣化の酷い安価な圧縮音源でも聴いてればいい)。
で、まず創り手の側からすれば、パンニングというか音を配置するキャンバスの絶対面積が広がるので、表現と選択の幅が広がるので、音響的な新しい試みがイロイロとできるんじゃないかと(その辺りは、小山田氏や池田亮二氏あたりが先鞭を付けた感があります)。また、サンプリングレートも96Khz/48bitに上げることで、イマまで拾えなかったことでロスしていた帯域や音の繊細な響きを捕捉し、加工することも可能になるので、これまた別の意味で表現の幅/選択肢も広がるのではないかと。
パクリだ云々を熱く語り、平均律における音階や調性のパターンとしての音楽の限界を「アー」とか「コー」とか説くよりも、こっちの方がよっぽど建設的だし、むしろオモシロいのではなかろうか、と。
■[mission] 新譜100枚聴き倒れ〜第79回 Flying Lotus の巻
- アーティスト: Flying Lotus,フライング・ロータス
- 出版社/メーカー: WARP RECORDS
- 発売日: 2008/06/10
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あ、サンプリングで思い出したけど、今年イロイロと新譜を漁る過程で、外資大型CD屋の各フロアを定期的に巡回して、ジャンル縦断で試聴しまくってたのだけど、久々に接したヒップホップ界隈の新譜がどうにもピンとこなくて「昔のローテクでサンプリングに自由があった時代」の方が圧倒的によかったなぁとか、オッサン臭いことを感じたり(昔大好きだった Q-Tip や Common も今ひとつピンとこなかった)。といっても、試聴機のヘッドフォンなんて劣悪環境で聴いたからなのかも、なのだけど、全般的に進化したテクノロジーを持て余している感というか、個々のネタの磨き込みが弱くなった分、構成イジリに向かうからなのか、どうにも散漫な印象を受けました。といって、「ピアノループで美しいだろ俺の音」って勢力には、焼き直しご苦労さんですとしか感じなかったりで、54回で取り上げた DJ CAM の新譜 が非常に愛おしく思えたりもした、のでした。
やっぱり、楽器は直感的で瞬発的にヒラメキを表出できる、シンプルなインタフェース(ツマミやパッド万歳)の方が、その人のクセや個性が顕著に現れるのと、イメージの源泉である脳にとっても、シンプルにイメージをアウトプットしやすく心地よいから、音に魔法が宿る瞬間ってのがあるんだろうなぁ、とか思ったり。
■[mission] 新譜100枚聴き倒れ〜第80回 Beach House の巻
- アーティスト: Beach House
- 出版社/メーカー: Carpark Records
- 発売日: 2008/02/26
- メディア: CD
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そいえば、年初に『個人的には「脱CD」というか、そもそも「アルバムという形態でのパッケージング」からの離脱である「脱アルバム/NOTシングル」という流れは、世の中的には抗し難く加速してゆくのではないか』とか書いたけど、ボク個人に関しては、まったく逆でした。むしろ、アルバムに対する依存度の方が上がったというか、買い方として、アルバム全体の時間を通して一定の空気感や気分を貫いている音盤を選ぶことが、結果的に多かった気がします。
まぁ、「三分半の魔法」って感じの、60年代ソフトロック的な宮廷職業作家的な楽曲も相変わらず好きなのですが、どちらかと言うと、脱構造/脱楽典というかなドローンやフィードバックのレイヤーサウンド系音楽をダラダラと聴く方が、本質的にボクの性分にあっている、からなのでしょう。そんな訳で、ボク個人としては「アルバムという形をなくすなら、1曲45分以上のシングル作って余ね」とオネダリする他ない訳なのです。まぁ、レイヤーサウンド系音楽はダラダラ演奏可能なので、創り手にとっては「曲の終わり時」が難しかったりするので、そもそも短くできないかも。まぁ、でも超長編小説がプツって感じで突如終わることがあるように、長編音楽も、継続している時間の間にこそ価値や喜びの源泉があって、そのクライマックスには別に何もない、ということもあるから、そういうことか、とか。
■[mission] 新譜100枚聴き倒れ〜第81回 Fennesz の巻
- アーティスト: Fennesz
- 出版社/メーカー: Table of Elements
- 発売日: 2008/12/09
- メディア: LP Record
