泣きながら殴るということ

泣きながら殴らざるを得ない、というポジション。自分が正しいのかどうかもわからない状況で、だけれど自分の正しさを振りかざして他人の間違いを指摘するような。大学院生と後輩、だけでなく。自分より明らかに知識のある人間に対して説教をかますような、そんな場面がある。それが仕事だ、というある種の権力があって、それがあるからこそ、自分が喋らなければならない。そしてその権力はそれほど間違いではない。すべてが間違いではないのならば、私は喋り、喋りによって相手を殴らねばならない。
自分が喋る、ということはきっとそういうことで、相手を傷つけるためでも自分を守るためでも権力を守るためでもなく、だけれど自分が喋らざるをえない状況で、喋る=殴るということをしなければ回らない状況で、我々は泣きながら殴る。その中で泣いていないことは理解している。だから、俺が泣くまで殴るのをやめてはいけないし、泣きやむまで殴るのをやめてはいけないのだと思う。