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めるみほしき さみあもにょる

2017-02-23

あなたの魔法の足、の話。

あたしの好きな人、はやさしくて。

耳が聞こえなくなるその直前まで、

全身を金魚すくいの網に見立て、

聴覚以外の感覚器も応援に駆け付けさせ、

あたしのがさがさ交じりで、ぼそぼそした

ごにょごにょの行く末を見守ってくれるのです。


どんな音も言葉も、あなたの身体にまで波を飛ばせれば、

それは素敵な音楽になるようで。

あたしの乾いた発声までもをBGMにして、

あなたの足は今にも踊り出したくて仕方がなさそう。


それでも十八番のスウィングを起こさぬよう、

細心の注意を払うよう身体に厳しく言い聞かせ、

そのグルーヴを楽しむことを禁じてまで、

頭のてっぺんからつま先まで緊張感を走らせ、

あなたはあたしの淀みが煮え立つ音を聞き取ってくれるのです。


あたしは、あなたの足が何食わぬ素振りで

日常のものとは思えないリズムを刻むのが

本当は、本当に好きなはずなのに、

一度それを違う思いで受け止めてしまったばかりに、

あなたの足は魔法が解けてしまう寸前まで来てしまい。


今日、最後の勇気を振り絞って、あなたの足は訴えていた。

この両耳が音楽を受け止められなくなるのなら、

その前にもう一度だけ舞台に上がりたいと。

今なら千秋楽は、まだ何とか間に合うのだと。


今回も聞こえなくなる直前だったけど、

一命を取り留めたあなたの音楽装置は、

また多くの讃美歌を浴びて、ほんの少し回復する。

きっと今日も代官山で。


きっと、あなたの足は二度と

あたしの前でお茶目な様子は見せない。

その罰を受け入れるのだって精いっぱいなのに、

あたしの耳障りなコーラス隊はまだ静まらないのか。


あなたの音楽装置とあたしのコーラス隊の掛け合いが、

本格的な戦争となってしまうその前に、

あたしは また少しばかり飲む睡眠薬を増やすのです。

みたび はじまりの記憶、の記録、のおまけ。

記憶、の記録と合わせて、カテゴリーの大掃除をしました。


散乱していたカテゴリーの大半は、

むかしむかし、というおもちゃ箱に放り込み、

おとぎ話として読まれる日を待ちわびることとなりました。


その作業中に聴いていたのは、このアルバム。

最後の一手を終えた時、ちょうどこのアルバムも幕を閉じたのでした。


The xx ”I See You”

D

みたび はじまりの記憶、の記録。

これまでの思い直しとは、少し違った記録です。

それでも、今回もまた記録していくのでした。

(これまでの記録は「はじまり」カテゴリーで束ねられています)


あらためて、また向き合いたいと思うたびに、

めるみほしき さみあもにょる、というコトバの力を借りています。

自分にとってのはじまり、を出来事で記すのではなく、

このコトバを見つめ直した時、を記録しています。


書くことを諦めた、文章の力が信じられなくなったと

遠巻きに心のしおれを様子見し、近寄れずに木枝でつつくのではなく、

あたし自身の、全体を、全てを、それ以上を、

もっともっと多くを、あたし以上にあたしに近いところから

丸ごと包み込んであげて、始め直す記録です。


キャラメルソースみたいに、ほろ苦く絡まりあっても、

今、を始め直すしかないのです。

そして、

なんども、なんどでも、今を始め直すのです。