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「まだだ、まだ終わらんよ」ということで、あと20枚頑張れ自分。そいえば、今年は殆どアナログを買わなかった一年でもありました。なにしろ少ない収納スペースを無駄に消費しやがるからねアナログは、とか悪態をツキタイところではあるのですが、どちらかと言うとA/Bと盤面を裏返す時に、せっかく発生していた持続的な空気感が「フっ」って消えちゃうのが、どうにも嫌だったから、としか言いようがないのです。
そういう意味で、このピクチャディスク(A面のみ)は、見て美しいし、上記のようなストレスもないので良いなぁとか、思ったりもしますが、でも場所とりますな・・・
■[mission] 新譜100枚聴き倒れ〜第82回 Collections of colonies of bees の巻
- アーティスト: Collections of Colonies of Bees
- 出版社/メーカー: Table of Elements
- 発売日: 2008/05/20
- メディア: LP Record
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そいえば、今年はマイブラ的な毎度おなじみのギターフィードバックの渾然一体型レイヤードではなく、クリーントーンな単音開放弦爪弾き系トレモロギターの「美しい断面のミルフィーユ系レイヤードサウンド」というか、ブランカ・オーケストラの発展後継型サウンドの素晴らしい作品が多かった一年でもありました。この、「蜂の巣標本箱」であったり、Growing とか ecstatic sunshine とか、本当に印象的なディスクがポツポツ現れたトレモロ愛好家にとっては「当たり年」な一年なのでありました。ちなみに、このアナログは当然ながら限定版(値段もはる)なので、完全に音楽オタク向けな一枚なのでありますが、いわゆるレアなだけの駄盤とは次元が違う、飛躍的に素晴らしい内容の一枚なのであります(こういう希少だけど素晴らしい音盤に出会うと、デジタル音楽配信で非圧縮で展開して欲しいような気もします、だって勿体ないから・・・)
■[mission] 新譜100枚聴き倒れ〜第83回 DOMOTIC の巻
- アーティスト: ドモティック
- 出版社/メーカー: インディペンデントレーベル
- 発売日: 2005/05/22
- メディア: CD
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そいえば、100枚の中にはこのアルバムのように、2008年発表されたアルバムでないものも若干含まれています。しかし、ソコは夏休みの宿題閉め切り直前に泣き顔で徹夜する小学生の図を思い浮かべつつ、勘弁してください酢。だって、今年買った新譜には変わらないんだし(しかも、再発旧譜ではなく、ここ2〜3年内に発表されたものなので)。
で、このアルバムは、エレクトロニカ興隆期に現れ「個人的に金メダルを授けたい」程に現在でも愛聴している domotic が、二枚目に放った2005年のアルバムなのですが、シーンとしてのエレクトロニカの収束(ミームの蔓延による微小な差異のバリエーションとしての均質化)を看取るような一枚で、一枚目とは全然違うヒネクレ・ウタモノ・エレクトロポップな内容になっています(今年になるまで、このアルバムが出ているのを知らなかった程に、もはやエレクトロニカに興味を失っていた自分がいましたが、コレはコレでスゴく好きですというか、今年っぽい一枚です余)。
■[mission] 新譜100枚聴き倒れ〜第84回 belong の巻
- アーティスト: Belong
- 出版社/メーカー: Carpark Records
- 発売日: 2006/02/07
- メディア: CD
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あ〜なんか完全にダレてますが、ラストスパートまでの繋ぎということで、ダラダラと続けます。そいえば、ここ1〜2年ほど「マイブラっぽい」という枕詞が付く音盤が、ロック野郎どもだけでなく、ヒップホップやハウスなんかでも目につく感じでしたが、そしたら本家が始動してライブ(ツアー)なんかを「おっ始め」ました。ライブでは延々フィードバックノイズ垂れ流しとか、あまりにも爆音を放つので、観客に耳栓を配っていたとか、いろいろ伝説好きの琴線を刺激する塩梅だったようですが、正直当時はあれ程好きだったにも関わらず、なんの感慨も沸き上がってこない自分にちょっと驚きました。
