2012-02-12
電子書籍は「1時間以内で読める本」が定額課金で読み放題になると思っている
随分前にwiredのvol.2を読んだんだけど、一番読み応えのあった特集で「読むが変わる」とか言うのがあった。その内容はすでにweb上で公開されているので、一読した方が良い。この特集を読んで、なんとなくだけれど、電子書籍の未来が見えてきた。電子書籍は1時間以内で読める本が月額980円とかで読み放題になると思う。
まず、現代人は本を読まない。僕もほとんど本を読まないし、たまに読んでも小説を読むくらいだ。かといって、文章を読まなくなっているのかというと全くそうではなく、むしろネット上で浴びるほどの文章を読んでいる。ネット上の文章は、読者に読ませることに必死だ。どうやったら読んでもらえるのか、それを追求した結果、簡潔な文章だとか、おもしろおかしい文字装飾だとか、画像をちょいちょい挟んだりだとかをして、ものすごく読みやすくなっている。そういった文章に慣れていると、本を読むのは苦痛だ。多くの本は明らかに冗長的であって、同じ事を何度も何度も言っている。
本は出版しなければならないので、コスト面からのプレッシャーが入る。どのくらいの内容を書かないと出版できないだとかで、作者も読者も得しない感じの冗長的な文章が書かれてしまう。しかし、電子書籍ではそんなことはない。ちょうど良いくらいの長さのコンテンツを出すことができる。雑誌よりの特集記事よりも長く、新書よりも短いくらいの。1時間以内で読めるくらいの。wiredのシングルストーリーズを読んだが、読み応えのある良質の記事が20分位で読める。TEDのトークを聴くくらいの時間があれば、珈琲でも飲みながら消費できる。もちろん読み物であるので自分のペースで能動的に消費することができる。
そして、電子書籍のようなデジタルコンテンツビジネスを考えると、どうしても意識してしまうのが、音楽業界だ。本人たちが意図していたのかしらないが、音楽業界はデジタルコンテンツ市場の先駆けとなって、様々な取り組みがなされている。今後どのようにデジタルコンテンツビジネスが収束していくのかと、音楽業界をみてみると、おそらく、あらゆるデジタルコンテンツはspotify型やhulu型で配信されるようになるのではないのかと思う。基本無料で広告付き読み放題、月額980円とかで付加価値つきの読み放題。
デジタルコンテンツは所有の感覚が少ない。所有することに意義を覚える人は、いつまでも物理書籍やCDを買うだろう。電子書籍をダウンロードしても、正直、所有している感覚はなく、「読めるようになった」としか思えないのではないだろうか。しかし、すべてのデジタルコンテンツにアクセス可能になったとき、人はどのような感覚になるのか。spotifyユーザーは「すべての音楽を所有している感覚」になっている。所有というか概念から解放されているのだ。デジタル化されたコンテンツは、デジタル化された時点からこちらに進化していっているのではないだろうか。すべてを所有した状態がスタートで、そこから自分のプレイリストを作っていく、という形で今後消費されていくのではないだろうか。
また、spotify周辺をウォッチしていると、非常に面白い。すべての音楽に誰もがアクセスできるという状況になると、人々が参照するデータベースとしてspotifyを使い始める。「facebook上で何を聴いているのかを共有すれば、それを見た友人が即座にその音楽を聴くことができる」という前提が無料で聴き放題モデルだと成り立つので、人々がspotifyを使って音楽を共有し始める。つまり、このソーシャル時代、人々の話題に上がろうとしたら、聴き放題読み放題モデルは非常に都合が良い。広告付きであれ、無料で提供できるのならばそれに越したことはない。たとえ有料であっても、ある程度の地位を築くことができれば、ユーザーはダウンロード型よりも定額課金型のコンテンツにリンクをはって話題にするはずだ。なぜならば、ダウンロードだと共有する相手に課金させるので責任が伴う。定額課金だったら、無料にせよ有料にせよ、すでにそのサービスを使っていればそのコンテンツを見ることに金額的な負担がおこらないので責任が発生しない。ユーザーが紹介するときの心理的負担が少ないので結果的にfacebookやtwitterで話題になる。ブログでも参照される。
巷では有料のメルマガが流行っているらしくて、なかなか内容の濃いコンテンツを味わえるらしい。おそらく、価値のある文章の書ける個人はたくさんいて、そしてそれにお金を払っても良いという人もたくさんいる。いまはメールという媒体が最もユーザーを開拓しやすいからメルマガが流行っているけれど、だれもが電子書籍を読むようになったらそちらで配信されるようになるだろう。電子書籍も基本無料で読み放題にしてユーザーを開拓するべきだが、価値のある情報があれば有料で会っても確実に売れる。基本無料で有料コンテンツは定額課金で読み放題なのがベストだと思う。
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