約束することって楽しいよな

指きりという行為をしなくなってもうどれくらいになるんだろう。約束っていうのはなんでかくも胸を高鳴らせるんだろうね。気持ちが張り詰めるというか、生活にゲーム性が現れるというか。
「明日バンプのCD持ってきてね」
「今日メールしようね」
「いつかまたこの場所に来ようね」
こんな台詞に高揚するのは僕だけじゃないはずだ。自分を限定することを相手と共有するのがこうにも楽しいことだとは。自分と相手との漠然としたものが埋められていく感覚。何も描かれていない白い紙に円のような点のような図形を描きこんでいく感覚。


なにも人と約束する必要もない。「今日は夜に散歩に行こう」という自分との約束ひとつで一日中フワフワできる。ただ街にでるのではなく、「疲れるだけ歩き回ったらスタバのバニラクリームフラペチーノを食べよう」と自分と約束して出かけたのならそれはもう小旅行だ。


信念だとか夢だとかになるとそれはもう約束じゃない。「僕は絶対に暴力を振るわない」だとかはちょっと重いし楽しくない。「白いところ以外を踏んだら死亡ね!!」ぐらいがちょうどいい。「この約束をやぶってはダメ、ダメったらダメ」みたいな感じがとてもここちいいんだよね。


こうゆう約束を僕としてくれる友達も減ってきたように思う。
きっと指きりの楽しさがわかるのは大人になってからだというのに。