というか、Spacemen3やSpectrumはイマでも全然現役で聴いていますが、マイブラはマルで聴く気になれないのは、何故なのだろうとか、考え込んでしまう自分がいるのです。これも、マイブラ的なフィードバック・レイヤード・サウンドが世にありふれ、至極普通になってしまったから、完全にどうにも食傷気味なのかなぁとか考えると、なんとも残念でなりません。
あ、ちなみに上掲のアルバムはマイブラ的というより、fennesz的なソレです(そっちも最近、食傷気味に・・)
■[mission] 新譜100枚聴き倒れ〜第85回 Growing の巻
- アーティスト: Growing
- 出版社/メーカー: The Social Registry
- 発売日: 2008/09/09
- メディア: CD
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ということで「蜂の巣標本箱」とともに、個人的には「今年の音楽シーンを象徴する一枚」の登場です。なぜイマ、Branca や Chatham が若いミュージシャンに再発見され、発展的なサウンドが現れたのかは、興味深いところではありますが、直感的には、フィードバックノイズによる曖昧模糊と渾然一体とした分離の悪いレイヤーサウンドや工夫の無いドローンサウンドには、もうウンザリしていて、違う何かを探求している中で、ブランカ界隈の現代音楽に辿り着いたのでは、ないのかな、とか。
こういう現象を見ると、昔はマニア的な巣窟に足を運ばないと手に入らなかった音(や情報)が、ネット上でいとも簡単に捕捉できて、そのままアマゾンさんで「ポチッとな」と購入できてしまうことの凄みを感じてしまう(いや、実際にアマゾン他のネット店舗における「現代音楽」とかの品揃えの充実具合はスゴいので)。なんて、当たり前のことを意図的に書いてみたけど、実際はきっと違うんだろうな。だって、動画サイトや音楽配信の劣化サウンドや、複製であるCDをヘッドフォンで聴いただけでは、この手の音楽の本質や根源に触れることはできないから、やはりどこかで爆音で体感した直接体験が、彼らを突き動かしたのではないかなぁ、とか。そこが複製に触れて、劣化コピーを作業的に作り始める創り手と、直接体験に起因してオマージュ的に創り始める創り手の本質的な違い、なんじゃないのかなぁ、とか(だから、ボクはイマ日本国で話題の某氏の音を好きになれない、のかもなぁ、なんとなく)
■[mission] 新譜100枚聴き倒れ〜第86回 ecstaic sunshine の巻
- アーティスト: Ecstatic Sunshine
- 出版社/メーカー: Cardboard Records
- 発売日: 2008/05/13
- メディア: CD
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そいえば、今年は近年稀に見るライブ豊作の年でもありました。奇跡の初来日のソニック師匠とマーク師匠、栗原サンのギターが神がかって素晴らしかったデーモン&ナオミのライブ、シュガープラントの活動再開ライブ、無音と轟音が絶妙な間で切り替わる Explosions in the sky のライブの圧倒的な音、スローコア界隈でのお気に入りバンド L'altra や Ida のライブで体験した美しい音の粒子、WhipやThose dancing daysの若々しい青春きらめきステージ(双方ともにドラム女子がツボできゅんきゅんしてしまうオジサン具合)、カヒミのお寺ライブで体感した倍音の響きなどなど
やはり、音楽には「奇跡の瞬間」というのがあって、それは録音/複製にパッケージングすることは叶わないのであるなぁ、ということをまざまざと実感した一年でもありました(CD聴き倒れとかしている立場としては、逆説的ですが)。
■[mission] 新譜100枚聴き倒れ〜第87回 Fuck Buttons の巻
- アーティスト: Fuck Buttons
- 出版社/メーカー: Atp Recordings
- 発売日: 2008/05/16
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あと、個人的なアンテナにひっかかった今年の音っぽいところでは、Gang Gang Dance あたりの何とも形容し難い(外資大型CD屋では「トライバル」とか「サイケ」とか形容されてたけど)サウンドも印象的ではありました。が、相変わらずソレラの音を表現するための「コトバ」を獲得していないというか、きちんと「受容」できていないのですが・・・
