向こう側なりの完全さ、の話。

あたしの世界は、なんて狭い。
太くも細くもなく、ただただ狭い。


いつも身につける指輪やらピアスやらを
「これ、かわいいね」と初めて目にしたかのごとく、
毎回 丁寧に褒めあげてくれる
あなたのその姿の向こう側には。


愛くるしさには、苦しみしかないのと同じように
その狭さの温かみには、
向こう側なりの完全さがあるだけなのです。

あたしのシグナル、の話。

あたしは、あたしにとっての本物を見つけた時、
笑顔の代わりに涙をこぼすの。


そして、その涙が温かいことを
頬が確認してようやく
あたしの口元は安心していいのだと思い知り
ゆっくりと重い口角を上げるのです。