(いまさら訊けない)スペシャルティ? スペシャリティ?

#この辺りで、ちょっと趣向を変えて。


『田口護のスペシャルティコーヒー大全』が5/25に発売されるわけですが、本書のタイトルでは「スペシャルティコーヒー (specialty coffee) 」という表記が採用されてます。この「スペシャルティ specialty」という単語の部分について、ネット上などをはじめ、いろんなところで「スペシャリティ speciality」という表記もしばしば見受けられます。一体どちらが正しいのか、と疑問に思ってても、今更ヒトに訊けないと思われてる方もいるみたいです。


結論から言うと「どちらも間違いではありません」


World English Dictionaryによれば、

speciality or chiefly (US and Canadian) specialty

と書かれています。

つまり、イギリス英語では「スペシャリティ speciality」と書くこともある*1が、アメリカ(カナダ)英語では「スペシャルティ specialty」なのです。


これを踏まえて、各団体のウェブサイト名を見てみましょう。

世界のスペシャルティコーヒー協会の中では、SCAAがその先駆けとして、1982年に設立されています。これに対してSCAEは1998年にロンドンで設立されました。このため、SCAEではイギリス式の"speciality"(=スペシャ「リ」ティ)という語が用いられたようです。


日本では「日本スペシャルティコーヒー協会」( http://www.scaj.org ) "Specialty Coffee Association of Japan (SCAJ)"という形で、現在はアメリカのSCAAに倣った英語表記/カナ表記が採用されています。


つまり、どちらでも英語としては間違いではないけど、「現在、日本の協会が採用している表記は『スペシャルティコーヒー』である」というわけです。


…実はSCAJのサイトの「概要」 http://www.scaj.org/about/outline.html を見ていただくと判るように、1999年に、"World specialty coffee conference"が日本で開催されることになり、SCAJの前身である「全日本グルメコーヒー協会 (1987年発足)」が主催に当たることになったときに、名称変更して「スペシャルティ」の語が名前に入ってます。ただし当初は「日本スペシャリティーコーヒー協会」という名前だったようです(ただし英語表記は"specialty"だった模様?)。しかし、カンファレンスの終了後、2003年に「国内外に向け、より開かれた協会として」新規設立され、このときに現在の名称になったようです。

*1:元々は中世後期英語"specialite"から来た言葉。