他にはディスコ・パンクとかってな80年代ニューウェーブの再構築的な音も、どうしても「根っ子」がその時代の空気を吸ってた人間なので、気になって買っていましたが、購入した中で何枚がCD棚整理による売却セレクションを勝ち抜けるか、微妙なディスクが実は結構あります(そりゃ、どう逆立ちしても Gang of Four には敵わない門)。こういう類いの「ボクたち新しい音なんです余」ってポーズが先行するバンドの音は、突き抜けた下世話さがないと、歴史の風雪を乗り越えられないの余ね(あ、疲れてきたので毒舌がスルスルと)・・・
■[mission] 新譜100枚聴き倒れ〜第88回 Adebisi Shank の巻
- アーティスト: アドビシシャンク
- 出版社/メーカー: Independent Label Council Japan(IND/DAS)(M)
- 発売日: 2008/09/03
- メディア: CD
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ヤバイ、ナンダカ、マタ、ダレテキタミタイ、デスヨ。アタマオカシイ、デスヨ、コノヒト。ナンノタメニ、コンナコトシテル、ンダッタケナ。ナ? ということで、振り出しに戻ると、そもそもこの企画「ココロザシの高いレコ屋」への微力ながらの支援という大義名分の元、新譜縛りで散財に枷をつけることにあったような、無かったような。或は、音楽シーンの趨勢から情報消費社会の変質を紐解いてみるだとか、そんな文系中年的な野望もあったような、無かったような。
しかし、アレですね、旧譜とか中古とかの散財を殆どしてないので(何故か、グッとこらえて酒ならぬ水を飲むようなココロ餅)、最近の再発事情に疎くなっています。ヤバい、超欲しかった音盤が再発されてたのに、気付いてなくて、買い逃してたらどうしよう、とか。本当にしょうもないオタク野郎な訳なのです。いやいや本当に、「趣味はフットサルです、週末は仲間と汗を流して、健やか爽やか清涼人間ですって」感じになれない、もんでしょかね。そいえば、いまやブームな塩梅の自転車ですが、吾が愛車(フィッシャー君)はモハヤ通勤用の足でしかないンです余
■[mission] 新譜100枚聴き倒れ〜第89回 Parts & Labor の巻
- アーティスト: Parts & Labor
- 出版社/メーカー: Jagjaguwar
- 発売日: 2008/10/21
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あぅあぅ、この一枚クリアすれば、次は90枚目だ(ぜぇぜぇ)。この項をクリアしたら、次は本題でもある「CDは生き残れるのか」というか、「データ+ネット」 VS 「物理メディア」の世代抗争の話題に移ります。だもんで、もうすこし与太話を少々。実は、この「自分攻めマゾ企画」の傍らで、新しい音を探求するためには「ちょっとリスニング環境にも幅を持たせる必要があるんでないの」とかって無理な理由つけて、自分内予算折衝を行い、その結果下記のブツを購入(散財)してしまったのでした。
まずは、スピーカーですが、これはタイムドメイン理論で設計/実装されたモノで、例えば純正律の音楽やアトモスフェリックな音楽を聴くともの凄い威力を発揮します。いや、イマまで聴いてた音と全然違うじゃんというのが素直な感想で、多分SACD云々とかよりも、こっちの方がビックリします。ホント、音は波動なんだなぁということを「きちっと体感できる」というか、イマまでのスピーカーシステム(設計)だと、ロスしていた音が多いんだなぁということを素直に実感できます。が、元の録音(というよりミキシングやマスタリング)が悪い音源や、ロック野郎を鳴らすとどうにも煮え切らない、冴えない感じになるのですが、まぁ音源と目的別にスピーカーを切り替えればよいので問題ないです、とか。
BauXar ボザール Jupity301 ジュピティ301 アンプ内蔵タワー型タイムドメイン・スピーカー
- 出版社/メーカー: ボザール
- メディア:
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あと、先の項でヘッドフォンをさんざん貶しておきながら、こんなの買ってます。これは、2562辺りのダブステップの低音の鳴りを重視で設計されてそうだったので買ってみたのですが、音漏れがカナリヤバイのと、全体に「音の輪郭」が少々ボケ気味なので、スコシ好みではなかったかなぁ、とか(でも、サスガに低音はバッチリでます)。
SONY ステレオヘッドホン XB700 MDR-XB700
- 出版社/メーカー: ソニー
- 発売日: 2008/11/10
- メディア: エレクトロニクス
