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昆虫亀

2012-01-12 美学を一から勉強するひとのために:文献リスト このエントリーを含むブックマーク このエントリーのブックマークコメント

先日、「美学を一から勉強しようとするひとは何読めばいいですか?」って聞かれました。

これまでは「美学研究者なら誰に聞いても同じような答え返ってくるんじゃね?」と思ってて、わざわざ参考文献リスト作ってなかったのですが、昨日amazonで「美学」で検索したら中井正一の『美学入門』とか出てきたんで、やっぱ公の場に出しといたほうがいいかな、と。



では以下、わたしのオススメ本です。

ちなみに、日本語文献です。

英米系分析美学の入門書については、以前書いたので、こちらを見てください⇒



はい。

とりあえず、最初はこれ読んで下さい。

西村清和『現代アート哲学

まぁ教科書として書かれてますので、読みやすいですし、素朴な日常的関心から専門的な議論への持って行き方が上手いので、読んでて面白いと思います。

練習問題もついてるし、ちゃんと自分で考えたいひとにはオススメ。



読みやすいという点では、これも良いです。新書ですし。

佐々木健一美学への招待』


ちなみに佐々木先生の新書では、わたしこれが好きです。入門書ではないですが、ばつぐんに面白いです。

佐々木健一『タイトルの魔力』




それで、もうすこし興味持った人、ちゃんと勉強しようという気が出てきた人は、これ買って下さい。

佐々木健一美学辞典』

もしあなたがちゃんと勉強したい人であれば、これは図書館で借りるんじゃなくて、ちゃんと買いましょう。どーせ何度も読むことになるから。

ちなみに私は、学部時代にこの本の記述の洗練度にえらく感動し、友人*1にも買わせました。

ちなみに、すでに10年前には、佐々木先生は「この本には第二巻の計画がある」と言ってたのですが、どうなったんだか。



つぎはこれ。

小田部胤久『西洋美学史』

美学史をちゃんと勉強したいひとは、必読。

著者は、思想史やらせたら、おそらく美学界ナンバーワンの人です。

ところどころにある図がわかりやすい。




日本の美学に関心がある人は、これ読んで下さい。

日本にどうやって美学という学問が成立していったのかが、よくわかります。面白いです。

神林恒道『美学事始』


ただ、著者はその後、文庫本も出してるので、こっち先に読んだほうがいいかもしれない。

神林恒道『近代日本「美学」の誕生』



ちなみに、わたし個人的には、竹内敏雄編『美学事典』が好きなんですね。院試前にはけっこう熟読しました。

この本をみると、この時期の日本の美学者はすごいなーと感動します。われわれ日本の美学者は、この学問的蓄積を無駄にしてはならない*2

今こういう事典つくれるだろうか、と考えるとちょっと自信がない。




とりあえず、最初に読むべき本は、こんなもんですかね。

間違ってもユイスマン『美学』とか渡邊二郎『芸術の哲学』とかに手を出しちゃダメです(すくなくとも最初は)。

他に挙げるべき本、オススメなどあれば、御指摘おねがいします。


いちおう言っておきますが、上に挙げたのは「そもそも美学ってなんじゃい?」って人向けの本です。

もう個々で考えたいトピックが固まってる人には、それぞれ別のオススメ本があります。

「芸術と想像力との関係について考えたいんですけど」とか「読書経験について考えたいんですけど」とか、そういうひとは、個別にまた質問してください。


では。

今年もよろしくお願いします。

*1:某こけし好き学芸員

*2:「「美学」なんて学科があるのは日本だけだ」と揶揄的なことを言う人がたまにいますが、こういう蓄積をちゃんと見てから言えや、と言いたい。この時代にこの事典がつくれるってのは、結構すごいぞ。