反則技を乗り越えて、の話。
もうできない。
身体を向かわせることで気持ちを示すことが。
会いに行く、は禁じ手になっている。
表現方法の確立が、ますます必要になってくる。
鳥肌が生まれる卵、の話。
あたしがここに記すのは、いつだって
いつだって二番目に心を占めていることで。
あたしのちっぽけな胸を最も締め付けるのは、
まだ言葉にならず、ぞわぞわとうごめく
音にしかならない鳥肌の卵たちなのです。
後悔が伝う歌肌で、の話。
歌われなかった歌が今日 生まれ、
こぼされなかった笑顔と一緒に、
潮の香りに包まれながら貝塚の深く奥底で、
これからの1000年が通り過ぎるのを、
ただただ歌肌で感じようと決めたのでした。
ボーダーをストライプに、の話。
スクロールを逆走し、
あなたが持っている全てのボーダー服を
ストライプ柄に変えに、今すぐ向かいます。
向こう側なりの完全さ、の話。
あたしの世界は、なんて狭い。
太くも細くもなく、ただただ狭い。
いつも身につける指輪やらピアスやらを
「これ、かわいいね」と初めて目にしたかのごとく、
毎回 丁寧に褒めあげてくれる
あなたのその姿の向こう側には。
愛くるしさには、苦しみしかないのと同じように
その狭さの温かみには、
向こう側なりの完全さがあるだけなのです。
あたしのシグナル、の話。
あたしは、あたしにとっての本物を見つけた時、
笑顔の代わりに涙をこぼすの。
そして、その涙が温かいことを
頬が確認してようやく
あたしの口元は安心していいのだと思い知り
ゆっくりと重い口角を上げるのです。