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■[mission] 新譜100枚聴き倒れ〜第90回 Human Bell の巻
- アーティスト: Human Bell
- 出版社/メーカー: THRILL JOCKEY
- 発売日: 2008/01/29
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ということで、残り10枚になりましたので、そろそろラストスパート。本題の「CDは生き残れるのか」について、駄文を連ねてゆきたいと思います。結論から言うと、なくなってもおかしくない、というかじきに消えるだろうな、というのがボクの印象。もちろん、ボクのような中年以上の音楽マニア(オタク)向けに、コレクターズアイテムとして限定生産される可能性は残るけど、主たる役割は「データ+ネット」に完全に移行してしまう、んだろうなぁと思う。ちなみに、マニア向けに限定生産されるのは、ネットでデータを流通させるには負荷が高すぎる(というかリソース枯渇してしまう余)、非圧縮/高解像度/マルチチャネル音源をDVD等のディスクに収めたもので、価格もイマのCDの二倍以上とかって値段設定になる、のだろうと思う。
■[mission] 新譜100枚聴き倒れ〜第91回 Marnie Stern の巻
- アーティスト: マーニー・スターン
- 出版社/メーカー: Pヴァイン・レコード
- 発売日: 2008/09/19
- メディア: CD
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ところで、旧来(00年代初頭まで)のように音楽雑誌で、気になるアーティストや作品(曲)を見つけて、音を聴きたいと思ったとする。しかし、お店に行っても、在庫が無いかもしれないし、あったとしても試聴もできないとか、そもそも近郊に大型店や専門店があるとは限らないとか、何やら非常にリスクが高く、時間換算で阿呆みたいなコストが「本来的にはかかる」のが、おそらく潜在的な不満要素であったのではないかと(以下、一般的なユーザの状況を妄想してみます)。
んで、アマゾンなら、翌日配送も夢でないっていう線もあるけど、イマすぐに聴けないことには変わりがない。しかも、CDだと「携帯音楽プレイヤー」に曲を移すのがカッタルイ。んなら、音楽配信でデータをダウンロードした方が、早くないかね。ってのが、潜在的なココロ模様なのではないかと(ちなみに、この妄想の対象は、35歳より下の一般的な音楽ファンを対象にしています)。
で、さらにライトな一般ユーザになれば、ヒマつぶしや退屈しのぎ程度のコンテンツにソレホドの時間や労力を割くのはバカバカしい、他にもヒマつぶしコンテンツはあるしね。ということになり、そもそも検討俎上にすら上らないかもしれない。
■[mission] 新譜100枚聴き倒れ〜第92回 Ethan Rose の巻
- アーティスト: Ethan Rose
- 出版社/メーカー: Holocene Music
- 発売日: 2009/01/27
- メディア: CD
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でも先の項で書いた妄想(仮想)には、実は盲点があって。音楽ファン(死滅した種族である「大衆音楽」のファンではない)が新たに音楽を手に入れたいと思う契機というか、消費を喚起する触媒が、店頭や雑誌等の旧来的な接点ではなくなりつつあるからだ。先に言及したように専門店は次々に消滅してゆくし、外資系大型店も全体で見れば安泰ではなさそうだし、雑誌メディアも同様だし(そもそも月刊では情報が古い、雑誌が書店に並ぶ頃には専門店では在庫が無くなってる可能性の方が高い・・)、ましてやテレビにいたっては(そもそも音楽ファンが新たな音楽を知る接点として「テレビをアテにしていたのか」すら怪しい気がするが)、って感じだからだ。
他方で、ネット上のソーシャルな繋がりから消費を喚起されるケースが、増えている(というか、そう思わされてる?)のではないかと。が、これも盲点があって、いまやちょっと調べれば、YouTubeやMySpace等で簡単に気になった音源をフルで聴くことができるので、よほど琴線に触れない限り、購入にまでは辿り着かないだろう。また、そもそも情報消費社会の帰結として蛸壺化し細分化された趣味(ジャンル/志向)の中では、たとえ繋がり上は友人同士でも、そこでPUSHされていたからといって、即購入って訳ではなかったりする。
■[mission] 新譜100枚聴き倒れ〜第93回 The Young Group の巻
- アーティスト: THE YOUNG GROUP
