かつては中国といえば中華民国=台湾であったのだが…

■ 野田首相は12日の参院予算委員会で、11日の政府主催の東日本大震災追悼式で、台湾代表に献花の機会がなかったことについて、「本当に申し訳ない。行き届いていなかったことを深く反省したい」と陳謝した。

 自民党世耕弘成氏への答弁。台湾からの震災義援金は官民合わせて約200億円と世界トップクラスだった。

 世耕氏は追悼式で、天皇、皇后両陛下がご退席になる際、場内が着席していたとして、「どこの国でも全員起立するものだ」と批判。藤村官房長官は「(議事進行は)事務方で詰めてきたものを直前に聞いた。おわびするしかない」と謝った。
(読売オンライン3月12日)

まあ、大層情けない、みっともないお話しです…
3.11支援について世界に先がけていち早く物資を届けてくれたのが台湾だという事を忘れてしまったのでしょうか?

私の友人である、在名古屋の台湾・日本の混血の実業家さんも、3月中に(まだ民間支援がなされていない時に)在日台湾人の団体の支援活動に奔走されていました。(さすがに日本人の私は「恥ずかしくて」あわてて名古屋では当時品薄であった水やカップ麺をもって名古屋にかけつけお手伝いをしました…)

さて、台湾という国はどのような国なのでしょうか?

私が小学校入学していただいた「地図帳」には、中国(中華民国)として台湾島に書かれていました。小学校4年生のときでしたか、社会の時間にそれを「台湾」と書き直させられ、大陸にあった「中華人民共和国」のところへ「中国」と書かされました。

ですからいまだに中国といえば「二つの中国」を思ってしまいます。

そこら辺のところを今の中学校の歴史教科書では明確な記述をしていません。

1895年 日清戦争終結後の下関条約で、清が日本に台湾を日本に譲り渡した。

1911年 中国で孫文らが辛亥革命を起こし1912年には南京を首都に中華民国を建国した

1927年 蒋介石が率いる中国国民党が南京に国民政府を樹立。中国の統一に乗り出す。

1937年 日中戦争が始まる。蒋介石は政府を南京→漢口→重慶に移し日本軍に抵抗を続けた
1937年 国民党と共産党が提携し、抗日民族統一戦線が結成される

1949年 日本の敗戦(1945年)後、中国では国民政府(蒋介石)と毛沢東の率いる共産党の間で内戦が起こり、共産党が勝利して中華人民共和国(中国)が成立しました。

1951年 サンフランシスコ子平和条約を締結
「1956年に日ソ共同宣言が出されました。ソ連の支持も得て、同年、日本は国際連合に加盟し、国際社会に復帰することになりました。しかし、日本と中国との関係は国と国との正式な関係が無いままの状態が続く事になりました。」

1972年 日中共同声明を発表し中国と国交を正常化
1978年 日中平和友好条約締結 
「その後中国の経済発展が進むにつれて関係を強化していき、交流を深めています」

以上が現行の中学の歴史教科書(東京書籍)に書かれている、「日本と中国に関しての現代史」です。

あらためて読みますと、呆れてあいた口がふさがりません…

書いてある事は「嘘」ではありませんが、物事を都合よく「ある一面から」しか描いていません。
読みようによっては、1911年からあたかも「一直線に」現在の中華人民共和国に繋がっているかのようにも取れる記述です。

現実に1932年以来1945年まであきらかに日本と対向し対立していたのは、「中華民国」であり、1951年に講和をしたのは「中華民国」なのであります。(日華平和条約の締結)
1971年までに日本が「中国」と呼んでいた対象は、明らかに中華民国であり、それは台湾島に首都を置く国でした。

現在の中学校の歴史教科書・歴史の授業ではその現実に説明を加える事は全くできません。
勿論、台湾を最初に「外部から統治した」人が、日本人と明人(福健省出身)の混血人であった事、1945年8月から1946年12月までにアメリカが中国大陸でどのように動いたか、その後の本格的な「内戦」で、アメリカとソ連が夫々どのような「思惑」で動いていたか…このようなことを学ぶ事はたいへん難しいのです。(まあ、教科書に書いていない。指導要領にも出ていませんから、自分で勉強した人以外は全く知らないままでしょうね。)

ましてや、1951年の日華条約で蒋介石が日本に対する戦時賠償を全面放棄した事や、1949年台湾島に逃れた蒋介石政権に、軍事指導者として旧日本軍人が招かれた事なども、少なくとも「教科書が教える歴史」からは一切「抹殺」されています。

1895年から1945年までの50年間で、日本が台湾でどのような統治をしたのか…その良い面も悪い面も何も記述されていません。日本がおこなったインフラ整備が後の台湾の興隆の基礎となったことや、「高砂義勇兵」も「孔子廟の破壊」も…です。

この限りで言えば、日本の教育では日本人は台湾(中華民国)について「何も教えない」という事と同じではないかと思うのです。

にもかかわらず…

台湾の人は日本や日本人が過去に、中華民国人や台湾人におこなった「ひどい事」は胸に収めていただいて、「良いこと」のみを表現してくださいます。そして日本に対して温かい手を差し伸べてくれているわけです。

多くの人があるSNSでの日記やコメントで書かれていますが、実際に合った台湾人は、私たち日本人に温かい態度である人ばかりです。

頭が下がります。

今回の失礼な振る舞いは、私たち日本人は決して忘れてはいけません。子々孫々伝えていかねばなりません。たしかに「一部の」心ない日本人が策したことであるかも知れません。

しかし、この台湾の方の心・恩に報いない姿勢は、私たち日本人が台湾の事を知らないがために「許した」事であるかもしれないのです。

歴史的に見れば台湾と日本は切っても切れない縁にある国です。
今後ますます近づいていかねばならない国であります。

中国はかつて中華民国の事であった。
今は滅びた「大国」の思惑でたまたま強国となりえたのが現在の「中華人民共和国」であるだけの事です。

長い長い歴史の中で、いつかアジア最初の共和国である中華民国が大国としてアジアをリードして行く日が来るはずです。その時日本は良いパートナーとして共に歩まねばなりません。

必ずその日が来ます。