30代 無職のリアルな日常

2010-02-01

マイルス・デイビスのSO WHAT

23:42

今日も相変わらずの寒い日で、どう大目に見ても素晴らしいとは言えない天気だった(実際いまは大量の雪が降っている)。特に朝は寒かった。手が随分と痺れた。遠くの景色が朝靄で霞んでいた。月はぷっくりと膨らんでいて、ふわふわと浮かんでいた。
僕はマイルス・デイビスの「SO WHAT」を聴きながら朝の道を歩いていた。低音のピアノからはじまるゆるやかなメロディーはまず夜明けの薄暗い街中を思い起こさせた。東の空の底がやや明るみだしてはいるものの、家々の屋根の上には暗い夜の分子がまだ深い根をおろしている。そこにトランペットが登場。トランペットの登場は僕の想像世界に一人の男を与えた。男は30代なかばくらいの壮年だ。男は暗い街の界隈をとぼとぼと歩いている。街並みはヨーロッパの小都市といった感じだ。古いレンガ造りの建物が立ち並んでいる。その建物の間を縫うように男はひとりで歩いている。すると朝市でにぎわう街の広場に到着する。人々は買い物に興じ、ときどき熱心な話者になる。だが朝を支配する宿命的沈黙というべきものを乱すようなことは決してない。彼らは暗黙のルームを守ることにかけてはとても意欲的なのだ。男は朝市の活況を眺めながら、一歩一歩確実に歩む。歩度を速めることもゆるめることもせず、自分のペースで歩いている。朝市を通りすぎると大きな川のある風景に出会う。その風景は平生ふさぎこみがちな彼のこころを解放してくれる。街中がどんなに騒擾に沸きたっても、この川だけはいつも静寂を守っている。そんないつも変わらぬ姿を見ることは想像以上に彼を安心させる。川は彼の拠り所であり、まさに川は彼にとって母と同義であるように思える。・・・「SO WHAT」はまぁそんな曲です。


・・・仕事の帰りはひどい雪で足元が覚束なかった。積雪はたいしたことなかったけれど、雪道に慣れていないせいで滑るのではないかと不安だった。雪は静かに降っていた。なじることもせず批難することもせず、空は着地点を定めないで間断なく雪を降らせていた。まったく今日は寒い一日だった。