- 出版社/メーカー: インディーズ・メーカー
- 発売日: 2008/11/12
- メディア: CD
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という流れを鑑みると、なんだか新しい音楽を聴く、新しい音楽と出会う(探す)ってのは、なにやら途方も無く険しい荒野か、高山のように思えてきてしまう訳です。しかし、80年/90年代の消費社会発、00年代情報消費社会を経て、たとえ道が険しくても、そこには世界中のオモシロい、スバラシい音楽があることを知ってしまった人々の一部は、時空間を超えて自由になったネットの世界を歩き回り、ケモノミチを開拓し、その過程で同じくケモノミチを開拓している同士を見つけて連携し、さらにそれぞれがハブになって、そこに様々な受動的なノードである後追い人がぶら下がって、さらにネットワークが拡散し、情報が広がって交配してゆくという創発的な流れが、イマ目の前にはある訳なのです。
そんな訳で、ケモノ道を開拓する人が居続ける限りは、そこに人と情報のネットワークが形成されてゆくのは、間違いのない流れなのではなないかと。近代化で村社会という小さなネットワークが解体され、都市社会に吸収された末に現出したマスメディアという巨大なハブが、情報消費社会によって解体されつつあり、そこから自然発生してきた「小規模のハブ」を中心とする時空間を超えた小集団により、ネットワークが分解され、再構築されているのが、イマこの時代なのではないかと。
■[mission] 新譜100枚聴き倒れ〜第94回 Warm Morning の巻
あーえー何やら大袈裟な話(眉に唾)になってきたので、スコシ方向転換。これから本格化するであろう、デジタル音楽配信の問題点を、チラホラと。まず、膨大な曲を溜め込んだデータベースを有効に活用するための仕掛けが、全然足りてないのでは、と思いま酢。斯様なサイトの頼みの綱であるいわゆる「レコメンド機能」は、ログがないユーザには適正な推薦ができないし、そもそも起点となる情報を提供するよりは、目的の曲(点)を探したユーザを、さらに面へと拡散/誘導するための仕掛けなのであるし。そもそも、ユーザの既知の情報を排して、未知の新規性の高い情報を推薦するには、イロイロと制約が多い。
そういう意味では、レコ屋のテーマ性/編集性の高い面出しコーナーに比べると、「新規の未知なアイテムを紹介する」という観点では、まだまだ全然なのではないかと思ったりもする。
■[mission] 新譜100枚聴き倒れ〜第95回 the tartans の巻
the tartans / cats of camerford
となると、スコシ簡単に考えても、従来の外資系大型店や専門店で顕著だった(というか六本木やクアトロWaveで顕著だった)、バイヤーの好みと人柄が透けて見える「編集コーナー」に相当するものを、音楽配信サイトに用意すればよい、のは自明なのだけど。でも、「任意の視点で編纂」し、再評価を行う「選曲という行為」に対して、対価を与えるという仕掛けがマダマダ整備されていない。選曲というか「編集」という行為は、誰も名前を与えず、評価をしないために見過ごされ、見捨てられている何者かに、視点とテーマで形を与え、無明の闇から引き上げるという意味で、音楽を創る以上に非常にクリエイティブな行為で、あったりもするのだが、そういう行為に経済的なフィードバックをする仕組みが、まだまだ音楽配信の世界では疎かだったりもする。個人的には、今年サイト閉鎖に追い込まれた Muxtape みたいなサービスが、音楽配信サイトのフロントにあって、選曲というかプレイリストを作った人に、レベニューシェアで売り上げをキックバックする仕組みがあれば、なぁと思うのだけど・・・
■[mission] 新譜100枚聴き倒れ〜第96回 The Big Picture の巻
要は、ケモノミチを歩く人を増やすには、ケモノミチを歩くことに相応の対価をフィードバックする仕掛けが、必要なんだろうと思う。そういう意味では、ココロザシの高い個人商店的なレコ屋が、オンラインショップ化して、リアルの店舗を捨てたのも、こうした流れの一環と捉えることができるかもしれない。つまり、表面上は音楽配信サイトのインフラ(データベース)上で管理される音楽データを販売代理(紹介)しているのだけど、実際にはケモノミチを開拓したことで築いた「編集力」であったり「集客力(ハブとしての機能性)」を売っている、みたいなモデル。そう考えると、例え街からレコ屋が消えて、CDという媒体が世の中の主流から消えたとしても、なんら不安を感じることはない、ような気もするのだ(もちろん、そのようなお金の流れがモデル化され、きちんと運用できるようになればの話だけど)。
