ハイスコアガール

あらすじ
90年代。アーケードゲームのゲーマー、ハルオはゲーセンに居る時だけが生き甲斐の取り柄のない少年。しかし突然、ハルオのいきつけのゲーセンに同じクラスの無口な女の子、晶(あきら)が現れ、ハルオ(が操作するガイル)をボコボコにぶちのめしてしまった。たった一つの生き甲斐、ゲーマーとしてのプライドをめちゃくちゃに傷つけられたハルオは晶(が操作するザンギエフ)を打倒するべく、勉強もほったらかしてゲームに打ち込むのだった。



ブログで紹介されているのを見て、あ、これは好きだと思いました。で、やっぱり好きでした。まず、時代背景が90年代に設定されているところ。今、30代くらいの人だと高校生、大学生くらいだと思うんですがこの90年代というゲームの黄金期に時間を際限なく捧げられる時期を過ごせた幸福な世代だと思います。てか捧げてた。ハルオと同じようにお金はなかったけど時間だけはたくさんあったんだよね。それにプレイステーションセガサターンなどの次世代家庭用ゲーム機が続々と登場して、本当にあの頃のちょっとしたお祭り騒ぎのような浮かれた熱気がすごく懐かしいです。
スト2もやったなあ。映画も観に行ったよ。いとしさとせつなさとこころづよさと〜。私はリュウを使っていたわりに右に回ると昇竜券が出せないという致命的な弱点を最後まで攻略できませんでした。今でもむり。友だちに連打が強い人がいて本田とかブランカ使われると絶対に勝てないのがすごく悔しかったです。ザンギエフスクリューパイルドライバーとか絶対に出せなかったし、ハルオの持ちキャラ、ガイルの得意なタメ技も全然できませんでした。そう、この漫画に登場する子たち、みんなゲームがすごく上手で、私もこれくらい上手くなりたいなあとすごく羨ましくなります。いやーほんとゲーム好きなのに苦手ってどういうことなの…。


で、少年少女たちの青春ゲーム漫画である一方で恋愛ものでもあります。ハルオはゲーム以外は目に入らないような男の子なんですが、なんだかんだ言って面倒見がいいんですよね。晶のことを心から悔しがっても正攻法で挑むし、ゲームを離れたところではいろいろ気にかけてあげたり。ちょっと乱暴だけどいい子ですよね。いやー同級生にこういう子いたら惚れてたわ。しかもゲームがすごく上手いときたら惚れないわけがないw 一方で晶も無言のまま(しゃべらない子なんですね)ハルオに心を開いていっているように思えます。その二人の淡い関係の間に入る小春という女の子がいるのですが、この小春の存在がすごくリアルに感じましたね。なんだろう、女性って男性がゲームしているところを後ろから見ていたい、っていうのあると思うんですよね。普段一人でこつこつやってる私でもそう思う時があります。(まあ実際は「やっぱり自分でやる」とか言い出すんですが)なんていうか二人で同じ風景を見ているドライブのような感覚なのかな。二人で対戦するのでも、協力プレイをするのでもない、その人がゲームしてるとこをそっと見つめてる、ちょっとオタクっぽいけど奥ゆかしい、時間や感情の共有の仕方ってあると思います。
それとゲームのキャラクター自身が漫画に登場してハルオの行動を後押ししたり物語を駆動させたりするんですが、こういうゲーム好きな人特有のリアリティってすごく素敵でした。そうだよ!恋愛に「待ちガイル」なんてないんだよw!巻末のキャッチコピーもそういうツボをついていて面白かったです。


まあなんだかんだと一番共感できたのは実はお母さんでした。ああいう息子がいたら絶対同じことしでかす自信があるわw 息子はゲームばっかりしてるのにあんまり怒ったりしないし(放任とも言うけど)部屋に遊びにきた女の子とくっつけようとしてハルオに邪険にされたり、その割にはいざというときには「なんとかするから」と頼りになったり、とっても楽しそうで素敵なお母さんですね。


まだまだ続いているので、ハルオと晶、小春の三角関係にお母さんと同じく震えながら続刊を待ちたいと思います。私もこんな青春送りたかったーw


関連記事:
シュガー・ラッシュ - ここでみてること
スコット・ピルグリム vs 邪悪な元カレ軍団 - ここでみてること