■[mission] 新譜100枚聴き倒れ〜第97回 Broken Down Lorry の巻
BROKEN DOWN LORRY / TEN MINUTES IN A HOT BATH
あとは、音楽配信だと、アルバムから1曲単位でつまみ食い購入されるから、総売上は、パッケージというかアルバムとしてのCDより下がるのでは、みたいな話もあるのだけど、それこそがレコメンド機能の精度を上げることで、ある程度吸収できる部分でもあるし、また先の「プレイリスト」の創り手にもフィードバックする仕掛けがあれば、選曲家もプロのDJやケモノミチの開拓者が集まり、選曲の質が向上し、集客力も向上し、結果アルバムと同程度の曲数をまとめて購入ということも成り立つような気もするのだけど、まぁ選曲家がクリエイティビティを発揮するには、ライブラリ(データベース)の規模(欲しい曲が全部ある)の充実が欠かせないから、複数のデータベース(配信サイト)を横断的に利用して選曲できる、「リンクシェア+はまぞう」の進化系みたいな仕組みが必要なのかもしれない。
■[mission] 新譜100枚聴き倒れ〜第98回 Tero-Petri の巻
TETRO-PETRI / TUOLILTA HERANNYT
えーと、なんかIT的な仕掛けの話に入り込みすぎた気がするので、ここでまた軌道修正。コレまでの流れで、新しい音楽を開拓することがある種、所与の前提みたいな展開になっているのだけど、それって本当なのかなって話。で、今年はとにかく「可能な限り未知のアーティスト」の音盤を新譜で購入してきたのだけど、多分傍目には「既に数千枚ライブラリがあるのに、まだ必要なのか?いい加減飽きたりしないのか」とか、それこそミームの拡散と収束的な話で「たいした目新しさももはや存在しないのに、惰性で買ってるだけなんじゃないのか」とかって責めを受けることを妄想したりするのです(あうぅ、はうぅ)。
■[mission] 新譜100枚聴き倒れ〜第99回 Hurtmold の巻
しかしながら、これが案外、まだまだ開拓する楽しい同時代/現在進行形の領域が全然あって、今年も楽しく過ごせましたのです。ブラジルやアルゼンチンの現在進行形のシーンのフォルクローレ+DAW以降の音響アプローチの融合による新鮮なオドロキ。「聴き倒れ第1回 Akron/Family の巻」辺りから始まったアメリカのごった煮分類不能サウンドの不可解なオドロキ。螺旋状に揺り戻しつつ、なだらかに変化しているようで突如異分子を排出するイギリスシーンのオモシロさ。ネオアコ的インディ魂のグローバル・同時多発的な連携の深化と進化、などなど
■[mission] 新譜100枚聴き倒れ〜第100回 Emilio Haro の巻
計画性もなく、朝の六時から延々と書き綴ってきたこの企画の「総括」というか「シメ」なのですが、いやもう本当に、明日からちょっと31日までお出かけするので、更新ができないんで、猛烈に夏休みの宿題片付けモード(8月31日深夜)で頑張ってしまった訳なのです余。多分、傍目には「気持ち悪いズら」とか「ヤツめとうとう狂いやガッタ」とか思われてるかもしれませんが、なんか100枚聴き倒れないと、年を越せない気がして、もう意地になって書き続けること約16時間。もう背中は痛いし、目も痛いし、脳みそもクルクルでヘロヘロだし、飲み会には合流できないし、阿呆極まりないですが、この一本でようやく終息なのでありま酢。
なんか、もう疲労困憊で特に充実感も達成感もないのですが、一応締めということで、最後に今年の一枚を選ぼうと、ウンウン頭を捻ってみたのですが、どうにも一枚に絞れません。ア〜ンドこうして、百枚を眺めてみても、なんら独自性というか、編集性というか、ボクらしさ、みたいなものがあまり透けて見えてこないのが、非常に残念極まりない感じなのですが、まぁ所詮その程度の人間ということ、なんです根(へにゃへにゃほろろ)。
ということで、なんだかシマリナク、オナラぷぅ〜って感じで脱力な塩梅で消え行く感じのシメになりつつあるのが無念ですが、最後に今年一年、お世話になった「ココロザシ高いレコ屋」のオーナーの皆様、本当にありがとう御座いました。ケモノミチの開拓者である皆様のお陰で、オモシロい、スバラシい、アタラシい音楽に出会うことができました。また、このような「阿呆の妄言」にオフラインで付き合ってくれた相方と友人の皆様、本当にありがとう御座いました。
※しかしながら、はてなで一人の人間が、一日でアップしたエントリーの総数の記録って、どれぐらいなのかな。ちなみに、今日ぼくは32本書いたことに、なります。まさに外道・・・









